「日銀の監督官庁は会計検査院」「自転車操業の財政。財政ファイナンスに頼らざるを得ない」他

2024年02月01日

(本日第2弾)

本日は朝に第1弾もアップしています。そちらもお読みいただければ幸いです。

 

(ここに述べる意見/分析は私が所属する政党の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 

1.

昨日の報道によると、会計検査院の院長に田中氏が決まったそうだ。私の認識が正しければ日銀の監督官庁は会計検査院。日銀の財務の健全性に何も警告を与えないまま日銀が崩壊したら、その責任は逃れ得ないのではないか?日銀は償却原価法(簿価会計)をとっているから、評価損を計上しなくて良いと黒田前日銀総裁は私の質問にいつも答弁されていたが果たしてそうか?日銀の会計基準が制定されたのは、確か1997年。大原則として民間の会計基準にのっとるとしている。民間の会計基準とは満期保有のものは簿価 会計、途中売却の可能性があるものは時価会計である。会計原則が制定された1997年当時、日銀保有国債はほとんどが3ヶ月未満の短期であったから満期保有は当然のことであり、簿価会計を原則とするのは道理が通る。しかし、日銀の購入国債の大分が10年を中心とした長期債になったいま、果たして日銀は満期までそれを保有できるのか?金融政策を機動的に動かすのであるならば、ランオフはもちろんのこと保有国債の市中売却も考慮にいれなくてはならない。そうでなければ日銀は いくらインフレが加速して保有国債を売却しばらまいた資金を回収しインフレを鎮静化することができない。 黒田前日銀総裁は私の質問に対し、日銀が簿価会計を採用し続ける理由として、今まで保有国債を市中売却した事が無いからと答弁された。万が一インフレが加速し、保有国債を売却したときは、会計原則に乗っ取り、すべての保有国債を時価評価しなければならなくなる。その時には莫大な損失が財務諸表上に現れる。とんでもない債務超過に陥るわけで、これが怖くて、いくらインフレが加速しても、日銀は国債を売れないと言う事態に陥る。インフレ抑制の重要な手段がもうないと言う事。通貨の安定のために、日銀は株や長期国債など価格がボラタイルで債務超過に陥るようなものを買ってはいけないのである。これを無視したつけは円の紙屑化として現れる。 この辺はいずれ会計検査に聞いてみたいと思っている。なお1番重要なのはま日銀の評価をするのは日銀自身はなく、格付会社や外資の審査部等の審査するサイドの基準によると言う事はしょっちゅう申し上げている。

 

2.「自転車操業の財政。財政ファイナンスに頼らざるを得ない」

1月30日の鈴木財務大臣の財政演説では、令和六年度の国債発行総額は約182兆円とのこと。令和6年度予算では赤字(新発国債の発行)が35兆円。このほかに満期の来た国債の償還資金確保のための約147兆円の国債を発行(借換債)するということになる。

このトータルが完売できなければ政府はデフォルト(満期が来た国債を返せない。金利を払えない)だ。私がかって国会で聞いた時は平成29年度で国は141.3兆円を発行し日銀は96.2兆円を購入しているとのことだった。FRB などは、せいぜい10%だったのだから日銀は次元の違う財政ファイナンス(政府の資金繰りを政府が国債発行をすることによって賄う)を行っていることがわかる。

民間には182兆円をも購入する余裕はないだろうから日銀が大部分を購入しなければならない。私が金融マンのときは日銀などごく少額しか国債を買っていなかった(それもほぼ三ヶ月未満の短期国債)。国債市場でモンスターになった日銀が保有国債を売却したり、ランオフしたり、ましてや保有国債っを市中売却すれば、長期先はとんでもなく高騰する。すなわちインフレ率がいくら高騰しても日銀はばらまいたお金を回収し、インフレをコントロースすることなど出来ないということ。私が「すでに日本の中央銀行は消滅した」という理由。

 

3.「マイナス金利解除を騒ぐ愚行」

以下の右欄 「無担保ON コールルレート」とは日銀が政策金利を変化させることによって誘導しようとする市中金利(米国ではFED Fundレートに相当)だ。

1月31日 政策金利 マイナス0.1%  無担保ON コールルレート マイナス0.011%

1月30日 政策金利 マイナス0.1%  無担保ON コールルレート マイナス0.011%

1月29日 政策金利 マイナス0.1%  無担保ON コールルレート マイナス0.011%

1月26日 政策金利 マイナス0.1%  無担保ON コールルレート マイナス0.010%

1月25日 政策金利 マイナス0.1%  無担保ON コールルレート マイナス0.012%

マイナス金利政策が解除されると

政策金利     0.0%     無担保ON コールルレート   0.0%

市中金利がマイナス0.011%からゼロ%になる。それで何が変わる?これが金融緩和解除と大騒ぎすることか? な~んにも変わらない。騒いでいる連中恥ずかしくないのか?マイナス金利解除とゼロ%からプラス金利にするのでは日銀への負荷がとんでもなく違う。だからマイナス金利政策解除は出来るがプラス金利へは困難。マイナス金利政策解除はプラス金利の第1歩でも何でもない。