本文(いよいよ本格的「ドル高円安期」到来か?)

2017年07月04日

(本文)付録「フジマキな日々」は来週まとめて掲載いたします。先週は朝から晩まで都議会議員選挙応援でした。

1いよいよドル/円、本格上昇期か?

「長期金利、世界で急上昇。日銀、利上げ『蚊帳の外』」―――本日の日経新聞マーケット欄のタイトルだ。まさにそのとおり。日銀は利上げの方法を(他国と違って)失ってしまった(=これが出口が、ありや無しやの議論だ。出口が無いとは利上げの方が無いということ)から未来永劫に取り残される。

米国10年債国債利回りも2.35%に上昇し、それを受けてドル/円も113円台に上昇してきた。いよいよ日米金利差拡大(特に長期金利)でドル/円の本格的上昇期に入ってきたかと思う。

ドル/円が130円、140円の世界になれば、CPI(消費者物価指数)は容易に2%に達成し、その後は1㌦=1000円、1㌦=1万円、1㌦=10万円の世界に突入する可能性がある。日本売りのリスクだ。

日銀に出口が無いのは明白だ。「出口がある」との大本営発表はもう辞めるべきだ。信じた国民が(個人でも出来る)「Xデーへの備え」を怠り悲惨な思いをする。

Xデー後の数年間の国民の命を守るために 、日銀もドルを買い貯めておく(=どうしても「異次元の量的緩和」を継続したいのなら日本国債ではなく米国債の購入をする)など備えをするべき時期だ。紙屑のようにばら撒かれた円では、外国は石油も食料も売ってくれないがドルなら売ってくれるからだ。省庁間の縄張り争いで、為替は財務省の専管事項などといっている場合ではない。

「本当に出口があるのなら、日銀は『出口を語るのは時期尚早』などと逃げずに詳細を言ってみろ!と言いたい。プロの間でこれだけ出口に対する不安感が沸き上がっているのだから、それに答えるべきだ。私は出口が無い(=利上げの方法、バランスシートを縮小する方法が無い」から日銀は回答を渋っている、と思っているが、あるのなら明示すべきだ。

今は、「出口を明示しないでマーケットが混乱するリスク」の方が、「出口を明示してマーケットが混乱する」リスクよりはるかに高い。といっても出口が無いから日銀は明示しようがないと思うが。

参議院財政金融委員会での私の「出口に関する」質問に対する岩田副総裁の答弁はあまりにも苦しい。苦しすぎる。

 

2.政治リスク等より長期金利差がはるかに重要。

政治リスク等はデイ・トレーダー(日計り)には重要であっても為替の動向の大勢には関係ない。為替動向は日米金利差、特に長期金利差で予想すべし。

私は日米長期金利差はこれからかなり開いて来ると思うので、ドル円急騰を予想する。

以下、話を分かりやすくするために、複利等を考えないで極めて簡単にして話を進める。概念がわかっていただきたいだけだからだ。

10年の日本国債と10年の米国債のどちらに投資するか考えよう。

両者の間出には現在約2.3%の金利差がある。10年間では23%米国債投資の方が利息を多くもらえるということだ。ということは、ドル債投資は、満期時に円に戻す時、為替で23%の損をしてもチャラだ。

これが日米長期金利差が4%に広がったとしよう。満期時に為替で40%損をしてもチャラなのだ。現在、1㌦=100円なら10年後に60円以下になると確信しない限りドル債投資の方が有利だ。

政治リスクで10年後のドル/円が59円以下になると思わない限り、今、ドルを買ってのドル債投資の方が有利である。

これはドルの先物取引でも同じ(俗に円キャリトレードと言われるのはこれ。実際に円を借りてドルを買うなどはしない。先物取引での勝負のこと)。

10年後にドルを買う約束をする(これを先物取引という)と日米10年物金利差が2.3%の時は23円安の値段だ。(今100円なら1㌦=77円)。

これが日米金利差が4%になれば10年後のドルを今、買う約束をすると60円で買える。10年後になってドル/円が70円になっていれば10円の儲けだ。(60円で買う約束を10年前にしてあった。それを70円で売るから)

先物のドル買いは、その仕組みからして直物(本日の)のドル買いを伴う。だからドル高。

これだけの金利差の影響を覆す政治的要因など、通常は無い。

 

3.「下期日本経済の予想」

昨晩BSイレブンの報道ライブINsideOUT(21:00-21:50)に出演いたしました。

久しぶりのTV出演です。なにせBSイレブンは毎日新聞社の中にあると思って走り出したのですが、信号停止中にふと地図を見たら違う!ここで気がついて間に合いました。3年前に現在の地(お茶の水近く)に移転したそうです。番組に穴をあけるところでした。

「下期日本経済の予想」というタイトルです。

2週間に限り、このBSイレブンのWEBページより無料で見られます。

「グズグズ状態継続かドカ貧か?」とのキーワードでコメントをいたしました。

http://vod.bs11.jp/video/insideout/G0wpy3/

 

4.先々週の週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

先々週の週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」は「無理を承知で奥地へ、現代のインパール作戦」というタイトルで 以下の内容でした

「景気が過熱し、日本銀行が日銀当座預金(当預)の付利金利を上げ始めると、日銀は巨大な損失を垂れ流す。私はそう指摘してきた。

一方で、日銀の説明はこうだ。付利金利を上げる事態になれば、長期金利も相応に上昇。当預への支払額か増える一方で、保有国債の利回りも上がる。だから、問題なしというわけだ。

冗談じゃない。机上の学問ならいざ知らず、そんな詭弁、マーケットの参加者の誰が信じるものか?

