「グロース氏は債券を『投資のごみ箱』と分類」「米住宅価格上昇中―米国のインフレは長くて強烈に」他

2021年09月03日

1.「『政府・日銀連合軍』による錬金術はいわばタコが自分の足を食っているようなもの」

一昨日紹介した朝日新聞「多事奏論」(原真人編集委員)のデジタル版。必読。すべてが、ごもっとも。「政府・日銀統合政府論による楽観論」をも否定されている。まさにそのとおり。

「念のために説明しておきたい。政府・日銀が連結決算をすれば魔法のように借金が消え去るというのはまったくの誤りである。もし国債が暴落して紙切になったら。 それを想像してみれば現状の危うさがうかがい知れるだろうか。 そのとき大量の国債を抱えている日銀は信用を失い、 今度は円(日銀券)が暴落する。円暴落は輸入価格の急上昇をもたらして、物価が短期間に急騰するハイパーインフレが起きる 日銀はそれを抑え込むために金利を大幅に引き上げざるをえなくなる。当然、経済活動には大きなブレーキがかかって大不況に陥るだろう。 政府が日銀の信用を立て直すためには数十兆円規模の資本注入をしなければいけない事実を迎える。 とはいえ政府にそんな財源は用意できない。(略) 結局最後には政府が増税や、ハイパーインフレによる事実上の借金踏み倒しによって国民に負担を押しつけることにでしか事態を収められなくなる。いったん信用を失えばそうなることを考えると、現在の『政府・日銀連合軍』 による錬金術はいわばタコが自分の足を食っているような図ではないか」

 

https://www.asahi.com/articles/ASP8Y3W0YP8VULZU00N.html

 

2.「ECBはインフレ高進のリスクを無視すべきではない-ワイトマン氏」

昨日のブルムバーグ記事。ECBの政策委員会メンバーのワイトマン・ドイツ連邦銀行総裁は、インフレが現在想定されている以上に加速するリスクをECB当局者は無視してはならないとの考えを示したそうだ。

FRB もECB もBOE もインフレ行き過ぎのリスクを議論しているのに、日本だけはインフレのイも出てこない。もっともその気配が出てきて長期金利が上がったり、短期政策金利を上げなくてはならなくなったら、日銀はThe End ,円大暴落、ハイパーインフレ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-01/QYR81SDWLU6R01?srnd=cojp-v2

 

3「グロース氏は債券を『投資のごみ箱』と分類」

昨日のブルムバーグ記事。「(PIMCO)の共同創業者で、2019年に引退したかつての債券王ビル・グロース氏は、債券市場には価値がないと文字通り酷評した」「同氏は米国の10年国債利回りが今後1年で現在の1.3%前後から2%に上昇し、投資家に約3%の損失が発生する可能性が高いと予測」「グロース氏はウェブサイトに掲載した8月30日付の投資見通しで、長めの米国債の利回りは非常に低く、それを購入するファンドは『投資のごみ箱』に属するとの見解を示した」そうだ。そうなったら円の長期金利は上昇して、日銀はThe End ,円大暴落、ハイパーインフレ。この記事はbloomberg英語版(源記事)では、今朝まで、「最も読まれていた記事」の第1位だった。今は第2位

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-02/QYS6TTT0AFBF01?srnd=cojp-v2

 

4,「米住宅価格上昇中―米国のインフレは長くて強烈に」

今朝までグロース氏の「債券投資は『投資のごみ箱』」の記事がbloomberg英語版(源記事)の「最も読まれていた記事」の第1位だったが、その前36時間くらい第1位だったのは「Home Prices in Three U.S.cities have Jumped 25% or More in a year」という記事。米国では旧宅価格の急騰が話題になっている。「今の米国のインフレは、(日本のバブル期と同じ原因で)資産インフレによる資産効果で起きている。だから一時的なわけが無い。バブル当時は円高という強烈なデフレ要因があったが、今の米国には急激なドル高というデフ入れ要因が無い。米国のインフレは長く強烈だろう」という私の予想を更に裏付けるものだ。

 

5.「経常収支が黒字である限りは政府・日銀は現状の政策を維持できるか?」

昨日、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。「先生、経常収支が継続的に黒字である限り財政破綻は起きないと思うのですが、いかがお考えになりますか?先生のご見解をお聞きしたいです」

私の回答は以下の通り。「財政破綻は起きない可能性は十分あり、ですね。ちなみに経常収支の黒字は民間のお金。財政赤字や財政破綻は政府のお金の問題。ハイパーインフレという方法で経常黒字で民間にたまったお金を吸い上げていきますから財政は破綻しないでしょう、ということです。しかし国民生活はハイパーインフレで地獄」リツイートを送ってくださった方から追伸が来た。「ご回答ありがとうございます。 本日慶応のある教授とディベートした際、経常収支が黒字である限りは現状の政策を維持できると言われたので藤巻先生の意見を伺いました。 ありがとうございます。 もう一度自分の頭を整理してみます」「ですよね! 教授いわく、韓国やタイは慢性的な経常赤字だったのが大きいとのことです。藤巻先生のおっしゃる通り、財政破綻しなくてもインフレは起きますよね」

私の回答は以下の通り「慶応のある教授、しっかりしていただきたいですね」

 

 

6.「いつハイパーインフレが起こるのか?」

今朝、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。「いつハイパーインフレが起こるんですか?(というか、いつインフレ2%達成するんですか?)」

私の回答は以下の通り。「インフレ・デフレは需給の問題。ハイパーインフレは日銀の財務の問題で起きり、原因が違う。ハイパーインフレが起きるのは、金利が上がって日銀が債務超過になった時。幸か不幸か、景気低迷で金利上昇しなかったから、日銀は債務超過になっていないだけ(最近はスタグフレーションの可能性も出てきた)」

 

7.「渋沢栄一新紙幣の印刷開始」

昨日、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。「藤巻先生、いつも情報発信ありがとうございます。 本日の報道で、新紙幣の印刷が始まった、ということで…(新紙幣に対応できる自販機が作れるようにする為だとか)2年前からの印刷開始、というのは通常のことでしょうか?」私の回答は以下の通り。「3年前に決めて、今頃、印刷開始かと逆に驚きました。印刷は短期間で出来るのでしょうね。それなら、なぜ発行の5年も前に新1万円札発行を発表する必要があったのか?(新紙幣発行が決まってすぐの)3年ほど前「前回(2004年)の新紙幣発行決定は2年前だったのに今回は5年も前。どうしてか?」と国会で聞いたら麻生大臣は「前回は偽造紙幣が溢れていたから急いで決めた」と答弁されました。2004年の頃、偽造紙幣が出回っていたとの記憶は私にはありませんでしたが」