(本文)付録「フジマキな日々」は下の方にあります。
1.本年もよろしくお願いいたします。
震災直後からいろいろなところで予想していたように2011年は31年ぶりの貿易赤字になった。以前からサービス収支はずっと赤字だから「貿易+サービス」収支は完璧な赤だ。日本は、まぎれもなく「貿易立国」ではなくなった。今まで「円高」を推し進めてきた大きな要因が消え去ったわけだ。
今までも、しつこく申し上げてきたが、日本は過去の「貿易+サービス」の黒字を海外に投資してそのあがり(配当・金利収入という所得収支)で食べてきた国だ。
その所得収支であるが、昨今の世界的金利低下でますます受け取り利息は減っているだろう。これも「ドル売り/円買い圧力」が減じる理由となる。
2.本日の日経新聞3面でJPモルガン証券のチーフエコノミストの菅野さん(私がモ
ルガン銀行の東京支店長の時に「是非にとお願いして日銀からモルガンに入っいただいた方。高校時代のテニス部の1年先輩で私は頭が上がらない)は2015年に経常赤字に転落する、とおっしゃっている。クレジット・スイス証券の白川チーフエコノミストは14年度から経常赤字だという。
「経常赤字になれば、長期金利の急騰か円の急落か、またはその両方が起きる」というのは経済学が教えるところである。
3.政府は2014年4月に8%、15年10月に10%の消費税増税案を決定したが、そ
れっぽっち増税をしても焼け石に水である。事態ははるかに深刻で、財政破綻は不可避である。もっとも、野田総理にはその英断に拍手を送りたい。票目当てに消費税増税反対ばかりしている政治家に比べれば格段に立派だ。
この法案通過に少しでも時間がかかれば、日本国債の再度の格下げがある可能性もある。いままで格下げは市場に影響がなかったからと言って、今度もないというのは楽観すぎる。債券大暴落の契機となる可能性もある。
4.95%の国債を「国債村の住人」である日本人が持っているから、債券の暴落はないという主張をよく聞くが、きわめて疑問だ。1987年のタテホショックのに2.55%から4か月間で6%まで急騰した時も1989年12月に0.6%から2.4%まで急騰した時も、国債村の住人が売り始めたからだ。
そもそも、日本人が95%も持っているということは、外人にとっては全く魅力がない金融商品だ、ということだ。日本人に売って、余りを外国人に売るのではない。対等に入札に参加できるのだ。全く外国人に興味がない(国際的に投資対象として認知されていない)商品を一所懸命買うところに日本の金融機関の問題がある。市場原理が発達していない。発達していれば海外のもっと魅力的な商品を買っているはずだ。
5 問題の一つは会計の問題だ。私は、いろいろなところで1990年代に米銀が輝いていたのは完璧な時価会計のせいだと書いている。ディーラーはもちろん、会長のボーナス評価も完璧な時価会計によっており、簿価会計の入り込む余地がなかった。
巷では「日本の金融機関も時価会計を導入している」との話になっているが、完璧な時価会計が導入されているか私は疑問に思っている。
理由は第1に長期金利が上下しても、金融機関の決算がそれほどぶれないことだ。完璧な時価会計が採用されていたら、これだけの大量の国債保有額であるからして損益はジェットコースターのようにぶれていただろう。第2に、これだけ財政破綻のリスクが叫ばれているのに、国債を買い続けているのは、簿価会計だからこそで、今年、来年の利益のために、「将来はともかく置いておいて」と国債を買わなくてはならないのだと思われるからだ。完璧な時価会計が採用されていれば、私なら今、国債は売りから入る。
完璧な時価会計が採用されていないうちに金利が上昇し始めたら悲劇が起きる。
その昔、米銀がまだ簿価会計を採用していたとき、私は会長に「金利上昇期に儲けを出したモルガン史上最初のトレーダー」と褒められたことがある。簿価会計のもとではそれほど金利上昇期に金融機関が儲けを出すことは難しいのである。
