(本文)
付録のフジマキな日々は下の方にあります。
1.私が直接読んだわけではないのだが評論家の立花隆氏が「日本の財政が大丈夫と主張する評論家はインチキだ」という趣旨のことをどこかに書いたそうだ。全くその通りである。希望と分析は違うのだ。
「大丈夫だ!大丈夫だ!」と喧伝する識者がいたから、民主党のばら撒きは止まらず財政は最悪のところまで来てしまった。
私が財政に警告を始めた(1990年代後半から日経新聞、日経金融木曜ゼミナール、日経金融新聞複眼独眼等で「財政破たんリスク」について何度も書いている)10数年前ならば、まだ累積赤字も現在の3分の1で円安政策により日本を立て直すことが出来た筈だ。
私は2002年に「1㌦200円で日本経済の夜は明ける」(講談社)と言う本を出したが(今は絶版)あの本で日本経済を救う唯一の道は円安政策だと書いた。よく「1㌦200円にならなかったではないか?予想が外れている」という批判を受けるが、よく読んでほしい。あの本には「予想」ではなく「べき論」を書いたつもりだ。円安になれば経済が回復し財政出動もせずにすみ財政赤字も増えない、という内容だった。
もし「円安になったにも関わらず景気が低迷していた」のなら私は間違っていたことになる。しかし円高が続いてしまったから景気は低迷を続けているのだ。その点で私は正しかったと今でも確信している。円安政策が必要だったのだ。ちなみに日本は社会主義国家で「市場原理」が働かなかったから円高になった。インフレ必要論が今、はやっているようだが、それも円安にすれば簡単なのは従来主張している通りだ。
一時、円安が進みかけ、そのおかげで株価が上昇を始めたので資産効果で何とかなると思ったこともある。講演会でも「かなりNarrow Path(狭い道筋) だが円安で資産価格が上昇すれば日本経済は何とかなるかもしれない」と説いていた。しかし、円安は進まず、政府が為替政策の重要性に気づかなかったせいでNarrowでも存在したPathはついに消え去ってしまった。ここまで累積赤字が溜まっては、いかんともし難い。それでもまだばら撒いているのだから救いようがない。社会福祉とは再分配のはずなのに、分配するものが無くなったのに分配を続けている。もう分配するものがないので子孫の財産を分配しているのだ。
おかげでH23.1.23・日本経済新聞1面「崖っぷち国会」の表現を借りれば、首相自ら「内閣以上に日本は崖っぷちにある」と認める状況になってしまった。
ここまで累積赤字が溜まってしまった以上、何をやっても残念ながら時すでに遅しなのである。景気が悪ければ累積赤字が積み上がる。景気が回復すれば、支払い金利が急増し、累積赤字は加速度的に積み上がる。そうであるならば自分で自分の生活と財産を守ることを考えざるを得ない。個人は、国際分散投資を考えるべきだ。私はドルが好きだが、どの通貨でもいいから、最低限、円から他国通貨に変えておくことが重要だ。私は日本国が大好きだが、政治家の為に、日本(円)と一緒に轟沈するのはまっぴらだ。
2.こんな時に「円」や「日本国債」を買う人、または日本に投資を続ける人の気が知れない。直近の危機は「予算関連法案」が国会で討議されるときだ。
1月20日付、日経新聞、朝刊3面「日本国債 保証料率が上昇」の記事は重要だ。海外の投資家も、その事態を予想している証拠だ。海外投資家は日本国債にものすごい興味を持ち始めている。喜んではいけない。買いではない。売りの興味である。債券先物では売りも買い同様に簡単に出来る。ここまで利回りが低ければ、債券先物の売りは、まさにプットオプションの買いと同じ感覚(損が限定されているという意味で)でやってくるだろう。
国債保有者が国債を売って逃げ切る最後の逃げ場の日が近づいているのではなかろうか?
