「今、米国はドル高を望んでいるはず」.「安定的なドルのせいで米インフレは加速しよう」「インフレが加速した場合、長期国債は暴落」

2022年01月28日

1.「今、米国はドル高を望んでいるはず」

今、米国のインフレは社会問題化しつつある。この状態では米国はドル高を強く望んでいるはず。自国通貨が安くなると景気を押し上げる。だから通貨切り下げが始まると通貨戦争と呼ばれる。一方、自国通貨が高くなると強力なインフレ対策となる。通貨が安くなると輸入物価や原料代が高くなり輸入インフレが起きるのと逆の理屈である。

 

2.「安定的なドルのせいで米インフレは加速しよう」

先ほどの内容を、別な言い方をすると、今、ドルはかなり安定している。だからインフレは更に加速していくだろう。何度も書くが、1985年から90年にかけての日本では、資産価格の高騰による狂乱経済(バブル期と言われた)にもかかわらず、CPIが低位安定していたのは3年間で円が130円も急騰(強力なデフレ要因)があったからだ。今現在、米国にドル急騰というデフレ要因は存在しない。FRB の金利引き上げやバランスシート縮小は、それ自体がインフレ抑制に効果があるが、それに加えてドル高がインフレを抑制する。だから米国は、今ドル高を必要とする。

 

3,「刷りすぎた円はその価値が減じていく(=円安)」

たとえ円安で日本が困難に陥り、円買介入をしたくとも米国の利害と真正面からぶつかってしまう。そもそも円買介入は外貨準備のドルを使い切ったらお仕舞という制限があり市場に見透かされるのが常。逆に円売りを招いてしまうだろう日本は円安防止のための利上げも出来ないし、介入も出来ない。円安はとどめなく進行してしまう。円は「刷りすぎてしまったのだからその価値が減じていく(=円安)」とは正統派金融論の教えの通り。

 

4.「インフレが加速した場合の株禍の先雪はわからない」

米株価の上下運動が激しい。FRB のインフレ対策が景気のオーバーキルを懸念したのだろう。米株価の先行きは私にはよくわからない。インフレに強いのは株、不動産、絵画等だ。インフレ抑制のための金利上げなら株式市場が悪影響を受けることは普通なら無い。金利上げは株価上昇を多少抑える“綾”に過ぎない。2倍になるところが1.7倍でとどまるに過ぎないということ。

ただし、それは市場原理が働いているときの一般論。現在は、各国政府が(日銀とは段違いに小規模だが)お金をバラまいて、すでに株価を上げてしまっていること。ばらまいたお金の回収の影響が読めない。

わからない時は、「相場を休む」が私の鉄則。だから今、私は米株に売りポジションを持つことも買いポジションを持つこともしていない。

以上は米株に関して。Xデイ (=日本売り)が近じかあると思う私は、日本株には強気には全くなれない。

 

5.「インフレが加速した場合、長期国債は暴落」

インフレ抑制に中央銀行が乗り出したら間違いなく長期債は売られる。特に今回は、史上最大の金融緩和から最低限、平時の金融政策レベルまで持っていくのだから、長くそして強烈な長期金利上昇が起こるだろう。さらに平時より更なる引き締めが必要となるのなら、とんでもないところまでぶっ飛ぶだろう。長期債を今買う人の気が知れない。今のところ長期債が暴落していないのは、まだ中央銀行の関与が強いからだろう、インフレが加速すれば各国中央銀行は長期債市場から手を引く(本来、中央銀行が手を出してはいけない分野なのだから当然)、その時期は近いし、下落は大幅だろう。

 

6.「市場にすべてを任せることなく。エ、エ、何それ?何をか言わんや」

岸田文雄首相は25日、衆院予算委員会で前原誠司氏の質問に対し「だからこそ市場や競争に全て任せるのではなく官民共同でそういった仕組みを作っていこうと繰り返している」と説明したそうだ。エ、エ、何それ?さらなる計画経済を推し進めるということ?

日銀が日本最大の株主で、長期債市場ではモンスター的存在で、リートにも参入し市場を牛耳っているのに、よくも「市場や競争にすべてを任せるのではなく」などと言えるな。日本の問題は「市場が機能していないこと」ではないのか?

例えば、長期債市場から(本来の在り方のように)日銀が手を引けば、財政赤字が膨らめば長期金利が上昇し、債務残高も急増しなかったはずなかったではないか?日本では「市場に任せることが必要だ」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-25/R695WRT1UM1501?srnd=cojp-v2

 

7.「日銀は簿価会計。それが何?」

先日、日本の長期金利が0.2%を超えてくると評価損が発生し、さらに上昇していくと莫大な評価損ですぐにでも債務超過になる」とSNSに書いたら、以下のリツイートが来た「時価会計だと思ってるんですね(・・;)日銀は簿価会計です」

私の回答は以下の通り

「それが何か?貴兄が住宅ローンを借りる時、あなたの信用力(=融資をするか否か)は貴方自身が判断するのですか?それとも銀行が融資をするかしないかを決めるのですか?欧米銀行が相手信用判断をするときに簿価会計を使うのは前世紀までですが」