紙幣刷新は何のため?(臨時版)

2019年05月27日

1.2024年の紙幣刷新は何のため?

政府は5年後の2024年に福沢諭吉1万円札など新紙幣の発行を発表した。「世界最先端の技術で偽造を未然に防ぐため」だそうだ。新聞記事によると国内では約150億枚の紙幣が流通し、18年には約1700枚の偽造が見つかったそうだ。全部1万円札としても1700万円。確かに見つかったのはごく一部だとしても、その程度で大金を使って新しい紙幣を刷るのか?大財政赤字の折、予算の無駄。預金封鎖&新券発行の準備を堂々と行うカモフラージュでは?と勘ぐってしまうのは私だけか?秘密裏に新券発行の準備をすると国民がパニくるから。ちなみに異次元緩和で増えるのは発行銀行券と思っている人が多いようだが(とくに統合政府論者)増やしているのは、利上げ時に高い金利を払わなくてはならない日銀当座預金だ。日銀当座預金は、国債を買い取った代わり金としてその民間銀行の日銀当座預金残高を増やすだけなので、日銀がいとも簡単に増やせるが、発行銀行券を能動的に増やすのは難しい。発行銀行券は刷っただけで倉庫に置いてあるのは単なるモノで通貨ではない。国民が休日前とかに手持ち現金を手厚く持つとか、低金利なので預金が魅力的ではないのでタンス預金を増やすなど、国民サイドからのアクションがなければ増えないのだ。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45292200W9A520C1NN1000/

 

 2.少子化対策は必要か?

Twitterに以下のように少子化対策について質問が来た 「藤巻さんは、経済のスペシャリストですから、得意分野で日本をこっ酷くこき下ろしていますね。しかし、僕は少子高齢化が全ての元凶と考えております。少子高齢化についてはどうお考えですか?どうすれば改善できるとお考えでしょう?」 私の回答「子供が欲しいのに経済的理由等で子供ができない方には手厚い保護をすべきだと思います。しかし国の将来が危ないから「産めよ、増やせよ」は富国強兵を思い起こします。政治家は外国にいくと名目GDPが高い方がちやほやされて気持ちいいかもしれませんが国民は一人あたりの富が高ければ幸福になると思います。 シカゴ大学ノーベル経済学賞受賞のゲーリー・クーパー教授が「人は豊かになると少人数の子供に金とエネルギーを集中させる」と言っています。地域的にも歴史的にもそれは正しいと私は思っています。それなら最終的に少子化対策は移民政策しかないと思いますが、それを国民は受け入れるのか?。 少子化対策大臣に国会で「少子化対策に国は毎年いくら使っているのか?」を聞いたらGDPの1%、約5兆円という回答が返ってきました。少子化で何が問題赤というと、結局は年金問題だと思うのです。モノに対する需要減は円安で海外に輸出をしていけば対処できます。だとしたらこの毎年5兆円を年金の「確定給付型」から「確定年金型」へのシフトに必要なコストにあてた方がいいと思うのです。皮肉を言えば、クーパー教授の「豊かになれば人は子供の数を減らす」説に従い、少子化対策をせずとも、異次元緩和を継続していれば国民は大貧乏になり子供は増えます。」懇意にさせていただいている富山の医師、内藤先生からリプライがありました。「少子高齢化はいいことではありませんが、多少の対策を講じたところで解決できるわけないです。日本は先進国に先駆けて少子高齢化、人口減少局面を迎えるので、経済成長率に拘るのはやめて新しい国の方向性を決めていくべきです。政治家が自らの選挙のために、官僚が予算確保のために旧態依然とした景気対策を続けることは大きく道を誤ることになってしまいます」まさにおっしゃる通りだと思います。

3.大阪都構想 再び住民投票

朝日新聞東京版1面に載った記事だ。大阪都構想が来年秋から冬にも再び住民投票が行われることになりそうだとのこと。東京都民は、都構想という言葉から「大阪が東京に取った代わり首都を狙う構想」と誤解、反発している人がいるようだが、それは違う。朝日新聞に書いてあるとおり「大阪市をなくして東京23区のような特別区に再編する改革」だ。「権限が重なる道府県と政令指定都市が時に対立する問題は、全国的な課題だ。(略)地方自治のあり方に大きな一石を投じることになる」朝日新聞もずいぶん好意的な書きぶりに変わったが、まさにその通りなのだ。東京で76年前に行った改革と同じことをしようとしている。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14030041.html?iref=pc_ss_date

 

