(1)ストレス・テストの意味
ストレス・テスト結果が発表になった。
この結果に対し「景気がさらに悪化した場合、これだけの資本増強で大丈夫なのか?」という疑問を呈する識者やコメンテーターがいる。この人たちは「ストレス・テスト」の意味を理解していないのではないか?
私が勤めていたモルガン銀行も当時からストレス・テストを行っていた。もちろん我が社が設定したシナリオの基での試算である。そのほかに「通常のマーケット・リスク」も毎日計算していた。「通常のマーケット・リスク」とは「今までの経験則で推測出来る事態が起きた時にどのくらい損を被るか」を99%の確率で計算するものであり、ストレス・テストとは「戦争が起きた等の異常事態が起きた時どのくらい損を被るか?」の計算である。確かに当時を振り返ってみると「通常のマーケット・リスク」に関しては、完璧なリスク管理を行っており、それによってポジション(どのくらいの勝負をして良いか)が設定されていたが「ストレス・テスト」は、たまに試算を求められる程度で完璧な管理の材料にはなっていなかったように思う。
これを私個人の資産管理に関して述べよう。
私は多額の借金をして賃貸用の不動産を持っている。景気が悪化して空き部屋が増え賃料収入が減っても「その他の私の資産の切り崩しで借金の元利金を返済を続けることが出来るか?」は私は絶えず計算している。これは通常の経済状況におけるリスク管理である。それと同時に「もし大地震が起き、私の所有建物の8割が完全倒壊し賃料収入が入らなくなった。しかし元利金は払い続けなければならない。これで私の資金繰りは大丈夫だろうか?」というストレス・テストも私は行っている。私はストレス・テストを行っているのだ。
それに対し、「そんなストレス・テストでは不十分だ。東京の上空で核爆弾が爆発しても大丈夫な資金繰りを考えろ」と文句をつけられれば「そんな事、知るか。私は財産よりもどうやって家族を守るかしか興味がない」と答えるだろう。
ちなみにこの1年間米国経済は悪化してきた。この1年間の景気悪化は「通常の経済状況」の中にすでに組み込まれているはずだ。相場の変動率上昇という形で取り込まれる。すなわち米国景気悪化がさらに悪化していくにしてもこの1年間ぐらいのスピードの悪化は「通常のマーケット・リスク」に組み込まれておりその状況に基ずくリスク管理など当たり前の話である。「ストレス・テスト」とは、「この1年間の景気悪化以上の、とんでもない景気悪化がさらに起こる」というシナリオの基での試算であることを理解するべきだ。先ほど終わった昨日のNY市場ではストレステストの結果発表を前にナーバスとなり、102ドルほどの下落をしたが、明日以降はこのストレス・テストの好結果を受けて米株価の力強い回復が継続すると予想する。そうなるれば実体経済の回復も資産効果により力強いものになろう。
(2)以上のことは私が4月18日に出版した「100年に1度のチャンスを掴め」(PHPビジネス新書)にも書いてある。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569709486/businessbookm-22/ref=nosim
この本を送った友人からは「ご本(ホン)といえばフジマキ散(サン)ですね」と言われる。
(これは若い方には理解できないでしょうね。昔、「ゴホンといえば龍角散」という宣伝がありました。)
(3)朝日新聞土曜日版Beに、われわれ兄弟が連載している「やっぱりフジマキに聞け」はWebの朝日新聞の公式ページ(asahi.com)の「ニュース」をクりックし、その中の「コラム」の下の方(スポーツの下)のビジネスのところを見ると一番下にあります。是非読んでみてください。バックナンバーも読むこともできます。よろしくお願いいたします。先先週の記事は以下で読めます。http://www.asahi.com/business/topics/fujimaki/TKY200904200136.html
(4)藤巻兄弟塾募集要項
7月18日(土) 六本木一丁目の泉ギャラリーでわれわれ兄弟の「兄弟塾」を開きます。
有料(¥12,000)で申し訳ないのですが、こういう時期だからこそ是非勉強いたしましょう。
私は1時間目を担当しますが、
① 日経新聞の藤巻流読み方
② 個人投資家でも使えるデリバテイブ
について教授したいと思います。
② は難しいと考えられているデリバティブをきわめてやさしく解説し、藤巻がどのようにトレーディングの世界でデリバティブを使っていたかをご説明いたします。個人投資家にも参考になる話だと思います。
5時間目は弟・幸夫がミクロの話をしますが、その他の講師陣は一橋大学イノベーションセンター長の米倉先生、明治大学ラクビー部監督の吉田義人さん、歌舞伎座のサイモン義人さんと超一流です。吉田監督は現在、他の講演会は受けていらっしゃらないそうですが、幸夫の依頼ということで受けて下さりました。詳細は下記をどうぞ。
http://www.fujimaki-japan.com/lecture/index.html
希望される方は、(1)名前(2)住所(3)電話番号(4)メールアドレスを
宛ご送付下さい。申込みを受付けた方宛振込口座をご連絡いたします。
