「介入に目を奪われている間に米長期金利上昇」「日本政府の外貨準備は平均取引額の3日分しかない」「外貨準備を無駄に使って責任を取るのか?」他

2022年09月23日

1「介入に目を奪われている間に米長期金利上昇」

皆が介入に目を奪われている間に米国長期金利が上昇している。10年金利はついに3.71%に上昇。 これでは介入を継続しなければドル/円が上にぶっ飛ぶ。新聞によれば介入資金は為替市場規模の3日間分しかないのだから継続は無理。ドル高円安進行に推進力を与えた為替介入だった。

 

2、「米長期金利上昇の理由は?」

昨晩、米長期金利が上昇したのは一昨日のFRB利上げで「Sell the rumor, buy the fact」のデイトレーダーが、長期国債を買い戻した(=金利下落)が損のような一時的要因がはげ落ちたか、もしくは日本政府の介入が、介入原資確保のための日本政府の米国債売り(=長期金利上昇)を連想させたのか?後者ならなんのための介入かわからなくなる。何はともあれ金利差拡大で、今後は大きく円安ドル高は進むだろう。一昨日発表されたFRB 会合参加者の政策金利見通しの中央値が2022年末に4.4% と上昇予想されたときに10年金利が3.7%でとどまるはずがない。10年物金利が翌日物金利より相当高いのは金利全体が滅茶苦茶に上がりすぎ、今にもFRB が急激かつ大胆な利下げをすると予想される直前の話である。

 

3.

日経新聞いわく「外貨準備は8月末時点で約1.29兆ドル(185兆円)程度あり、一見潤沢にみえる。しかし国際決済銀行(BIS)の2019年4月の調査によると、日本の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は約3700億ドルだ。ドル以外の取引も含む金額だが、単純計算で外貨準備はその3日分ほどしかない」

ファンダメンタルズに反した介入が効かない理由の一つ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB220N30S2A920C2000000/

 

4.「外貨準備を無駄に使って責任を取るのか?」

X デイ到来後に、日本国民(特にドル資産を持っていない個人)の命を守るのは外貨準備しかかない。紙くず化した円では石油、外国産農産物、高額医薬品を買うための胃ドルを買えないからだ。その貴重なドルを効果の無い介入で無駄遣いしていいのか?

 

5.日銀がただ同然で刷ってくれる円を政府は買う必要があるのか?」

そもそも貴重なドルを売って、わざわざ買わなくても日銀が刷ってくれる円を買う必要があるのか?(皮肉)。禁じ手中の禁じ手の財政ファイナンスを行っていない時なら円を買って円の価値の希薄化を防止するという意味はあったのだろうが。

 

6.「計画経済国家・日本」

日銀が日本最大の株主になり、長期債市場でモンスター的存在になり、ついには為替まで日本政府がコントロールしようとしている(無理だが)。政府・日銀はあらゆるところで市場機能を抹殺しようとしている。「市場が資源の最適配分を決定する」はずの資本主義国家はどこに行ったのか?日本には「資主義は終わった」という人がいるが、そうではない。「資本主義でなかったから、計画経済・社会主義経済だったから日本は終わった」終わった」のだ。

 

7,「怖い介入VSちっとも怖くない介入」

24年ぶりのドル売り介入だ。24年前のドル売り介入の大蔵省の当事者は榊原財務官、丸山為替課長だったと思う。4月と6月に介入があったが、4月の介入を、私は箱根のゴンドラの中で知った。ポケットロイターに表示されたドルがするする落ちていくのを見て、私はゴンドラからドルと一緒に飛ぶ降りたくなったものだ。当時はモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)の在日代表兼東京支店長をしていたが、同時に世界中のJPモルガンで世界で最も大きな勝負をさせてもらっていたプロップトレーダーでもあった。私の主たる収益減は為替ではなかったが、為替のポジションも日本のメガバンクが銀行全体で持つポジションよりはるかに大きかった。あの日は、NY から資金為替部長が来日していて、プロップトレーディングの直属の部下2人&秘書を連れてボスと箱根に泊まりに行っていたのだ。JPモルガンから他社に転職していった為替トレーダーが、心配して我がチームに何度も電話してくれたのに誰も出ない(当時は携帯電話などなかった)、後日、「フジマキさんのポジションを知っていただけに、フジマキチームは全員で夜逃げしてしまったかと思いましたよ」と言われたものだ。当時の介入は米国との協調であり、ファンダメンタルズに合致していただけに非常に怖かったし恐怖した。今回の介入、ファンダメンタルズに逆行している(為替に関しては、今までのディラー人生の中で最も簡単なマーケット)の中での介入なので、全く、恐怖を感じない。介入はファンダメンタルズに沿っているか反しているか天と地ほどに違う。

