あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 (本文) 以下は、わが社が助言しているファンドを買って頂いている機関投資家の方に1ヶ月前にお送りしたレポートです。一ヶ月前のコメントであることにご注意ください。
(日本経済) 為替、特にドル/¥が今後の日本経済を決定する非常に大きな要因であるという考えに変わりはない。もし来年のドル/¥が100円を恒常的に割り、平均が90円台だとするならば現在の楽観的日本経済の見通しを変更せざるを得ない。 (為替) 現在、双子の赤字を理由にマーケットはドル安一色であるが、この意見の傾き方には疑問がある。「双子の赤字脅威論」は、古いテーマであるが、これが故に現在、マーケットの大半がドル安論に傾くほどの重大な理由だとは思わない。日本は財政赤字問題(長期金利の項ご参照)だけとはいえ、その深刻度は米国の「財政赤字問題」と「経常赤字問題」を合わせたよりはるかに大きい。「双子の赤字」は今年前半マーケットに動意がなかったために、後半は動意づけさせたかった投機家の後付けの理由だったと考える。その後付けの理由が一人歩きしているように思える。そうだとすると、マーケットのポジションはドル売りに傾きすぎており、いずれ自立反発があると考える。 一年くらいのスパンで考えると、やはり日米金利差が重要になってくる。日本の政策金利が0%のままで米国のFFレートが2005年末に3.5−4%まで上昇するならば、その金利差は無視出来ない。 4%ほどの金利差はペイオフを考えると個人資金を十分魅了する。また投機家のドルショートポジション、輸出等の先物の売りポジションはかなりコスト高になる。さらにまさに究極のキャリートレードと考えられるMOFの介入が為替安定だけでなく日本の財政赤字補填の手段としての意味合いを持つことになる。 時価評価をしない介入が原価を気にせず心おきなく行えるようになる。イラク支援の継続や為替に伴う景気悪化を考えると日米政治的摩擦はあまり考えられない。 その他、経常赤字ドル安論に対する反論は以下のとおり。 (1) ドルは機軸通貨である。機軸通貨とは「ドルを刷れば世界の富を買える」という点で米国の最大の国益である。ドルを安くしてその地位をユーロに譲るという戦略を米国がとるとは思えない。 (2) グリンスパンは「インフレなき経済成長」を目指している。ドル安により「インフレ懸念」が台頭してくることは望ましくない。 (3) 世界経済が成長する分、世界は基軸通貨のドルを必要とする。日銀が日本経済の成長に合わせて成長通貨を供給するのと同じである。今年の世界は5%近い高成長である。何らかの形で世界に5%分のドルを供給しなければならない。米国がドルを全く供給しないと世界は深刻なドル不足になる。
(日本の長期金利) 日本の財政赤字問題は深刻である 累積赤字 年間税収 累積赤字対GDP比 日本 $7.1trilion(730兆円) $0.4trillion(43兆円) 約145% 米国 $2.6trillion $1.9trillion 約37% (米国は2004年9月末予想)
日本には、730兆円の累積赤字がある。これは市中金利が1%上がるといずれは7.3兆円の支払い金利増になるということを意味する。金利がバブル時並に現在のレベルから6%上昇すると税収のほとんどが支払い金利に消えることになる。一方米国では、金利が急騰してもすべての税収が支払い金利に消える状況にはない。財政赤字にしろ、経常赤字にともなう海外借り入れにしろ、借り入れ元本自体はインフレが来れば解決できる。問題は支払い金利が払えなくなる状態と考える。その点で日本の財政赤字は米国の財政赤字、経常赤字より深刻なのである。 なお、日本は財政赤字問題が脚光を浴びてから10年近くも国債・経済ともにクラシュを起こさなかった。日銀が国債買い切りを増額し続けファイナンスしてきたからである。米国の経常赤字は日本の例を考えれば、米国中央銀行が紙幣を刷れば当面ファイナンスできる。
ところで長期金利マーケットに関しては、「以上の理由に伴いリスクプレミアムが上昇し、名目金利が上昇する」というのをメインシナリオとして考えているわけではない。日米金利差によりドル高へ転換する。それに伴い日本の景気が回復し、長期金利が上昇するというのが、あいかわらずのメインシナリオと考える。今後考えられる米国長期金利上昇にも今後はかなりの影響を受け、日本も長期金利上昇が加速すると考える。
(日本株) 日米金利差によるドル高への転換、それに伴う日本の景気回復による株価上昇をあいかわらずのメインシナリオとして考えている。
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