(臨時版)日銀の「国債購入制限なく」の意味 他

2020年04月24日

1.日銀の「国債購入制限なく」の意味

コロナ禍に大型財政支援を赤字国債発行で行うのだから、27日の金融政策決定会合で決めなくても、「日銀が制限なく国債購入をする」しか他の選択肢はない。民間で国債を買う人は今、いないのだから(入札で買う人は、日銀への転売目的)。要は政府の資金繰りのための制限なしの購入だ。財政ファイナンスを実施せざるをえませんよ、との確認に過ぎない。

日経新聞は「日銀は次回会合で中央銀行として長期金利の上昇を抑え込む手段を広げて金融市場の動揺に備える」と書くが「金融市場の動揺に備える」のが目的か?正確には「日銀自身の倒産を先送りする」のが目的だ(0.3%の長期金利上昇で日銀は債務超過)。

「長期金利の上昇で動揺するのは誰か?」を考え得ていただきたい。参議院議員の時に聞いたが銀行融資で長期金利に連動するものはごく少ない。長期金利上昇で影響を受けるのはせいぜい社債くらいだが日本は間接金融の国で社債発行自体が少ない。

住宅ローンはほぼ変動型。今、企業は欲しいのは資金繰りを賄うお金で短期金利連動型。長期金利が影響する社債も発行できる環境にない。長期金利の上昇でダメージを受けるのは国と日本銀行である。

この機に日銀の国債引受けはやむを得ないと私も思う。しかしその一方、日銀は「もう再起できない(=新中央銀行の設立)と腹をくくった」のだと私は思う。それならば過渡期の混乱は最小限にするために早く新中央銀行設立の準備をした方がいい。お札は「渋沢栄一」を刷っているから間にあう。個人は福沢諭吉の価値がゼロになる可能性が高いから早くドルのMMFで身を守った方がいいと思う。新しい中央銀行の下、必ず日本経済は復興する。その時を明るい気持ちで迎えるために。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58430050T20C20A4MM8000/

 2.資本主義の否定

日経新聞 「大樹小機」いわく「今回、コロナショックに伴い、市場で一時的に資産の投げ売りが生じた。こうした恐慌状況を防ぐべく政府が国有化も含めて市場に介入し、市場機能をあえて停止させてしまうことは、感染症防止とはいえ資本主義の否定にもつながる。歴史を振り返れば、世界大恐慌が生じた1930年代の危機時、その状況から最も早く立ち上がったのは全体主義国家のソ連とナチスドイツとされる。今日、従来の自由主義国家もなし崩し的な戦時経済、全体主義的な発想に向かいだしている」。強くこの懸念に共感する。中央銀行が株、長期国債、不動産市場を圧倒的に支配している日本はその先頭を走っている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58426680T20C20A4EN2000/

3.マネックス証券 松本大会長の提案

FBを読み返していたらマネックス会長の畏友・松本大さんが私のFBに提言をしてくださっていた。気が付かずに失礼しました。面白いアイディアで、研究する価値はあると思う。

ただ日銀に引き受けさせないのに(引き受けさせたら最悪です)100兆円も買ってくれる人がいるかどうか?1%と相対的に高い金利を示しているので買い手がつくのかも?

しかし万が一(というか私はかなりの確率でそう思っているが)日銀が倒産した場合、円建てですからこれもパーになってしまうとの弱点は残る。(その意味でも日銀財務がこんなに脆弱になってしまったのは痛い)。

将来世代ではなく現代世代が政策ミスの償いをするという意味ではハイパーインフレと同じだと思う。もっとも、ハイパーインフレは政策というより、政策ミスによる人災だが。

https://media.monex.co.jp/articles/-/13868?fbclid=IwAR3oG–8u0CLe1UKon0NJXf47xJldVPfUd9pTRYRKckRPVPuD6jNck1HryA