「景気が良くなったらおしまいだ」「今の日銀は昔の日銀とは別の機関」「高橋洋一氏はまだそんなことを言っているのか?」他

2022年11月20日

 

1.「異次元緩和の出口問題」

昨日の日経新聞いわく「今後も物価高に歯止めがかからない事態が続けば、大規模緩和を続ける日銀への圧力がますます高まる可能性もある」。でも引締めの方法がないのが大問題。それこそ私が参議院議員になった直後(2013年)から日銀に質し続けた(異次元緩和からの)出口問題だ。「金利を引き締める時、日銀の財務が健全でいられるのかシミュレーション結果を出せ」と要求し続けたが、黒田総裁は「危機尚早」と逃げていた。私の落選でその要求は途絶えたが、その後、シミュレーション結果を出していない。FRBは2015年の引き締めの際には、2年前にスタッフペーパーとしてシミュレーション結果を発表している。日銀は出来ない。FRB y折」格段に悲惨な結果が出てくるだろうからだ。出せば、世界中が大騒ぎとなってしまうだろう。そこまで日銀は追いつめられている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66136730Y2A111C2EA2000/

 

2.「景気が良くなったらおしまいだ」

私はずっと「逆説的だが景気が良くなったら日銀はThe end」と言い続けてきたし、本にも書いてきた。景気が良くなるとインフレになる。しかし日銀はインフレコントロールのために金利を引き上げたり資金回収(QT)が出来ないから。やれば大規模な債務超過になってしまうからだ。

物価上昇に伴い、だんだん、その主張通りになってきた。日銀は動けない。ハイパーインフレの危機いよいよ到来だ。

一つだけ違ったところは「景気が良くなったら日銀はThe end」ではなく「景気が悪くともインフレが進行したら日銀はThe end」と変わったことくらいだ。それでも予想の趣旨は同じ。

 

3,「ボストン連銀総裁発言」

米ボストン連銀のコリンズ総裁は19日「私としてはフェデラルファンド(FF)金利を一段と引き上げ、その後しばらくの間は十分に景気抑制的な水準で金利を維持することが必要になると考えている」と発言した。マーケットは「1回ごとの利上げ幅が縮小する」点に舞い上がっているが、たとえ利上げ幅が縮小したとしても、それは判断を慎重にするとの話にすぎず、ターミナルールレートが度の辺か、どれくらいの期間、金利が平原状態のままでいるかが重要だ。(私自身は今後とも利上げが大いに続き、それ以上に、ばらまいた資金の回収(QT)に長時間かかると思っている。今のドル円のレベル、米長期金利のレベルは、超楽観主義のたまものだと思っている。1980年、私がディーラーになった直後、先輩ディラーが辞めればいいのに「もう金利上昇は終わりだろう」と思って長期債を買ってはやられ、買ってはやられて、損失が雪だるまのように膨れ上がり、血みどろになっていたのを思い出す、その時の再現を見そうでならない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-18/RLJQ0RT0G1KW01?srnd=cojp-v2

 

4,「今の日銀は昔の日銀とは別の機関」

私が、「今の日銀は廃せざるを得ない」と言うと「そんな馬鹿な」と思われる方が多い。それは、過去、日銀とは、にわか専門家や、えせ専門家を含め国民にとっては縁遠い存在で、本来の中央銀行とはどういう存在なのか、どういうオペレーションをしていたか知らなかったせいだと思う。金融の世界にどっぷりとつかり、毎日日銀をモニターし、接触していた私から見ると今の日銀は、昔の日銀とは全く別の機関になりさがった。他国中央銀行とも異なる。昔の日銀マンが「これはやってはいけない一線だと」と認識していたあらゆる一線を、すべて越してしまっている。だから今の日銀は異常であり、とんでもないと思われる結論もありうるのだ。この異常さは何時までも続かないと思っている。

 

5.「サタデイナイト・スペシャルの時代と何が変わったか?」

先日、「私がサタデイナイト・スペシャルの再来を予想している」と書いたら、以下のリツイートが来た「今の状況と全く異なる昔のことと比較するのはどうよ?」

私がした回答は以下の通り。「お金がジャブジャブと言う点(今の方が格段にジャブじゃぶ)で昔と全く変わらない。何が変わったのか?ばらまいてしまったお金を回収する方法以外で、通貨の希薄化を制御する方法をなにか見つけたのなら話は別だが」

 

6.「米10年金利5%はあり得ないか?」

昨日私のTwitterに以下の質問が入った。「10年金利5%はどう考えてもあり得ないのでは?」

私がした回答は以下の通り。

「ボスカーのサタデイナイトスペシャル(1979年)の時は米10年金利20%、1980年の日本国債金利11%。当時は世の中にお金がじゃぶじゃぶだと言ってお金の回収に入った。今の方がばらまかれたお金は各段にジャブジャブ。世界の中央銀行は同じ方法でお金の回収に走らなければならないと私は思っている」。

 

7.「頑な黒田日銀総裁」

一昨日の衆議院財政金融委員会では黒田総裁は、2時間、かたくなに「金融緩和継続」を主張されていた。面白かったのは、「金利を引き上げられない」との立憲議員(?)の質問に「そんなことはない」と気色ばって(?・少し大げさか)回答したところ。議員は「黒田総裁は経済動向からして金利を上げられないとおっしゃるが」との趣旨の質問だったと思うが「(上げると日銀の自死になるから)上げられない」との指摘と誤解されたようだった。「金利を上げると日銀の自死になるから上げられない(長期金利0.1%というゴミ程度の利上げやマイナス金利政策の解除(<73兆円のうち24兆円しか適用されていない)など実質的に何の意味もない修正を除く)」とは総裁自身が一番わかっているはずだ。

