「石油備蓄放出でマーケットに影響はあるのか?」「統合政府論で借金チャラ論のいい加減さ」他

2021年11月24日

1,「石油備蓄放出でマーケットに影響はあるのか?」

日経新聞2面によると「米バンク・オブ・アメリカは、欧州の原油価格が22年6月末に120ドルに達すると予測」したそうだ。これが正しければエネルギー輸出国の米国でさえ、ますます大変になるだろう。輸入国の日本にとっては一大事だ。円安要因が加算される。

日欧米の国家が石油備蓄の放出を始めるそうだが、ファンダメンタルズに対しては政府がいくら動いても相場の綾くらいの影響しかない。現在1バレル78ドルの原油が バンク・オブ・アメリカの予想どおり120ドルになるのなら、備蓄放出で、せいぜい115ドルにとどまる程度だろう。

そもそも災害。非常時用に備蓄してある物資を価格安定のために市場放出していいのだろうか?資本主義社会では値段が需給を決める。価格を人為的に下げれば需要は減らず、値段は長期にわたり高止まり、中長期的なダメージを与える。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB16CDY0W1A111C2000000/

 

2.「統合政府論で借金チャラ論のいい加減さは、学界で尊敬されている経済学者には、あまりに自明で初歩的すぎて反論することさえ顔が赤らむ」

昨日、経済界のオピニオンリーダーの立場にあったUさんからFB にシェアをいただいた。「学界で尊敬されているちゃんとした経済学者は、統合政府で借金チャラなんて論の正否を論じている暇などない。あまりにも自明で初歩的すぎて顔が赤らむのだろう。牛の糞が道端に落ちているのを困ったことだと思っても、除去すると自分の手まで汚れかねない。下手するとうんこを投げつけてくる奴だっているからね。仕方ないが困ったことだ。それでも説明してくださる篤志家的学者もいますがね」私は学者ではないからうんこをなげつけられても反論している。Uさんがおっしゃるように、学界で尊敬されているちゃんとした経済学者、日銀マンの現役(黒田総裁をふくめて)やOB、財務省の役人、金融業界の幹部、ヘッジファンドのオーナー等で「統合政府で借金チャラ」なんて信じている人はゼロだろう。昔は、そんなブードゥ経済学はマスコミがスクリーングして世に出ることは無かった。SNSが発達したせいで、そのようなスクリーニングが働かずド素人の主張が、いかにも専門家の意見のように広がり、信用する国会議員さえ出てきた。国が滅びていく経緯の一つとはこういう経路もあるのかも。

 

3.「単独政府で考えようと統合政府で考えようと物価は変わらないか?」

池田信夫先生が「あいかわらず、ちんぷんかんぷんな『統合政府論』」にシェアをくださった。「これは話が逆で、5京円の国債でも日銀がすべて引き受けると何も起こらない。FTPLでは統合政府の名目債務が同じだから、物価水準は同じです。これはもともと理論的にはそうですが、黒田さんが図らずも証明した」とのことですが、違うと思います。『単独政府であろうと統合政府でも負債額は変わらない』という点は正しいです。(ただ単独政府の「国債」という固定金利負債が「日銀当座預金」という変動金利負債に変わるので金利上昇期には、一層危険な状況が浮き彫りになります)しかし、だから物価水準は変わらないというのは違います。財政ファイナンスを行わなければ(=日銀が政府と統合するような行動を取らなければ)政府は財政破綻をします。一方、日銀が政府と統合ずるような動き(=財政ファイナンスを行う)をすると、日銀野財務内容が悪化し、ハイパーインフレが起こります。財政破綻であろうと、ハイパーインフレであろうと国民が地獄をみることには変わりがありませんが、物価には物価が暴騰するか否かは不確定です。財政破綻では、ゴミ収集車が来ない、公共交通機関が動かない。警察官、消防士の給料が出ないから警察、消防機能が働かない。水道が止まる。年金や健康保険はパ~などが起きますが、物価暴騰が起きるかはわかりません。

 

4,「民間デジタル通貨、間接型日銀デジタルの将来は?」

この件に関しては素人なので、はっきりわからないが、中銀デジタル(CBDC)が導入されれば、この構想はいらないのでは?または仮想通貨の普及で済む話ではないのか?ちなみに私は日銀は直接型(国民が日銀に直接口座を持つ)日銀デジタルを検討すると思っていたが、どうも間接型(民間銀行を絡ませる2層式)を進めるようだ。日銀デジタルはタンス預金を無くしマイナス金利政策を効果あるものにするという意味で日銀に大きなメリットがある(=日銀が今の単なる政府の紙幣印刷所の立場から金融政策を司る機関に戻れる)。一方、民間金融機関のメリットは良くわからない。となると、間接型日銀デジタルは日銀一人が頑張ってお仕舞。成功しないのでは?と思ってしまう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB22BGC0S1A121C2000000/