「元日銀理事・山本謙三さんの論考(財政規律の崩壊)」「The Central banker 山本謙三さん」

2022年01月04日

1.「元日銀理事・山本謙三さんの論考(財政規律の崩壊)」

元・日銀理事の山本謙三さんが本日更新した論考は必読だ。この論考を読めば、私の主張が、常識的な金融マンや経済人の間では決して異端ではないことがわかるだろう。彼らは終身雇用制の関係で所属機関に忖度して(正しくとも)発言しないだけ。私や、独立した山本さんはどこにも忖度するところが無いから思っているとおりのことが書けるだけの話。金融は政治的な立ち位置の違いは関係ない。あるのは正しい政策か誤った政策か、だけ。

(以下、山本論考より)

「2000年代以前は、財政規律を重んじる自民党に対し、大きな政府を指向する野党という構図が定着していた。この構図が、民主党野田内閣から自民党安倍内閣に政権が移る過程で逆転した」 「日本銀行による異次元緩和も、財政規律の後退を招く原因となった」「(日銀は)国の資金繰りを丸ごと面倒みた計算である。こうした日銀による巨額の国債購入は、政界に「国の資金繰りを心配する必要はない」との見方を生み出し、「日銀はいわば政府の子会社」と言ってはばからない政治家を増やした。日銀の意図ではなかったにせよ、長期にわたる異次元緩和が財政規律の後退に拍車をかけたことは間違いない」「日本の場合は、はるか以前から巨額の財政赤字が続き、政府債務残高対GDP(国内総生産)比率は世界最悪の水準にある。背後にあるのは集票を意識した政治スタンスであり、欧米各国と同列に論じるのは適当でない」 「財政規律との関連に絞っていえば、結局、論点は、規律が失われ、国の資金繰りを日銀に依存するようになった時に、何が起きるかだろう。そうした情勢では、通常、国や中央銀行の信用力が低下し、円相場が下落するとともに物価が上昇に向かうと想定される。そうなった時に、高インフレを阻止できるかどうかである」「これが内外の歴史ではなかったか。それゆえに、各国は人類の知恵として、中央銀行による国債の引き受けを禁じてきた」(以上山本さんの論考)

今、始まりつつある円安の進行、高インフレ(私はハイパーインフレだと思う)は、長年にわたる政策ミス(選挙目当てのバラマキ、放漫経済、危機先送りの異次元緩和)の結果なのだ。ここに至っては、ドル(長期債はダメ、MMFのような短期モノに限る)と仮想通貨で自衛し、日銀と一緒にドボンは避けたいものだ。

https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2022/01/04/post1971/

 

2「The Central banker 山本謙三さん」

山本さんこそ日銀マンとしての矜持を持ったThe Central banker だとJPモルガンに勤めていた時から思っていた。前にも書いたことがあったと思うが、以下私の最初の本「外資の常識」(日経BP社)より。

「昔、日銀にヒアリングで出かけたとき、先方が課長と南雲さんという女性。 こちらが私と部下の小泉という女性。話をしていたら 、南雲さんは海軍の南雲中将の孫。小泉さんは陸軍の小泉大将の孫とわかり、日銀の課長と『世が世なれば、我々下々の人間は、大変な部下を持って毎日が緊張の連続だったでしょうな』   と話したのを思い出す。というわけで、いつも私は『世が世でない時に生まれてよかったーー』と思うのです」この時の課長が山本謙三さんだ。