◆  ◆

将来、長期金利が上がれば、国債を大量保有する日銀は評価損をどの程度抱えるのか。6月8日の参議院財政金融委員会で、岩田規久男副総裁に尋ねた。

答弁によると、長期金利がイールドカーブ全般にわたり1%上昇するパラレルシフトの場合、時価総額は24.6兆円程度減少するとの試算だった。2%だと44.6兆円、5%だと88.3兆円。長期金利(10年債)が最も高かった1980年4月並みに11%となれば、140兆円程度減少するという。

日銀は2016年度末時点で、国債評価益9.6兆円を含む有価証券全体の評価益が14兆円ある。先ほどの評価損と差し引きすると、有価証券評価損は1%で10.6兆円、2%で30.6兆円、5%で74.3兆円、11%で126兆円の計算だ。

日銀は16年度末の経常利益が1兆952億円で、自己資本残高が7.8兆円。インパクトの大きさがわかる。こんな日銀が国民やマーケットから信用され、その信用のもとで流通する円は暴落しないのか?

岩田副総裁は長期金利をそんなに上げさせないし、償却原価法(=ほぼ簿価会計)を採用しているから評価損は具現化しない、と説明する。「だから大丈夫」という趣旨のお答えだった。

しかし、株式もそうだが、公表される財務諸表がまっとうでも、時価評価したら莫大な債務超過となる企業の信用は失墜し、株価は暴落する。日銀とて同じだ。まして、「長期金利をそんなに上げさせない」は根性論にしか聞こえない。

岩田副総裁は、具現化しない巨大な評価損を抱えても、いずれは保有国債の利回りが上昇するから問題ないという。しかし、異次元の質的量的緩和の「質的」とは、長期国債の購入のこと。日銀は10年国債を中心に、30年、40年ものも大量に買っている。これらの満期が到来し、高い利息の国債に買い替えないと、受取利息は簡単に増えない。長期金利も上昇しない。

(以下略)」

 

5、先週の週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

先週の週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」は「政府の自信過剰に驚き、財政健全化の新指標」というタイトルで 以下の内容でした

「先読めぬ妻の機嫌と変動金利」。先日タクシーに乗ったら、助手席後ろの広告にこう書いてあった。何の宣伝だったか忘れたが、うまい。座布団、1枚。

★  ★

政府が6月9日、「経済財政運営と改革の基本方針2017」を決定・発表した。財政健全化の新たな目標として、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率の「安定的な引下げ」が追加されたことに注日したい。国際公約である基礎的財政収支(PB)の20年度までの黒字化達成が難しくなり、新指標が必要なのかもしれない。

この指標はPBが赤字でも改善の可能性がある。PB黒字化未達成時のエクスキューズに使えそうだと考えたのか?また、「歳出を増大したい人たちの口実のため」とも言われる。新指標の分子は債務残高で、長期金利の水準に大きな影響を受ける。一方、分母の名目GDPは財政出動で大きくなる。長期金利が低位で安定すれば、新指標は財政出動で改善する。財政出動派の人たちには「願ったりかなったり」の指標と思えるだろう。巨額財政赤字の折、とんでもない話だ。

しかし、新指標が改善するのは「金利が低位安定」との条件付き。これは、極めて難しい条件だと思う。

長期の名目金利が現在著しく低いのは、日銀が国債の年間発行喩の8割以上という爆買いをしているから。日銀のおかげで、国債価格は高値安定(長期金利は低位安定)している。 消費者物価指数(CPI)が安定的に2%で推移すれば、日銀は国債購入をやめるのではないのか?異次元の質的量的緩和という長期国債の爆買いは、この目標のためなのだから。

政府は歳出の約4割を借金(国債発行)しており、その借金の8割を日銀が担っている。日銀が撤退すれば、国の資金繰りに疑問が生じる。資金繰り倒産の確率が上昇し、名目金利急騰の原因となる。

(中略)

金利の先行きは、変動金利(短期)だけでなく、固定金利(長期)もわからない。私はいずれ暴騰すると思っている。

新指標が「安定的低下」どころかとんでもなく急騰すれば政権の命取り。こんな指標をよく採り入れるものだと、政府の自信過剰ぶりに驚くばかりである。」