「戦慄が走る日経新聞記事」「未達による財政破綻の可能性」「円は落下の一途」他

2022年06月21日

1.「円は落下の一途」

ブルムバーグ曰く「英中央銀行はインフレを押し上げるポンド下落を食い止めるため、より積極的に金利を引き上げる必要があると、金融政策委員会(MPC)のマン委員が主張した」。ならば日銀は、金利を引き上げる気が全くない(=引き上げられない)のだから、円は落下、物価は上昇の一途。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-20/RDS76AT0AFB701?srnd=cojp-v2

2.「戦慄が走る日経新聞記事」

これは、久しぶりに衝撃的な記事だった。戦慄が走った。私もこの記事にある分析には今まで気がつかなかった。「裁定者の出現により現物と先物の差はたちどころに消滅する」のが、厚みのあるマーケットの常識で、今日のように国債現物と先物にここまで差が出るのはおかしい。なぜだ?ノーリスクで儲けをあげる裁定者は、どこに行った?と不思議だった。この記事で、その理由が分かったし納得もいった。しかし、それ以上に衝撃的だったのは、「『先物が使えないと、今後の入札で困ったことになる』と証券会社の国債担当者は打ち明ける」の部分。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61886580Q2A620C2ENG000/

 

3.「未達による財政破綻の可能性」

国債入札参加者は、日銀トレードで最終的に日銀に転売するにしても、入札から転売までに大きな価格変動があるといけないので、先物でヘッジをする。そのヘッジ機能が働かなくなるのなら、怖くて入札に参加できない、こうなると、昔、幸田真音さんが書いた「日本国債」にある「未達」発生の世界だ。入札に対し、十分な資金が集まらない。政府の資金繰り倒産、財政破綻だ。この記事に書かれた内容は、ひょっとするとタイタニック号にぶつかる氷山の意味があるかもしれない。恐ろしい話で戦慄を感じるニュース。

4、「自国通貨建て国債でも財政破綻は起こりうる」

長年、財政破綻を警告していた私は、2013年4月に日銀が財政ファイナンスを大々的に開始してからは「政府支出を中央銀行が新しく紙幣を刷ることによって賄う」という禁じ手の禁じ手を開始した以上、財政破綻の可能性は無くなった。しかし、その替わりに、ハイパーインフレのリスクが出現した。ただし、財政破綻もハイパーインフレも。も国民にとっては同じ地獄、と書いてきた。しかし先に書いた「国債未達」のリスクが生じてきつつある」とは、自国通貨建て発行国債でも財政破綻はありうるということだ。

5、「長期金利をコントロールできるなどと豪語しているのは、日銀しかいない」

日銀は、YCC(イールドカーブコントロール)などいという、もっともらしい名をつけてはいるが、長期金利がコントロール出来ると公言しているのは、世界の中央銀行で日銀だけだ。長期金利を政策金利の一つに含めている中央銀行も黒田日銀しかない。以前の日銀でさえも「長期金利はマーケットが決める」としていた。前述していた未達のリスク出現を含めて、長期金利を中央銀行はコントロールなど出来なのだ。それが世界の金融界の常識だった。それを再確認したニュースだ。