 

8.「英中銀が米国債売却決定」

日経新聞いわく「英イングランド銀行(中央銀行)は22日、保有する英国債の市場での売却を始めると発表した」。これは極めて重要なニュースだ。国債の市場売却に踏み切るのは主要中銀で初めて。コロナ禍対応の財政ファイナンスでお金をばらまきすぎたのが世界的インフレの主因。それに気が付いた各国中央銀行はBOE の後追いをするだろう。これをしなければインフレなど収まらない。バラマキすぎたお金を回収し始めた他国中央銀行と、未来永劫にばらまき続けなければならない(そうしないと日銀は債務超過、政府は長期金利高騰による支払い金利急騰で予算が組めず)日銀の差はとてつもなくでかい。

日米金利差でのドル高は1ドル=180円か200円ンまでだろうが、個の性はっきりしていれば1ドル~400円、500円へ。その後は何もできない日銀の信用が失墜して、ドル円は天文学的レートに(=ハイパーインフレ)。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64576910S2A920C2EE9000/

 

9.「ドルのMMF とドルのTMV (債券ベアファンド)というコンビネーション」

拙著「X デイ到来」でもお勧めしている通り、私は昔からドルのMMF とドルのTMV (債券ベアファンド)が良いと思っている。

世界中でお金をばらまき過ぎたので、世界中の法定通貨は価値が下がる(=インフレ進行)。もちろん、為替は相対論だから、とんでもないほどの脆弱財務の日銀が発行する円に対し、相対的に強い経済と健全財務のFRB 画発行するドルは暴騰するだろう。だから米債と言えどもドルの長期債はお勧めしていない。

土地、株は暴落の危機がある以上(お金が本当に回収されるまではまだ大丈夫だとは思うが)、インフレ対策用での購入には躊躇する。それならばインフレで金利が上昇すると儲かるTMVが良いと思うのだ。今、124.83ドル。この1年間では昨年秋につけた48.05ドルの底値から3倍弱になっている。

但しTMV はレバレージが効いており価格の上下動も激しいので、リスク耐性のない人にはお勧めしていない。

 

10 「日本の西の果から東の果てへ」

先々週は台風の合間を縫って、木・金と1泊2日で石垣島、テニスとクラシックコンサート(追っかけをしている小泉和弘さん指揮の新日本フィル)のために土曜と日曜は東京にいて、月・火・水と根室。阿寒湖。ちなみに阿寒湖は温泉での休養だが、他は遊びではない。日本の西の果てから東の果てに飛んだわけだ。帰京後の木曜(昨日)はZOOM会議後に東洋学園の理事会に出席、そしたら為替介入。あわただしい1週間だった。歳取ると月日の立つのが早く感じるのだがこの週間、その前も日々がはるか彼方に思える。ちなみに北海道はエゾシカンになやまれていた。レンタカー屋でも街の食堂でも「エゾシカにぶつかると車の方が壊れますから気を漬けてくださいね」と言われた。確かにいたるところにいた。これでは駆除しないと人間の生活が成り立たない。又最近、ロシアから変な電波が流れてきて、ナビが現在位置を正確に示さないことがあるので気を付けてくださいね」ともレンターカ―屋に言われた。確かに時々おかしくなった。Google map

を併用せざるを得なかった。東京にいるとわからない事も多かった。