


「景気過熱の懸念払拭できず 米経済対策をどうみるか」他
2021年06月23日
1,「景気過熱の懸念払拭できず 米経済対策をどうみるか」
昨日の日経新聞「経済教室」でのバリー・アイケングリーン カリフォルニア大学バークレー校教授の論考は日本人が熟読しなければならない逸品だ。言えることは、日本より格段に財政事情がまともな米国でさえ「財政支出をするなら増税が必要」との常識を前提で議論を進めていること。財政が危機的な状況なのに「財源は国債増発」となってしまう日本は末期的としか言いようがない。また財政のバラマキが、必要な財政出動を阻害するとの氏の指摘も重要だ。日本のように放漫財政で平時にバラマキをしてきた国は非常時の財政出動が出来ないか、出動すればそのために破滅的な結末を迎えてしまう。アイケングリーン教授曰く「クリントン大統領以降の米国の歴代政権を見てきた人は、今日の米国の財政政策に目を疑うだろう」「言うまでもなく増税は共和党にも、そして一部の上院民主党にさえ忌み嫌われている。小幅の増税なら何とか可決されるかもしれないが、バイデン大統領が考えるような規模の増税は論外だ。となれば米国雇用計画も米国家族計画も縮小せざるを得ないだろう。これはとても残念なことだ。(中略)議会と政権が年間所得15万ドルの世帯にまで気前よく小切手を配り、黒字の州にまで支援を提供したことが原因だ」「元米財務長官のローレンス・サマーズ氏の比喩通り、浴槽をいっぱいにしてあふれんばかりだ。浴槽があふれてインフレが加速したら、米連邦準備理事会(FRB)はジレンマに直面する。(略)物価が急上昇してもなお金利を維持すれば、インフレ期待は止めどなく高まりかねない。重しが外れれば、インフレ期待の鎮静化は難しくなる」
2.「米、国境閉鎖1カ月延長」
6月23日更新の数字で、米国でワクチン接種を少なくとも1回終わった人の割合は53.03%だそうだ(NHKのWEBページ)。昨日の日経新聞夕刊によると、それでも米国はカナダとメキシコとの国境閉鎖を7月21日まで1カ月延長することに決めたそうだ。現在18.31%の日本は、来月23日のオリンピック開催日までにこの接種率には遠く及ばないだろう。さらに、この記事によると「カナダ政府は新型コロナのワクチンを少なくとも1回接種した人が人口の75%になり、2回接種を終えた割合が人口の20%になるまで制限を継続するとしている」そうだ。さらには、バイデン米大統領は18日の記者会見で、デルタ株について『伝染しやすく、致死率が高い可能性もあり、若い人にとって特に危険かもしれない』と発言したそうだ。それでも日本政府は、外国人選手、オリンピック関係者を特別扱いとして国境を開放するのだろうか?(専門家は、海外からのビィールス持ち込み確率は低いと言っているようだが)ここで、もし、もう一度感染が拡大し、世界の景気回復に遅れをとるようなことがあれば、原油WTI(WTI原油先物がついに73ドルを超えた)ほか資源等の高騰とも相まって、日本はスタグフレーション(景気低迷下のインフレーション)に陥るリスクが大いに出てくる。そのあとは、景気回復遅れによる円安/ドル高の進行を契機として、さらに悲惨なハイパーインフレだ。オリンピック開催は生命と経済、両方に大きなリスを負わせる。
3,「エ、エ、エ? オリンピック会場での酒類販売は飲食店の酒提供の時間に合わせて」
「昨日のテレビでは、オリンピック会場での酒類販売は飲食店の酒提供の時間に合わせて考えるという案も出ている」とやっていた。もう、何を考えているのだか?酒類の提供時間を制限した理由は、「夜にコロナが広がる」からではない。「酒が入ると大声で話をする可能性が高くなり、飛沫伝染が増えるから」だったはずだ。自粛期間やまん防の期間か否かなども、オリンピック会場での酒販売の判断には関係ない。自粛期間やまん防の期間でなくともこの1年近く、コンサートホールや歌舞伎座、落語ホール等でも酒類は販売されていなかったと思う。飛沫伝染のリスクが増えるという理由だった。それをオリンピックだけはいいのか?オリンピックが終われば飛沫伝染が増えてもいいのか?ちなみにふと思ったのは、自粛やまん防地域に入っていない地域でのプロ野球やサッカー会場でのビール販売は中止しているのだろうか?先に述べたように、コンサートホールや歌舞伎座、落語ホールでは自粛、まん防等に関係なく中止していたと思う。