それにしてもこの日銀総裁の、この頑な態度(上げられないのだから、この態度をとるしか選択の余地はないのだが)は、金融政策を変更を信じているほとんどの外国人にはショックだろうな。

 

「今の国債買いオペは本当に財政ファイナンスではないのか?」

一昨日の衆議院財政金融委員会で黒田日銀総裁 又、おっしゃった。「物価安定のためだから、今の国債買いオペは財政ファイナンスではない」と。 私が何度も反発していたとおり「火事は失火であろうと放火であろうと家が焼ければ火事。原因、目的では判断しない」。発行国債の半分を中央銀行が保有している現状はThe 財政ファイナンスそのものだ。財政ファイナンスの定義は「中央銀行の政府に対する信用供与」。信用供与とは金融界では融資のことを言うことが多い。過去のハイパーインフレを引き起こした経験から世界中で禁止されている、

 

9,「日銀は簿価会計のままでいいのか?」

先日私のTwitterに以下の質問が入った。「日銀は他銀行には時価会計を推奨しておきながら自分は簿価会計だから大丈夫てかぁ」

私がした回答は以下の通り。

「これは19978に日銀が自分たちの会計基準を決定した時に、一般的な会計基準に従うべしとしたからです。当時の一般的会計基準は『満期保有は簿価会計、売却の可能性のある者は時価会計』です。当時、日銀は3か月の国債までしか保有していなかったから満期保有だったでしょう。だヵら簿価会計でもOK.しかし今はほとんどが長期債。金融政策をきちんと行うのなら途中売却を額は出来ない。ならば当然時価会計にしなぅてはいけないのに、それを怠っている、監督官庁である会計検査院の怠慢(指摘しない)だと思う」

 

 

10.「高橋洋一氏はまだそんなことを言っているのか?」

先日私のTwitterに以下の地ツイートが入った。「高橋洋一氏が『日銀が国債を買えば政府の借金が消える』と説明しているから是非見てください」

しつこい要請だったので見たが、案の上「まだ高橋洋一氏は、こんなこと言っているのか?」と思い50分の映像、最初の2分で打ち切った。2分間見れば嘘がすぐわかる。ばかばかしい。「日銀は国債を保有すると利子収入が入ってくるが、日銀の国債購入原資は現金だから支払利息はない。したがって丸まる収入になる。これを政府が持っていけば政府の支払い金利と相殺されるから」等々。何を言っているのやら。日銀の国債購入原資は日銀当座預金が主。民間銀行から国債を購入した場合、その代わり金を日銀当座預金に振り込むのだ。日銀の国債保有額は9月末で545兆円、日銀当座預金は493兆。発行銀行券残高は120兆円しかない。統合政府論だと、国債から受け取る受取利息は政府に戻し(=相殺されて)。もう日銀の手許には何も残っていない。この日銀当座預金への支払い金利の原資を日銀どうするのか?「統合政府」で考えると政府の国債という長期借金を「日銀当座預金」と言う超短期借金に変えてることがはっきりする。金利上昇が予想されている昨今、「統合政府で考えると日本の財政は健全だ」ではない。「統合政府で考えると日本の財政は極めて危険」だ。

https://youtube.com/watch?v=aTOUGm7vzSc

 

11、「中央銀行の当座預金に付利をするのは異端か?」

以上の論を述べたら、私のTwitterに「高橋洋一氏が日銀当座預金は無利子が原則だ。当座預金への付利は異端だ」と触れ回っている、とのリツイートが何通も入った。冗談ではない。今、世界の中央銀行は、皆、その手段を取っているし、それしか政策金利上げの手法はない。高橋氏はこの現状を、世界中の中央銀行は「異例と言っているらしいが世界の中央銀行が今やっていることは異例?

 

12.「若田部副総裁答弁のインチキさ」

先日、日銀の簿価会計について、また日銀の債務超過についてtwitterに書いた

羅、私が参議院財政金融委員会で日銀の若田部副総裁と質疑応答をした時(2019/5/23 )の議事録に詳しく載っていますねと書いてきてくださった方がいた。この時の若田部日銀副総裁の答弁はひどいもので、日銀マンとしても学者としても矜持の無い滅茶苦茶版。私の質疑は093から始まります。この若田部副総裁との質疑を聞いて日銀が債務超過になる可能性、日銀の簿価会計は適正さかを、ご判断下さい。

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119814370X01120190523&current=1

13 「林家木久扇師匠誕生記念落語会」「小泉和弘さん指揮神奈響コンサート」

金曜夜7時からは、親しくさせていただいている林家木久扇師匠誕生落語会@渋谷区文化総合センター大和田さくらホール、昨日14時からは追いかけをしている小泉和弘さん指揮(日本1の指揮者だと思っている)の神奈響のコンサート@みなとみらい大ホール

久しぶりにリラックスさせていただいた

 

木久扇師匠

(↓小泉和弘さんと楽屋で) 小泉さん① (↓楽屋から聴衆にあいさつしている楽団員。ほほえましい)神奈響