「米雇用コスト指数上昇の衝撃度」「世界的インフレの主因は通貨の刷り過ぎ」「根津美術館での国際交流」他

2022年05月01日

1.「米雇用コスト指数上昇の衝撃度」

金曜日に発表された「米雇用コスト指数が過去最大の上昇」は米市場で、かなり衝撃的なニュースであったようで、インフレ加速の心配で、さらなる金利の引き上げが予想されつつあるようだ。インフレが懸念される場合、中央銀行はかなりの景気減速でさえ犠牲にする。1979年のボルカーのサタデイナイトスぺシャル(10年金利20%、FF レート24%)がその典型だ。そうなればドル円は円安にぶっ飛ぶ。3~5日のFOMCが注目。

 

2.「米雇用コスト指数が過去最大の上昇」の衝撃度①

ブルムバーグ曰く「サマーズ元米財務長官は、賃金急上昇が米国のインフレ率を押し上げる強力で基調的な原動力となっており、大半の予想を大きく上回る水準へと政策金利を引き上げる必要性があらためて示されたと述べた」「『インフレを意味ある形で抑えるには4.5-5%の範囲とする必要があるだろう』と述べた」。もしFFレートが4.5-5%まで上昇するなら10年金利は6~7%まで上昇するだろう。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-30/RB4PEWDWX2PS01?srnd=cojp-v2

 

3.「米雇用コスト指数が過去最大の上昇」の衝撃度②

日経新聞曰く「29日発表の3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比の上昇率が6.6%と約40年ぶりの大きさを記録した。それ以上に市場関係者が注目したのは、同日公表の1~3月期の雇用コスト指数」「FRBの引き締めの織り込みはまだ不十分かもしれない」。米証券ジェフリーズのアネタ・マルコウスカ氏はこう指摘する。政策金利が2.8%で頭打ちになるというのが米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の中心シナリオだが、同社は23年夏にかけて4%以上になると予想する」

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60471440R00C22A5EA2000/

 

 

4.「ECBの利上げ有無はもはや問題外、スピードが焦点-レーン理事」

FRB が利上げを進め、BOE が利上げを進め、ECB も利上げを進める。その一方、日銀は金融緩和を断固継続。円安が今後、大幅に進むのは明白。利上げすると債務超過になってしまい自身の存続が問題になるので利上げなど出来ない。世界最大の赤字国家、世界最大のメタボの中央銀行。円安の進行はその結果だから止めようがない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-29/RB3QEJDWRGG201?srnd=cojp-v2

 

5.「世界的インフレの主因は通貨の刷り過ぎ」

現在の世界的インフレの原因を供給制約、コロナ、ロシアのウクライナ侵攻とか考えるから、短期に収まると誤解する。米国では「大規模財政支出が悪性インフレを引き起こした原因」との議論もあるようだ。私の分析はその通りだ。そうであれば、ばらまきすぎたお金を回収しないとインフレは収まらない。ばらまきすぎたお金を回収する際、長期金利は過激に上昇する。米国長期金利はかなり上昇すると思う。一方、日銀は(最後には制御できずにコントロール不能になるものの)当面は日本国債の長期金利を必死で抑えようとする。自分の存続にかかわるからだ。その意味で、3日~5日のFOMC は非常に重要だ。金利の上げ幅より重要だし、市場に大きな影響を与えると私は思っている。

 

6.「金利差拡大、量的引き締めの影響は織り込めない」

よく「金利差拡大はすでに織り込まれた」とか「QTは織り込まれた」とかいうコメントを聞くが、実務経験の無い人の発言だ。金利差が実際に開いてから初めてビジネスチャンスが出来る。織り込みようがない。QT も同じ。だから今後も、実際に金利差が開くたびに強烈なドル買いが入ってくるだろう。

ヘッジファンド等はキャリートレードなど行っていない。金利差拡大の際は為替先物で勝負をする。ただキャリートレードの方が理解しやすいだろうからキャリートレードで説明する。キャリートレードは安い金利の通貨を借りて高い金利の通貨で運用するのだが、金利が上昇してからでないと運用する高い金利は出現しない。だから織り込みようがない。確かにそれを予想し、ドル/円の直物にドル買いが入るという織り込みは存在するが、金利差が開いた後に出てくる先物のドル買いの直物市場への影響(=ドル買い)段違いに大きい。

 

7.「なに?更なる放漫財政がお望み?」

昨日、私のTwitter に以下のリツイートが来た。「ジョージソロスかなんか知らんけど、健全財政?これ以上日本の産業をダメにして外資に乗っ取られる手助けをするのは売国奴でしかないだろ😠」

私の回答は以下の取り。

「世界で一番の不健全財政(=対GDP比で世界ダントツの赤字国)である一方40年間で世界ダントツのビリ成長との事実がありながら、もっと財政を不健全にしろというロジックが全くわかりません。財政を健全にする(=借金を増やすことなく税金を減らです)ことで民間主導経済にするのが解だと思いますが」

 

8.「一定のお金を民間が主導して使うか政府が使うかの2者選択」

先のリツイートに対し、以下のリツイートが来た。「相関で『立証』とか笑わせないで。 昨日、阪神が巨人に勝ったとき、たまたま藤巻さんが水を飲んでいた。「したがって、阪神が勝つと藤巻さんが水を飲むことが立証された」と言ってるようなもんですよ。 政府支出とGDPというトンデモ相関ではなく、因果と相関の違いを勉強しましょう」

私の返信は以下の通り。

「他の条件が同じならば、財政支出が大きいほどGDPは伸びるでしょう。しかし財政支出を大きくするためには税金を高くしなければなりません。税金を高くしないで借金を増やせば、現在の日本のように世界最大の借金国になります。増税の代わりに通貨を刷りまくって歳出を賄おうとすれば、近き将来の日本が直面するだろう通貨の希薄化、もしくは石ころ化で悲惨な国民生活は悲惨になります。借金を増やさないために税金を上げれば、民間に残るお金が減り民間投資が出来ません。要は一定のお金を民間が主導して使うか政府が使うかの2者選択です。民間主導の方が豊かになるに決まっています」。

 

9.「官主導経済ではGAFA など生まれない」

先のリツイートに対し、以下のリツイートが来た。「民間が主導する経済は簡単ではないと思います。上は欧米下はアジアと強力なライバルがいる。欧米は製薬やIT、金融やエネルギーなど儲かる産業を掴み製造業は中国や韓国。日本は民間企業が弱く他国に負け続けてる 日本の経営者の考えを180度変えて選択と集中をしなければ勝てないと思います」

私の回答は以下の通り。

「官主導経済ではGAFA など生まれません」

 

10「根津美術館での国際交流」

昨日は、根津美術館館長の根津さんが開館前にドイツ、オランダ、スウェーデン、フランスの各大使夫婦を招待されるので、一緒に我が夫婦もどうか?と誘ってくださった。友人という理由もあるだろうが、それ以上に英語が下手ではあるもののJPモルガン時代の偉い外国人への接待経験から、ご接待役を仰せつかったと理解している。我々だけで国宝の燕子花図屏風を根津さんの解説つきで鑑賞、庭園で雨上がりの陽の下の今が盛りの燕子花を堪能、茶室でお茶をいただいたことは、かけがいの無い経験となった。根津さん、ありがとうございました。大使夫婦たちは、ものすごく感激していた。これこそ真の国際交流だと思った。根津さんは真の国際交流に大いに貢献している

netubijyutukann 5 根津美術館