「米住宅価格、上昇急ピッチ」「自然利子率 で物事を考えると金融政策を間違える」他

2021年05月29日

1.「五輪開閉会式の混雑緩和 首都高1000円上げ」

まともな政策。なぜ東日本大震災後の電力不足時に電力代上げで対応せずに「節電お願い」で乗り切ろうとしたのか不思議だった。昨年のマスク不足騒動もそう。生活困窮者へのセーフティーネットを確立した後は、値段で需給を調整するのが資本主義国家の仕組み。それだから「資本主義配は×」という人もいるだろうが「資本主義は最悪の仕組み。しかしそれ以上にベターな仕組みを人類はまだ発明していない」のだ。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72407530Z20C21A5EA1000/

2.「米住宅価格、上昇急ピッチ」 

本日の日経記事。米国の現状は、ますます85年から90年の日本のバブルの状態に似てきた。過剰流動性による資産価格の上昇。それに伴う資産効果で景気の狂乱。しかし、(何度も書くが)当時の日本は、狂乱経済というCPIの高騰要因を、3年間で円が130円も急騰(1984年末 1ドル=251.58円、87年末1ドル=122円)したという強烈なデフレ要因が相殺していた。結果、CPIは急騰しなかった、今の米国は、まさに当時の日本と同じで、資産効果による好景気が始まっているのにドル高というデフレ要因が存在しない。経済、CPIともに狂乱するだろう。パウエル議長は、近じか急速な金利引き締めを行い、バイデン大統領はインフレ抑制のために「ドル高政策」を宣言せざるを得なくなると思う。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72407480Z20C21A5EA1000/

3,「自然利子率 で物事を考えると金融政策を間違える」

黒田総裁も、パウエル議長も、時々触れる「自然利子率(景気を加速も減速もさせない実質金利の水準)」にとらわれると、金融政策を間違える。資産価格の動向を考慮に入れていないからだ。日本のバブル(1985―90)は、この40年間で景気がもっとも過熱したときだ。狂乱経済とさえ言われる。この時の実質金利はかなり高い。86年末の10年国債利回りは5.45%、87年5.0%、88年末は4.81%だ。一方この期間のCPI(全国総合・除く生鮮食品)はずっと₊0.5%であり、実質金利は4%以上となる。これ程高い実質金利では狂乱経済を説明できない。しかしCPIを株価上昇率、不動産上昇率に置き換えると、結果は大きなマイナス圏となり、狂乱経済を説明できる。これはバブル以降の私の一貫した主張で、過去の著作等で書きまくってきたが賛同を得ていない。しかしバブル当時の澄田日銀総裁が「資産価格の急騰に注意を払わず、引き締めが遅れた」と反省しているのだからCPIだけでなく資産価格の高騰も政策金利の判断基準にすべきなのだ。パウエル議長はバブル当時の澄田日銀総裁と同じ間違いをしていると私がいう理由だ。

4.「音楽が鳴りやむ時期は?」

今朝の日経新聞を読む限り、三井住友銀行は健全な相場観を持っているなという印象だ。心配は国債を買い増しているという地方銀行だ。皆、いざというときには、国債を人より少しだけ先に売れると思っているだろうが、皆、人より少しだけ遅れてしまい、泥沼にはまる。それが国債市場の歴史だ。三井住友銀行の小池専務執行役員がインタビューに答えていわく「市場で語られる通り『音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない』という状況だ」「下半期、特に来年以降は音楽が鳴りやむことを意識する時間帯に入る。下手をすれば株と債券が両方、本格的に売られる展開になる可能性もあり、慎重なオペレーションをしないといけない。通常の危機時は『質への逃避』で債券を買うが、より深刻な場面では『現金への逃避』が起こる。まだそこまで気をもむ時期ではないが、来年以降はそうした最悪のシナリオも念頭に置かなければならない」まさに同意。少しだけ人より先に降りた人の価値。皆そう思っていると時期はどんどん前倒しになる。私は「音楽が鳴りやむ」時期は三井住友銀行の予想より、はるかに早い時期だと思っている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72404480Y1A520C2ENG000/

 5「米国マサチューセッチ州、本日よりマスク直用規則解除」

米国マサチューセッチ州は本日からコロナ対策に関するすべての規制を解除する。マスク着用規定(face covering order)も交通機関を除いて解除される。これで経済は本格的な回復を始めるだろう。欧米人のマスクに対する感覚は日本人とは全く違う。感染症の重症者のみが他人への感染を防止するためにしているとの認識だ。だから私は米国留学中もロンドン赴任中も、決してマスクをしなかった。他の在留日本人も同じだ。マスクをして町中を歩こうものなら、すれ違う人は皆大げさに避け変な目で見られる。。だからこそ、本日からのマスク着用規定解除は、大変、大きなニュースなのだ。https://www.mass.gov/news/baker-polito-administration-to-lift-covid-restrictions-may-29-state-to-meet-vaccination-goal-by-beginning-of-june

6.「オリンピック会場に観客を入れるとコロナからの回復遅延を世界に印象づけてしまう」

日本がワクチン接種敗戦国であることを知っている外国人は今現在は多くない。しかし、オリンピックのTV観戦で、観客の日本人が、いまだマスクをしているのを見たら、日本は、だコロナを制圧できずにいる危ない国との印象を持ってしまうだろう。日本株や為替、将来のインバウンド、輸出(コロナ感染国からの輸入品はなんとなく避けるのでは?)に大きなマイナス要因となると思う。先に書いたように、コロナ前、欧米人にとってマスクは超重症患者がするもの、今はコロナからの回復を表すバロメーターなのだから。観客を入れるか否かの判断はこういう観点も重要だ。