このことは1月中旬に出る「地方銀行協会」の機関誌に論文として書いておいた。ご参照ください。
(フジマキな日々)
本年もよろしくお願いいたします。
1.12月26日(月)発売の週刊朝日の連載「案ずるよりフジマキに聞け」は「社会主義日本の破綻は歴史の必然」というタイトルで「次男ヒロシが『社会に出てしまうと忙しくて、もうお父さんの講義・講演を聴く時間がなくなってしまうからね」と言って私の一橋大学でのデリバティブ(金融派生商品)の授業と、東京国際フォーラムでの講演会を立て続けに聴きに来てくれた。そこで普段は家内に頭の上がらない、だらしない父親の権威回復をと、かなり頑張った。一橋の講義に関しては「出席もとらないのにずいぶんたくさんの学生が出席しているね」、講演会に関しては「お父さんの予想は、ずーっと外れているのに、集客力だけは抜群だね」と、のたまわった。』で始まりました。
2.1月9日(月)発売の週刊朝日の連載「案ずるよりフジマキに聞け」は「国家の体をなさぬ『まやかし』予算」というタイトルで「新卒時に配属された邦銀支店の仲間と恒例の1泊旅行に出かけた昨年暮れ、「夜中に意味不明の寝言を言って皆の安眠を妨害した犯人」探しが翌朝行われた。そのとき、オオニシ先輩が言った「フジマキかな?フジマキは入社直後、『寝言、言うんじゃない』って、よく次長に怒られていたからな。もっとも、あれは昼間だったけど」。
最初に言っておくが本連載は、今回を含め決して「寝言」ではない!」で始まります。よろしくお願いいたします。
3.1月1日(日)発行の日経ヴェリタス「フジマキの法則」(月1回、第1日曜日連載)は「外貨投資、今年こそは実を結ぶ」というタイトルで「昨年暮れ、大掃除のシーズンンにテニス仲間のマキさんからメールが回ってきた。『近藤麻理恵さんが本で書いている『衣類整理法』をご存知ですか? たんすや引き出しの中身が半分になります、見た目もきれい。是非実行を』私はすぐ返信した。『藤巻健史の『外貨資産運用法』をご存知ですか?すぐに元本が半分になります。くやしいですよ、是非実行を』昨年、外貨投資をした方はくやしい思いをされているかもしれないが、今年こそは逆に実を結ぶのではないか、と思っている。」で始まりました。
ところで先日、大西先輩に「僕、日経ヴェリタスで連載持っているんですが、読んでくれてますか?日経ヴェリタスって、金融界では評判いい新聞なんですよ」と言ったら、三井信託銀行時代の先輩大西さんいわく「僕は金融界より花柳界のほうが好きだからな~。金融界で人気が高いより花柳界で人気が高い方がいいぞ~」 そうか~。
4、フジマキタケシの1週間
12月30日(金)
家族中でお付き合いをしている三味線制作の石村家と我が家で忘年会。犬も柴犬とゴールデンと犬種が違うのだが、仲良くて楽しそうだった。
12月31日(土)
綾子の正月用買い物に久しぶりに付き合う。
地方銀行協会の論文初稿ゲラチェック。年賀状書き。
1月2日(月)
「世界経済『大動乱』を生き延びよ」(朝日新聞出版)で挿絵を描いてくれた妹の家族&先日結婚した妹の長男夫婦&叔母が我が家にやってきて新年会。
1月4日(木)
お昼はクーを連れて近所の犬同伴OKレストランへ。この数日間、「藤巻健史の実践金融マーケット集中講義の改訂・新版」(光文社新書)の初校ゲラチェックに没頭。
1月6日(金)
17時より帝国ホテルで時事通信社主催の新年会。自分で車を運転していって帝国ホテルの立体駐車場に車を止めたのだが、駐車場に入場しようとしたら「駐車券を取らずにどうぞご入場ください」という。あきらかに社長や頭取を玄関でおろした後、車を停めに来た運転手さんと間違えられたのだ。
モルガン銀行東京支店長になってすぐの1996年、銀行協会新年会に自分の車を運転して出かけた時も、あわや運転手さんと間違えられそうになった。
銀行協会につくと、誘導係の若い担当者が、「この40代の男はなんなのだ?」とあきらかに当惑していた。
