本文(臨時版)

2017年08月11日

(本文)臨時版

本日(8月11日)ドル/円が一時109円を割り込んだ。「避難通貨の円に資金が流れ込んだ」という解説がもっぱらだが、何をかいわんや、だ。誰が地政学リスクの高まっている日本に資金を投入するのか?ありえない。こういう分析をしていると、今後の市場の動きを読み違える。

今、「避難通貨」と、はやし立てて円を買っているのはデイトレーダーにすぎないのではないか?「避難通貨=円」のパブロフの犬的発想で思考停止状態だ。

 

昨日のNYで円が急騰したのは、米国での危機意識の高まりで「米国株売り・米国長期債買い」が起きたからだろう。10年国債の利回りが2.25%から2.20%と低下し、日米長期金利差が縮小したからだ。それが為替でドル安・円高を引気起こしたに過ぎない。本日の通信社ロイターの記事の中に「XEドット・コムの首席市場ストラテジスト、レノン・スイーティング氏は『日本と北朝鮮の地理的距離を踏まえると、円がリスク回避の恩恵を受けていることは驚き』と指摘。米債利回りの低下も円押し上げに寄与した可能性があるとの認識を示した。」というのがあっが、まさに米債利回りの低下が円を押し上げたにすぎない。

 

今後の為替の動きは、ひとえに米国長期債金利がどうなるか、だ。9月からのFRBのバランスシートの縮小(=FRB米長期国債購入の縮小)を考えると、これ以上の米国長期金利低下は考えにくい。ドル円の下落もたかが知れているということだ。万が一戦争になったら(ならないと信じたいが)、米国は戦費増大、財政悪化懸念で長期金利は引き上がる。

 

もし本当に北朝鮮リスクに市場が目を向ければ、日本はトリプル安(株、債券、円の下落)が起きるだろう。まだ大したマグニチュードで起こっているわけではないが、この数日間の韓国市場の動きが、危機が高まった時の市場の動き(=トリプル安)だ。通貨も当然売られる、

 

野村証券の証券用語解説集によると、地政学的リスクとは「ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのこと」だ。

核攻撃の射程圏に入っている日本と、まだ入っていない米国とどちらが地政学的リスクが高いかと言われれば日本に決まっている。

以下、8月10日付 日経新聞「北朝鮮、ICBM実戦配備に現実味―専門家の見方」

「 李春根(イ・チュングン)韓国科学技術政策研究院先任研究委員 核弾頭の小型化に成功したというのは、ミサイルに搭載して発射できる水準になったという意味だ。弾道ミサイルのうち中距離のノドンと短距離のスカッドは小型化をすでに達成したとみられる。韓国と日本は核攻撃の射程圏に入っている。ただ、ICBM用の小型化とは技術の差が大きい。北朝鮮がICBMに搭載可能な核弾頭を完成したと判断するにはまだ早い。様々な機関の評価が一致するまで見守らなければならない。

北朝鮮は技術面で核実験を追加実施する必要がある。水素爆弾やブースト型核分裂兵器と一緒に、より威力の大きい核弾頭を開発することも可能だ。小型化を進めるとともに、核弾頭の量産に向けて核実験をすることもあり得る。(ソウル=峯岸博)」