「『日本化』か『日本病』か?」「邦銀ドル調達・中銀頼み」

2020年06月30日

(1)邦銀ドル調達。中銀頼み

昨日私がSNSで書いた内容を日経が補強してくれた。日本を含め世界はドル不足だ。政府・日銀が一時的処理で何とか日本でのドル不足をカバーしている。この一時的処置はFRBに頼っているわけで彼らの判断/利害で日本でもドル不足が途端に顕著になる可能性がある。ちなみにこの一時的処理により、上乗せ金利が急低下すると、外資が大きなマイナス金利で円調達ができなくなる。それは日本国債に対する外国人需要が無くなることを意味する。現在、日本国債の買い手は日銀と外国人だけと言ってもいいが、後者がいなくなるということ。計画経済でマーケットをすべて政府が取り仕切ろうとすると、あちらこちらでひずみが生じ、矛盾が噴出してくる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60934340Z20C20A6EN2000/

 (2)日銀は超メタボ。出口なし。BS中央銀行

本日の日経新聞の経済教室に載っていた図表である。私もたびたび触れている内容だが、図表にするとわかりやすい。過去のハイパーインフレの経験から「禁じ手中の禁じ手」と言われている財政ファイナンス(政府の歳出を中銀が国債を買うことによって賄う)をコロナ禍でFRBやECBも始めた。「なぜ日銀だけが危ない、と藤巻は言うのだ?」と文句をつけられることが多い。しかし、この図を見ていただきたい。日銀は平時に開始し、今、断トツの先頭を走っているのだ。他の中央銀行も財政ファイナンスを開始するのは怖かったと思う。しかし一つ安心材料がある。日銀がはるか先頭を走っていて、それでもハイパーインフレを起こしていないという事実だ。しかし、いつまで大丈夫かはわからない。日銀を「炭鉱のカナリヤ」として、日銀がこけたら、すぐ方向転換しようと日銀を注視しているはずだ。日銀がバランスシートを縮小するのは、満期になった国債を買い替えずに政府から満期元本額の返済を受けるしかない。FRBでさえNS縮小時、その方法しかなかった。要は集めた税収で満期元本額を返済してもらいBSを縮小するしか手段がないということ(でも日本は単年度巨額赤字でそれも難しい)。市中に売れば金利が暴騰し財政破綻するからだ。すなわち対GDP比の数字とは中央銀行がBSを縮小する困難度の指標だ。日銀にはもう出口はない。お金ガジャブジャブのままでハイパーインフレを迎えるだろうから、解散して新中央銀行を作り通貨の信認を再獲得するしか道筋が考えられない。 

(3)「日本化」か「日本病」か?

本日の日経新聞の経済教室に「日本では四半世紀にわたり低成長、低インフレ、低金利が続き、これが常態化した社会・経済環境をジャパニフィケーション(日本化)と呼んできた」との文章があった。日本ではよくこの「日本化」という言葉を使う。しかし海外では、これを「日本病」と呼んでいる。

世界的に権威ある経済誌(各国の蔵相・中銀総裁経験者、著名大学の著名経済学者が寄稿する。実は私も寄稿を依頼される(笑))「The international Economy」の春号の特集は「日本病は世界に蔓延するか?」だ。昔、老大国・英国が「英国病」と揶揄されたのと同じ。その認識がマスコミニも政治家にもない。 

(4)就職試験での珍回答

2021年春入社の就職も厳しそうだ。早く終身雇用制が無くなり、人生選択が「18歳または22,23歳の1回限りではなくなる」時が来ることを望む。ところでJPモルガン時代、面接試験で、超一流校の理系の学生に「自分の性格を分析してください」と質問したら「忘れました」との答えが返ってきたには思わず笑ってしまった。マニュアル通りに暗記していたのを忘れたのだろう(笑い)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60903440Y0A620C2MM8000/