「地銀再編へ資金支援をするのは日銀の仕事か?」「ケルトン教授の床屋談議」他

2020年11月13日

1.地銀再編へ資金支援をするのは日銀の仕事か?

おととい、日経新聞に「日銀、地銀再編へ資金支援 当座預金にプラス金利」という記事が載った。それに対し、小黒一正法政大学教授が「すごい判断ですね。これ、金融政策の領域を超えている気がしますが。」とつぶやいていた。それに対し、毎日新聞元論説委員長の潮田さんが「ま、金融システム危機がおきないようにするのは日銀の仕事ではありますが、余計なお世話ですね」と反応していた。ご両人のコメントは、ともに、ごく、まっとうだ。

地銀再編は「菅政権の積極的な政策」と捉える報道が多いが、違う。異次元緩和(長期国債の爆買い=長期金利低下)で長短金利差が無くなり、地銀が窮地に陥ったので、金融システム不安が起きる前に何とかしようという防衛政策だ。日銀は自分で地銀経営を苦しくさせておいて、危ないからと言って助けの手を差し伸べようとしている。財政破綻を避けるために異次元緩和という財政ファイナンスを行い、それによって起きる金融システム危機をなんとか回避しようとする。次々と起こる問題点を、モグラたたきのように抑え込もうとしている。計画経済が破綻するプロセスを見ているようだ。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO66041010Q0A111C2MM8000?s=4

2.  ケルトン教授の床屋談議

昨日の日経新聞 ケルトン教授の論考を読んだが、「『何言っているの、この人?』という感じだった」金融理論を知らない人の床屋談議に過ぎない。単なる感覚論だ。そもそも金融の基礎がわかっていない。米国の一流経済学者や金融実務家が議論に値しないとケルトン教授を歯牙にもかけない理由がよく分かった。論説委員長の藤井さんの「ただ、金融政策が万能ではないにしても、政府が経済の全てを管理・統制して機動的に政策を発動できるとは限らない。政府の力を過信しているようにもみえる。ケルトン氏は、バイデン氏がMMTの枠組みに沿った財政支出拡大をするとみている。だが財政支出に積極的な民主党であっても、MMTの議論に100%乗った政策はとらないだろう」とのコメントも決してケルトン理論に賛成とは思えない。

ケルトン氏は「政府が歳出を増やすことによって新たな通貨を生み出す」と書いているが、政府の歳出は新たな通貨など生み出さない。政府が歳出を増やせば日銀の日銀の負債サイドの政府預金残高が減り、日銀当座預金が増える。民間銀行の貸し出しにより、信用創造でマネーストックも増える。しかしながら、政府歳出のために増税を行えば、日銀当座預金が減る。もしくは赤字国債を発行しても日銀当座預金が減る。いずれも信用創造の逆回転が働く。「政府が通貨の発行者である」とケルトン教授は書いているが、これは統合政府論の考え方である。現実には通貨の発行者は中央銀行であり、中央銀行が国債を買い取らないと新しい紙幣は刷れない。ケルトン教授は冒頭に「MMTは、中央銀行が政府の財政をファイナンスすることだと誤解している人がいるがいるようだ」と書くが、財政ファイナンスをしなければ巨大な歳出は賄えない。しかも政府統合論が間違っていることは今や明白。親子の貸し借り(政府VS日銀)は相殺されても外部からの借金は残る。総裁の結果、残るのは政府の資産と日銀の負債の日銀当座預金だ。日銀当座預金は民間金融機関からの借金であり、景気回復期には莫大な金利支払い義務が生じる。せっかく政府が長期固定の国債で資金調達をしたのに、日銀が当座預金という極めて短い負債に切り替えてしまっている。統合政府論で考えれば、日本は金利上昇に極めて脆弱な体制となってしまった。、統合政府で考えれば、財政は健全どころか、見た目より悪くなるのだ。ケルトン論文に対して、後の問題は藤井日経新聞が、コメントしてくれている通り。。ケルトン論考は机上の論考に過ぎないが、それも金融実務を全く知らない人の机上の空論だという思いを強くした。https://www.nikkei.com/article/DGXKZO66106480R11C20A1TCT000/

3.中央銀行の関与しない通貨発行をよしとするMMT理論

日経新聞の「大樹小機」新聞外部者の匿名の論考であるが、内容の質に大きな差があり、驚くことが多い。本日の論考は今年の財政学会での質疑に関して書かれており秀逸。「MMT理論は、その際に、租税を課す政治的意思が常にあるとは限らないとしている。それは、理論として極めて無責任なものだ。政治的意思がない場合には、インフレになって経済が破綻してしまうからである。そのようなことにならないために、中央銀行がその受け入れる金融資産見合いで通貨を発行し、政治的意思に左右されずに安定的な金融政策を行うというのが、歴史上確立されてきた知恵である。中央銀行の関与しない通貨発行をよしとするMMT理論は、その知恵を無視するものだ。」まさにその通り

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66162380S0A111C2EN2000/

4、「X デーを迎えた後、日本経済はこうして復活する」

10日に発売された、The21(PHP研究所)に載っている私の記事は1年間のおで約束したものの最終回。「X デーを迎えた後、日本経済はこうして復活する」という最終回にふさわしいトピックのつもり。The21 最終回The 21 最終回②

5.ありがとうございます、某メガバン、某支店長

某国大使の任期が切れてつい先日帰国したというOさんから電話があった。赴任前はよく、一緒に飲み歩いた人だ。「昨日、某メガバンクの某支店に行ったら、店頭に藤巻さんの本が置いてあったよ、。店頭の女性に、『こんな軽い人の本、置いておいちゃだめだよ(笑い)』と文句言っておいたよ。そしたら「店中に置いてあります、支店長がフジマキさんのファンなんです」と言われたので『とんでもない銀行だ~(笑)』と言っておいたよ』との報告だった。とんでもない。某銀行某支店長さん、ありがとうございます。業績アップ間違いなしです(笑い)。

6.久しぶりの川島夫婦、佐藤夫婦との会食

11月10日は、久しぶりに川島眞先生夫婦(東京女子医科大学名誉教授(皮膚科))、デザイナーの佐藤忠敏さん夫婦(テニスのウィンブルドンのロゴマークを作った人)と久しぶりの会食@八雲茶寮。八雲茶寮のオーナーは弟の故幸夫の友人のデザイナー。会食@八雲茶寮

7、雑誌インタビュー

11月11日は、来年発売の社内報雑誌のインタビュー―@雅叙園inntabyu- @