横浜税関 海上方向より。
(本文)
(1)先週は株価が軟調だったため、長期金利は下落(国債価格は上昇)した。
これは通常時の動き(株価と国債の値段の動きは反対)で理論的ではある。
景気後退予想で株価が下落すれば、株式投資に回っていた金が国債投資に回るからだ。国債の需要が増えるという発想である。
しかし、株価の下落に象徴される景気悪化は国債の需要が増えるのと同様、
国債の供給も増やす。税収の落ち込みが激しく国の借金必要額が増えるからだ。
しかも長期金利が上がり始めると、今まで変動金利で借りていた住宅ローンの借り手が急速に固定金利型の借金に変える可能性がある。すなわち長期固定資金の需要が急速に膨らむ可能性があるからだ。長期資金の需要が供給より多く増えれば長期金利は上昇する。
(2)11月19日(木)の日経新聞は3面で、仙石由人行政刷新相の18日の衆院内閣委員会での発言に関して「現在約48兆円と見込む税収が38兆円以下になることを示唆した発言とみられると記している。また44兆円と見込んでいた国債発行額が50兆円を超える可能性が出てきた」とも書いている。とんでもない国債発行額である。これはマーケットが織りこむとか織りこんでいない、とかいう問題ではない。それだけの新たな購入資金が次の1年間で、どこからか湧き出てくるか?という問題である。郵政が再度、国営化されたので国債買いが増えるということを言う人もいるが、ゆうちょ銀行の現在の資産の8割は、すでに国債投資である。どれだけ国債購入余力があるのか?また、ゆうちょ銀行にお金が流れ込むということは、他の金融機関の預金が減ることを意味する。郵貯の国営化に新たな原資を頼るのは無理がある。
(3)相変わらず、日本は長期金利急騰を契機とするトリプル安の可能性を意識しながらのマーケット展開が長期に続くと見る。欧米株等への分散投資と、日本では債券ベアファンドの購入が望ましい。(拙著「藤巻健史の金融情報はこう読め』(光文社)ご参照。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334975944
なお先週の東洋経済の書評欄でとても好意的な書評を書いていただいた。
ありがとうございました。
(フジマキな日々)
(1)先週の朝日新聞土曜日版Be「やっぱりフジマキに聞け」は
http://www.asahi.com/business/topics/fujimaki/
でご覧になれます。
(2)先週の藤巻健史の一週間
11月17日(火)
月曜日にごちそうしていただいた元・某大手電機メーカー副社長夫婦と某高級官僚夫人とともに12時より国立劇場の歌舞伎鑑賞。歌舞伎鑑賞を決めた後、講演会の仕事が入ってしまったため、1幕(外郎売り)だけしか見られなかった。しかし贔屓にしている坂東弥十郎、坂東新吾親子が出演する「外郎売り」を見れたので、満足。
幕間に楽屋で坂東弥十郎、坂東新吾親子とお会い話をしてから、大手町の講演会場へ。リスクモンスター主催で120名の参加。
11月18日(水)
午前10時に美容師の一人君に自宅に来てもらって散髪。その昔、光文社から出版した本の表紙撮影の時、スタイリストとしてついてくれた一人君に、その後、ずーと家に来てもらっている。あまりにも忙しく、床屋に行く時間がもったいないからだ。
その後、横浜税関見学に。以前から親しくさせていただいている高校の後輩の野島透さんが総務部長に赴任したために表敬訪問をしたのだ。ちなみに税関長も、大蔵省の為替課長時代から親しくさせていただいている丸山さん。ということで、お邪魔させていただいた。横浜税関と言うと横浜地区のみを管轄している印象があるが実は宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県(一部を除く)、神奈川県 の税関を管轄している大組織。
横浜の本省建物は、一見の価値がある。まさに海から入国する外国人に対して日本の看板となることを意識して建てられた建物である。ペリーが入港したゾウの鼻と称される場所に建っている。(ちなみに長男健太の中学・高校は横浜にあったのだが中学入学直後、担任の先生が「横浜はペルーが入国したところです」と自慢したので、受験直後の生徒が目を白黒させたそうである。「おい、ペルーって国の名前じゃなかったっけ?」)
横浜税関では「マッカサーが厚木について、ホテルニューグランドに移る前に執務した部屋(その後東京の第一生命ビルに移ったそうだ)や、 (奥にある机がマッカサーが使っていたもの)
めったに入れないクイーンの塔の最上部まで登らせていただきそこからの景観を堪能した。 (クイーンの塔の途中から)
