「パラダイムシフトの時、迫る」「日銀、大丈夫か?」「プライマリーバランス2025年度に黒字化、それがどうした?」

2022年01月15日

1.「パラダイムシフトの時、迫る」

昨晩は、米長期金利(10年もの)は再度1.8%に迫るように上昇し、WTIも84.28ドルへと上昇を継続している。おとといパウエルFRB議長は今年中には量的緩和の縮小を決定するだろうと明言した。いまだ拡大を続けているFRBのバランスシートは今年3月のテーパリング終了で最大規模に達するが、今年のどこかの時点で縮小が始まる。パウエル議長は満期待ち(満期が来た国債の再投資をしない)での縮小を明言しているが、そんな悠長なことは言っておられず、売りオペでの縮小をせざるを得ないと思う。

なが~い時間をかけて、かってないほどにばらまかれたお金がついに回収され始めるのだ。正常化に向けてだけで莫大なエネルギーを必要とする。正常化した後に続くのが引き締めだ。インフレ度合いがすさまじいからだ、米長期金利とドルはとんでもないレベルに跳ね上がっていくと思っている。デイトレードの感覚は最悪、プログラムトレードも最悪。プログラム自体を大改造しなくてはいけないのに、古いプログラムに精緻なデータを入れても正しい解は出てこない。パラダイムシフトに備えなければならない。円や日米長期債を買う人の気がしれない。

 2.「日銀、大丈夫か?」

本日の日経新聞いわく「慢性的な金融緩和を続けた結果、肝心の成長を描けないまま金利上昇への耐性は着実に弱まった。金利正常化への入り口に立つことになる物価2%の想定外の達成は不都合になりかねない」―>日銀に金利上昇への耐性は全くない。「金利正常化への入り口」=「日銀債務超過の入り口」=「円紙くず化の入り口」だ。金融マンにとって「絶対超えてはいけない一線」と言う認識のあった財政ファイナンス(=政府借金を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄う)を「異次元緩和」との大義名分らしきものをつけて実施したツケである。

「今まで禁じ手中の禁じ手だったのに、今回だけは何故いいのか?」「出口が無いから禁じ手だったはずなのに出口があるのか?」を議論もせず素人の圧力に負けて実施してしまったツケだ。確立されていた金融論を無視したトガとも言える。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79256540V10C22A1EA4000/

 3,「プライマリーバランス2025年度に黒字化、それがどうした?」

一般的にはPB黒字化は財政再建の最初の1歩ではある。しかし日本の場合、財政再建の最初の1歩にさえなりえない。PB黒字化を目指すのは黒字達成後、経済成長率>長期金利であれば、基礎的部分の財政赤字が減少していくからだ。税収>金利支払いとなるからだ。

政府の試算した2025年度のPB黒字化は名目GDP3%が前提だ。そんな高成長が続くならば、日銀は緩和を継続していない(異次元緩和を継続していたら悪性インフレになってしまう)。国債市場でモンスターだった日銀が国債購入を辞めれば長期金利は暴騰だろう。経済成長率<<<長期金利だ。基礎的財政収支は縮小どころかますます拡大してしまう。それ以上にそんな高金利になったら、巨大な額の国債を保有する日銀は莫大な評価損を抱え存在不可能だろう。「成長実現ケース」など、全くありえない前提であり、財政再建は不可能だ。だからハイパーインフレで借金踏み倒し(=ハイパーインフレ)になると私は言っている。実際、ハイパーインフレになるからと禁止されていた財政ファイナンスを政府・日銀は粛々と進めているし、さらにそれを進めよと主張する国会議員もいるのだから。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1425E0U2A110C2000000/