日本人の頭取は全員60歳以上のお年寄で当然のように皆、運転手つきの黒塗り社用車で乗りつける、だから運転手もついていない若いこの男は、邦銀の頭取のはずはない。かといって運転手でもなさそうだ。車は黒ではないし、それよりもなによりも埃まみれだからだ。
日本人が外銀の東京支店長になるなど誰も考えだにしなかった時代だった。実際、私以外、東京にある外銀に日本人東京支店長はいなかった。銀行協会の若い担当者が私を外銀の支店長だと想像しなくても全く不思議ではない。だから彼が困惑するのは当たり前だったのだ。
この後、この事件にかこつけて私はNYと交渉し無理やり社用車をつけてもらった。ちなみにNYでは会長にも社用車はなく、彼はスーツにナップサックをしょって通勤していた。また、米銀退職後、ジョージ・ソロスと契約した時、「車をつけてくれ」と要求したら、「ジョージ・ソロスも社用車など持っていないが、それでも君は要求するのか?」と聞かれてしまった。「もちろん、いりません。」と即座に返答せざるをえなかった。日本は給料もらうと税金が高いから社用車という所得税を払わなくてすむフレンジベネフィットを給料の代替とする。欧米ではそんなものつけてくれるくらいだったら給料増やせ、ということになるのだ。
会場に17時15分位についたら会場はあふれるがごときに一杯だった。ちょうど 野田総理が、スピーチをしていた。雑踏の後ろで、ぼーと聞いてたらあとから、入場してきて私の前を取りすぎようとした魅力的な女性が私の胸にさしてある名札をちらっと見て「わー藤巻さんだ、握手してください!」といってきてくれたのだ。「エ~、誰だったかな~?こんな魅力的な女性なら1度お会いすれば覚えているはずなのに」と考えながら「前、どこかでお会いしましたっけ?」と聞いたら、「いえ、初対面なんですけど、厚かましくて恐縮ですが握手してください」とおっしゃるのだ。
握手した後、彼女は、「ありがとうございます」と言いながら立ち去られたが、後ろにいた三井住友銀行の国部頭取が「藤巻さん、彼女と知り合い?エ、知らないの? あの人ゴルフの小林さんだよ」と、うらやましそうに言う。私はゴルフをやらないので、そう言われてもよく理解できず「ゴルフ道具の会社の女性社長さん」だと思っていたら、さらに国部さんが「日本女子ゴルフ協会会長の小林浩美さんだよ」と言う。野田首相の演説なんて完全無視で、小林さんのところへすり寄り「先ほどは失礼しました」と名刺をお渡ししてきた。
今日は、手を洗うの、辞めとこっと! この話を本日テニス仲間のマキさんに自慢したら「悪いけど、フジマキさんに比べると小林浩美さんの方が100倍、知名度があるんだからね」。わかっています。反省しています!しかし、あれだけ人懐こい明るいキャラだから会長職も勤まるのだろうな~。
野田総理の後、谷垣自民党総裁、その後公明党のどなたか(遠くでどなたかよく顔がわからなかった)の演説が続き「政局演説会」みたいになってきたので、その3人の話が終わったところで、失礼して退席した。ボスが待っていたからだ。政局の話よりボスの方がよほど重要だ。
近所の料理屋さんでボスと夕食。予約もなしに、「あるもの出してよ」とお願いしたのだが、先日と同じように香箱蟹が出てきてうれしい~!
この料理屋さんであるが、前、健太を連れてきたとき、え、我が家の近所にもこんなところがあるの?と聞いてきたレトロなビルの2階にある。
帰りがけにいつものコーヒーショップ「ダン・アロマ」で一杯。
1月7日(土)
テニス。えらく調子が悪い。駄目だ~、ダメだ~とぼやいていたら久世夫人から「正月早々、ぼやかないでよ~」との声。
1月8日(日)
テニス。6-3、6-4と2勝。第1試合は中村さんと組んで、渡辺・波多野組に逆転6-3で勝ったが、渡辺さんも波多野さんも私の小学校から高校までの先輩(5年上。東京教育大学付属)。このお二人は東大だから中村さんの大学の先輩。(先輩チーム)対(後輩チーム)の試合だったわけだ。学校の先輩は、いつまでたっても先輩で、まったくと言っていいほど頭が上がらない。
それなのに、後輩チームが先輩チームに勝たせていただいて「ごちそう様~」