3.「円を売って海外に投資をしろ」というとキャピタルフライトだとかいって、悪行のように言う人が入る。マーケットを知らない人だ。全盛期の大英帝国が海外投資を盛んにしたのは悪行か?海外に円が流れれば円安ドル高になり、日本経済は回復する。そうすると初めて日本国内に有望な投資が出てきて、円は再び国内に戻ってくるのだ。それが市場原理と言うものだ。市場は文学のように「善・悪」で色分けは出来ないのである。
4.デリバティブを保有し損を出し困難に落ちいっている中小企業を助けるよう金融庁が指示を出したというニュースを新聞で読んだ。背景がよく分からないので深いコメントは出せないが、記事を読んで感じたのは「逆に儲かっていたら、金融庁は、中小企業に対し、その利益を銀行に返せと指導するのだろうか?」という疑問である。
デリバティブを買う投資家に対しては「単純な仕組みのモノしか買わない、オプションならば買いしかしない」くらいの基本的哲学を身につけさせることは必要だと思うが、それ以上は過剰規制だと私は思う。
私は、今危機に際してプレインバニラのオプションの買いを勧めているが、金融庁を怖がっているせいかどうか知らないが、個人にオプションを売ってくれるところが、ほとんどない。個人がオプションを買って何が危険なのだろう?支払ったプレミアム以上の損をしないのだからリスクは極めて明確なのだ。
個人は保険屋になってはいけないが(オプションを売る)、保険を買う(オプションを買う)のは個人を守ることであり規制は必要ない。
(フジマキな日々)
1.今週発売(25日・火曜日)の週刊朝日「案ずるよりフジマキに聞け」は「就職『超氷河期』は円高のせい」です。よろしくお願いいたします。
2.1月24日(月)23:30 ~23:58のAsia Biz Forecast というNHKの国際放送に出ます。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/english/tv/asiabiz/index.html
幸いなことに日本国内では見られません。私の下手な英語を日本の皆さまには、お聞かせしなくてすみます。
3.フジマキタケシの1週間
1月17日(月)
オオニシ先輩と(株)オオバ常務の辻本氏と会食。辻本さんも私が辞めた後で三井信託に中途入社したので、三井信託ミニOB会でもある。銀座交洵社のバーで飲んでから銀座のおでん屋へ。
石原慎太郎都知事が与謝野さんの内閣入りに際して発言した「君、恥かきたもうことなかれ」で話が盛り上がった。もちろん与謝野晶子の「君、死にたもうことなかれ」のモジリのわけだが、すぐそういう発言が出てくるところは「さすが文学者だ」ということで皆、感心。
石原氏は「新銀行東京」ではミソを付けたがそれでも私は石原氏には、都知事選への再出馬を望みたい。日本が存亡の危機にある時に、芸能人の運動会のような選挙では困るのだ。ちなみに「新銀行東京」に関していうと、私が金融のプロと認める人の中で、構想の段階から、あの銀行が成功すると思っていた人はいない。まがいもの識者を金融のプロと勘違いしてその人たちの意見を聞いてしまった事に石原さんのミスがあった。
与謝野さんに関して言うと、新2000円札の顔の女性を誰にするかの議論があった時、3人の候補者があったそうだ。他の候補者は津田梅子と与謝野晶子だったそうだが、与謝野晶子だと政治的に余りにナマナマしいということで樋口一葉に決ったのだとか。
日本人にとって何が名誉か?と考えると「園遊会に呼ばれる」とか「ノーベル賞をもらう」とかあるが一番の名誉は「お札の顔になる」ことではないか?(ちなみに私はお札の顔になる(名誉)よりは、お札の持ち主(金)になる方がよい。)その意味では与謝野さんは政治家として偉くなったおかげで先祖の足を引っ張ったことになる。
1月21日(金)
10:00~ 大阪証券取引所の方2名と日経PRの方が来社。
「デリバティブフェア2011」 (3月6日(日) 東京会場(ベルサール渋谷ファースト) 3月13日(日)大阪会場(梅田スカイビルステラホール))で講演をするのでその打ち合わせ。私は両会場とも12時30分から13時30分まで「デリバティブを知らずして投資を語るなかれ」というタイトルでお話しいたします。
デリバティブの代表である先物市場は今や伝統的市場よりも大きい。ということでデリバティブを知らなければマーケットなど分かりません、という話をしたいと思います。
大阪証券取引所の申し込みページが出来たらプロパガンダでも紹介いたします。
15時からは四谷区民ホールで東京商工会議所新宿支部金融分科会・新宿区しんきん協議会 主催の「新春特別講演会」での講演。
四谷区民ホールというのは地下鉄新宿御苑前の駅近く。私が3歳(昭和28年)から6歳(昭和31年)まで住んでいたところから数分のところにある。私が住んでいたのは新宿2丁目で、まさに赤線地帯であるが、赤線は昭和33年3月31日まで存続していたから、まさに私は幼少時、非常に環境のいい(?)ところに住んでいたのである。当時は私もまだかわいかったから祖母に「きれいなお姉さんについていってはいけませんよ」とよく注意されたものだ。きれいなお姉さんに今でも、ついていきたくなってしまう(注:願望だけで実際ついていっているわけではありませんから誤解なきように)のは、「三つ子の魂100まで」のせいかもしれない。
講演後、NHKの国際放送の録画撮り。
その昔、国際放送に出た時は、左右異なる靴を履いて行ってしまったのに、番組終了後の割烹で靴を脱いだ時に、仲居さんが大笑いするまで気がつかなかった、という失態を犯したので、本日は靴には気をつけて行った。
この番組は日本国内では見ることが出来ない。だから引き受けた。旅の恥はかき捨て?かどうかは知らないが、外国人にはともかく、日本人には私の下手な英語を聞かせたくないからだ。トピックは「日本は財政破たんをするか?」でキャスターはShery Annさんという韓国籍の美人の方だった。
私の前には「Mr.円の」の榊原英資さんを録画してきたそうだ。「榊原さんは、そんなに楽観的でいいのかと思うほど楽観的でしたけど藤巻さんはどう思いますか?」とAnnさんに聞かれた。榊原さんは「円高論者・財政楽観論者」だからすべての面で私の意見と正反対だ。
昔、時事通信に「藤巻さんは宗教家のようだ」と書かれたことがあるが、榊原さんも多分に「円高教・財政楽観教」の教祖様みたいな存在だ。だから、いまさら教義を変えるわけにはいかないのかもしれない。