4.対内直接投資を増やそうとするトランプ大統領は正解

大阪が盛り上がっている証拠で大阪にとってとてもいいニュースだ。大阪の行政が大阪や近隣の住民にとって望ましい経済運営を行っている証左である。ところで大阪本社の企業が逆に大阪にある工場を閉鎖し、どんどん他県へ進出していったら大阪の人達はどう思うだろう。職は大阪の住人から他県の住人に移り、彼らが払う地方税や固定資産税等は他県に入る。ただ利益は大阪本社で計上されるし、同じ国民だから不満は起きないかもしれない。競争社会だから県同士の魅力作り競争は、かえって望ましいと思うかもしれない。しかし国がまたがる場合は話が別だ。日本人の職は外国人に奪われ、彼らの所得税、固定資産税等は他国政府に行ってしまう。多くが子会社形式での海外進出だから、日本への利益送金は配当金形式であり5%しか日本政府には税金が入ってこない。日本政府は日本企業の海外進出にえらく熱心な一方、日本への外国企業の誘致には無関心のようだ。(日本への)対内直接投資額は世界ランクで極めて低位にある。トランプ大統領は米系企業の還流、外国企業の米国への誘致に熱心で真逆。日本企業にもそれを要求している。トランプのほうが正しい。対内直接投資を促すには円安や、雇用政策の変更が必要だ。日本は人手不足と言われているがホワイトカラーに限って言えば、完全な供給過多。ホワイトカラーの職の確保には(日本への)対内直接投資誘致が不可欠なのだ。

https://www.asahi.com/articles/ASM5R4PPZM5RPLFA004.html?fbclid=IwAR1SeGeqRX4nW2Q_DSCY39ibXocCJ8_azo_hcKmQNQqF_v_DPT2Tjnq8apI

 

261回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

261回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」は「私が仮想通貨に注目する三つの理由 」というタイトルで以下のとおりです「私か新卒で入行した三井信託銀行(当時)千葉支店のOB・OGの旅行が、2018年秋にあった。ここ10年ほど恒例行事だが、今回は高野山へ。宿坊に着いて早々、奥の院へ行くことになり、幹事で慶応大落語』研究会出身の大西先輩がお坊さんに聞いた。「奥の院はここより標高が高いので、コート持参がよいですかね?」。返事は「夕方は冷えますよ」。大西さん、みなへ向かって「高野山に来たと思ったら、冷えー山ですって」。おあとがよろしいようで。

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購入目的が分散するほど売買タイミングも多様化する。その結果、一方向への偏りが少なくなる。 機関投資家が参入すれば、ボラは小さくなるだろう。市場が大きいほど参加者の目的も分散し、売買のタイミングがばらける。参入の条件は二つあると思う。一つは、先物やオプションでのヘッジ。機関投資家はヘッジ手段のない市場には参入しない。先物市場があると、カラ売りできるから良くないとの説を聞くが、マーケット経験のない人の主張だと思う。先物市場はヘッジ手段になり、機関投資家が参加しやすくなる。 もう一つは、株などの有価証券と同様に、投資家に代わって保管・管理する機関「カストディアン」が存在すること。金融機関は自分では保管せず、管理する機関の役割が重要になる。これらの条件はそう遠からず実現すると思っている。 短期的に価格が乱高下する仮想通貨だが、それでも私が注目する理由は3点ある。第1は円の信用が失墜したときに、避難通貨の役割を果たせるから。

(略)

第2に、仮想通貨に使われるブロックチェーンの技術がネットの次の「革命」として期待できるから。(略)第3点の理由は仮想通貨自身の将来の明るさ。銀行口座を持たない人は世界に20億人といわれる。近くに銀行がない、信用度が低いなど様々な理由はあろうが、彼らは現在、経済取引圏から除外されている。 口座を持たず入金も出金もできない人が、スマホを持っていれば仮想通貨を使って世界の人々と経済取引できる。20億人が参加できる手段と考えれば、仮想通貨の未来は明るいと思う。」

6263回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

263回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」は「株価の乱高下、逆資産効果の恐怖 」というタイトルで以下のとおりです

「(前略)

『株や不動産など資産価格の動向が、景気に最も強い影響を与える』。長年のディーラー経験からの私の主張だ。不動産や株が高騰すると、人は金持ちになった感覚で消費を増やす。それで株価がさらに上昇する好循環が生まれる。この資産効果なくして、日本のバブル期の狂乱経済や昨今の米国の好景気は説明できない。 米国は現在、消費者物価指数(CPI)上昇率がそれほど高くないのに景気が強い。資産インフレが進んでいたからだと思う。株価は3ヵ月前まで史上最高値圏、不動産市況も強く、完全雇用。なのにCPIは高くない。狂乱経済といわれた1985~90年の日本のバブル経済期と同じだ。 ただ、資産効果で好景気を支えていた株価が下落し始めると、逆資産効果が起きる。そのすさまじさは、バブル崩壊後の失われた30年からも明らかだ。株価下落→景気悪化→さらなる株価下落の逆回転が怖い。 米国は金融政策が出口に向かい、政策にゆとりがある。再度の短期金利下げなど逆回転を止める武器がある。それに対し、問題は日本。日本株は米株に振り回され、すぐ巻き添えを食う。 しかも、米株下落で米長期金利か低下すると、日米金利差が縮小して円高が進む。「円は避難通貨」との思い込みもあって、一層円高になる。それで日本株がさらに下がる。弱い米株と円高のダブルパンチだ。

(略)

バブル崩壊時は簿価会計のため、経営者が損切りできなかった。前経営者が先送りした分までかぶり、巨額の損失計上を迫られる。しかし、今は時価会計で、昨日までの損失は昨日までにけりがついている。保有株は純粋な将来の株価予想で損切りできる。損を出したくないから決断できないということにはならない。 今は株を購入する力が民間にある。政策に頼らなくてもいい点に期待したい」