その後、資料館を拝見(ここも麻薬の隠し場所等税関と麻薬密輸人の攻防の様がわかる。一般公開している)そして赤レンガ(昔は横浜税関の所有だったそうだ)の中を通り、海上保安庁の資料館に。ここには2001年に起きた不審船(停止命令を無視して逃走したため20ミリ機関砲による威嚇射撃。正当防衛射撃の後、自爆用爆発物によると思われる爆発により沈没)が海底より引き上げられて展示されている。一般にも無料公開されているのだが、貫通した銃痕、回収された武器などが、なまなましい。この船は「覚せい剤を密輸していた」と東京地方検察庁に認定されたそうだが、覚せい剤を取り締まる税関・海上保安庁の使命感・苦労ぶりを如実に示している。横浜に行ったら必見。
夜は鎌倉女子大で幼稚園・小・中・高・大の先生方&職員の方に対して「大学教育に臨むこと(私見)」という課題で講演。女子教育に関しての私見も絡めてください、とのご要望。
理事長の福井先生とは、某パーティーでお会いしてから親しくさせていただいているのだが、そのパーティーで先生に「私はディーラーで、特に負けている時など苦しくてたまらないのですが、どうしたらいいですか?」と聞いたら「フジマキ君、そりゃ、酒くらって寝ることですよ」と答えてくださった。ちなみに福井先生の専門は哲学。「哲学の先生の回答が、これでいいのか?」とも思ったが、妙に納得したので、それを実行し、それ以降、私の精神状態は極めて健全だ。しかし、そのかわりにガンマGTPが急上昇。講演会ではいつも「自己責任」を強調している私だが、こと肝臓に関してはいつも福井先生のせいにしている。その福井先生のご要望だったので、断り切れずにお受けしたのであるが、私みたいな人が、このようなタイトルでしゃべれるはずがない。10分ぐらいしか話せませんよ、と言っていたのにもかかわらず、話し始めたら2時間も喋りまくってしまった。昔、他の女子大で講義をさせてもらった事があるが、その時は、自分の講義の下手さぶりに嫌悪感を感じたものだが、本日は、それなりに満足感があった。
鎌倉女子大は、図書館もライトアップされており、校舎はモダンで新しい。
2000年まであった松竹大船撮影所の後地にある。
11月19日(木)
10:35-12:05まで一橋大(@国立)の授業。今年最後の授業である。
あとは期末試験をするだけ。金利スワップについての講義をした。
教員室で岡本清ゼミの1年後輩の管理会計・原価計算の広本商学部教授と偶然お会いしたので経済学部の福田教授と3人でそば屋さんへ。その後車を運転してオフィスに戻る。広本教授より、恩師岡本先生が今年の秋に瑞宝中綬章を叙勲されたと聞いたのでお祝いのはがきを出す。
11月20日(金)
六本木の中華料理屋でPlan.Do. Seeの取締役会出席。(私は非常勤取締役)Plan.Do. Seeはホテルや結婚式場を運営しているが社長は立教大学の観光学科を作られた野田教授のご子息。今は廃止となったが、昔、広尾の羽澤ガーデンのレストランを運営していた。
11月21日(土)
午前中、テニスをした後、午後1時から銀座で高校(東京教育大学付属)のクラス会。
我がクラスは男30名に女性15名の計45名。すでに6名が亡くなっている。
今回のクラス会も今年亡くなった2名を惜しむ話から始まった。
1次会の参加者13名。2次会参加者は男性のみ7名
写真(2次会)は左より慶応大学医学部教授、東京大学国立天文台教授、藤巻健史一橋大学非常勤講師(ちょっと肩書が落ちる)、福井大学医学部教授。
学校では、皆、おっかない先生のようだが、本日の話は「お前は誰が好きだった」とか「**サンと1回だけデートした」等々。アー、セピア色の青春の思い出、でした。ちなみに我がクラスは生存者39名で上の写真の3名を含め、東大教授3名を含む計7名の大学教授がいる。高校時代、成績は相対評価だから、私の成績が悪かったのもしょうがないと言えばしょうがないでしょう。
(3)11 月24日(火)14:55-17:50 大阪毎日放送「ちちんぷいぷい」に出演いたします。大阪を中心とする関西地区のみで視聴出来ます。
(4)11月27日(金)21:30-22:30日経CNBC「夜エクスプレス」出演です。
先週の東洋経済の書評欄にとても好意的な書評を書いていただきました。
p143「(略)ポジショントークと呼ばれる「客観性を装った自分に都合のよい主観的見解」の紹介から始まる。およそエコノミスト、ディーラー、メディアはすべてその誘惑に抗しえない。当然、著者の見解も例外でなく、「十分ご注意を」と言われれば、これはレトリックとしてうまくできた本である。(略)すべて著者の言う通りか、48回自分で考えながら読むことで論争本的な面白さも味わえる」
