「異次元緩和の副作用とは、日銀と円の信用失墜(=円の紙くず化)」他

2021年03月20日

1.「異次元緩和の副作用とは、日銀と円の信用失墜(=円の紙くず化)」

昨日の日銀の政策点検に関する新聞記事を読んでいると、「異次元緩和の副作用に配慮」という文言が多く出てくる。「金融機関の経営悪化」「金融機関の収益機会の喪失」「巨額の日銀の購入が市場をゆがめている」などの副作用だという。冗談じゃない。異次元緩和の最大の副作用は日銀の債務超過のリスク。それに伴う日銀と円の信用失墜のリスクだ。だから、日銀を含む昔の中央銀行は、株式や長期国債など価格変動幅が大きく、債務超過になる可能性のある資産を絶対に持たなかったのだ。景気が良くなったり長期金利が上昇すれば日銀は一発で債務超過になる。そんな中央銀行は世界でも日銀だけ。

 2.「コロナ対策費用の回収は?」

コロナ対策費用の回収のため、米国では、すでにバイデン大統領が増税案を提示している。米国に比べて段違いに借金が膨らんだ日本では、その気配すらない。増税では追いつかないから、借金踏み倒し政策(=ハイパーインフレ)を選択したとしか思えない。国民は地獄。

 3.「日銀の政策点検は『言い訳探し』『処世術』」

本日の朝日新聞記事。「日銀が政策の『点検』と銘打ってこのタイミングで政策修正に乗り出したのは、それが日本経済に資するからという純粋な動機からだけではなかろう。むしろこれは異次元緩和に失敗した日銀の『言い訳探し』『処世術』であると考えたほうがいい。」まったくもって同意。日銀の政策点検は『言い訳探し』『処世術』に過ぎない。https://www.asahi.com/articles/ASP3M446JP3MULZU008.html

 4.「日銀に出口はない」

本日の日経記事「それでも日銀が大規模緩和を続行するのは、物価の押し上げ効果を見込むというよりも自らの市場での存在感が高まりすぎ、安易に「出口」に向かえなくなっている面がある」まさにその通り。「面がある」ではなく、それが最大の理由。日銀はつぶし、新しい中央銀行を作るしか、出口はない。あるのなら誰か教えてほしい。保有株式と、保有国債の保有残高をゼロに持っていく方法を。それを見つけないと、どんなに景気が良くなっても金融超緩和状態が未来永続、継続することになる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF198E00Z10C21A3000000/

5「正念場の中央銀行」

日経新聞の社説いわく「足元の経済の下振れと経済の回復を先取りした金利上昇のはざまで米欧も含めた世界の中央銀行の正念場は続く」。他の中央銀行は正念場かもしれないが、日銀はすでにレッドカード。その認識が政治家にも世間にもないのが怖い。準備無く突然来る衝撃(=日銀倒壊)は、すさまじいだろう。 .https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH18B840Y1A310C2000000/

6.「長期金利が0.25%以上上昇すると円は紙くず化」

本日の日経新聞1面トップ記事「先進国は金利や物価の一時的な上昇は覚悟しつつ景気の下支えを優先するが」と書いてあるが、正確には、「日銀を除く世界の中央銀行は、金利や物価の一時的な上昇を覚悟しつつ」と書くべき。日銀は金利の一時的な上昇を覚悟しているわけがない。長期金利の変動幅を上下0.25%としたが、それ以上長期金利が上昇したら、日銀はお陀仏だからだ。債務超過になり外資が日銀との取引をおさらばするだろう。円は鎖国国家の通貨となり他国通貨との互換性がなくなる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF166OO0W1A310C2000000/

7.「市場原理の働いている米国VS市場原理を殺し膿がどんどん蓄積する日本」

過剰に国債を発行したせいで、長期金利が上昇し、そのため増税で財税赤字の縮小を考え始めた米国。禁じ手の財政ファイナンス(政府の赤字を中央銀行がファイナンスすること)をしたおかげで法定通貨の価値の希薄化が起こり(=インフレ)、長期金利の上昇により増税を余儀なくされる米国。市場原理が働いており、健全だ。

一方の日本。日銀が国債を爆買いして、いくら財政赤字が膨らんでも長期金利が上昇しない(=市場原理を殺した)、膿がどんどんたまっていく。ドカーンも迫りつつある。放漫財政、危機先送りのツケ。

8.「米銀資本規制特例廃止は米長期金利上昇加速要因」

FRBが米銀資本規制の特例を3月末で終了した。私は短期間延長かと思っていたが、終了してしまった。日経新聞いわく「米長期金利が一段と上昇する可能性があり、市場では緩和措置の延長を期待する声もあった」これに関し、私のtwitterに「延長しませんでしたね。 これを折り込んで1.7%まで行ったので、ここで金利も落ち着き、円高方向に向かうとおっしゃる慶應の先生がいました。私はそうは思いません。金利上昇の再加速と考えます。 藤巻先生はどのように思われますか?」とのリツイートをいただいた。まず申し上げたおことは、最近の長期金利上昇は、このような技術的な問題で起きていたわけではないので、長期金利の上昇は継続するだろうし、今後ともかなり大幅に上昇するだろうという点。また市場は「3月末特例中止」など織り込んでいない。昨日、米銀行株が大きく下落していることもその証拠の一つだ。銀行がすでに規制をクリアする程度まで保有国債を売却し終わっていれば、織り込んでいたともいえるが、今後も保有国債の大量の売却が必要な事実からも、織り込んでいないことが言える。ファンダメンタルズに加え、この大量売りも米長期金利の上昇を加速させるだろう。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19CHI0Z10C21A3000000/