「元日銀理事の山本謙三さんのブログ」「バフェット氏の円債発行の意味」「過剰反応は収まる」他

2022年12月03日

「元日銀理事の山本謙三さんのブログ

尊敬している元日銀理事の山本謙三さんがグログを更新した。ぜひご一読を。

特に最終章の「教訓を考える」のところは是非。

「80年代、ボルカー元FRB議長は政治や世論の反対を押し切って、断固たる引き締め政策をとり、インフレを収束させた。米国内では、これがその後の経済の繁栄をもたらしたと理解されている。40年ぶりの物価高騰に直面するFRBは、何としてでもインフレを収束させなければならないと感じているだろう。」

との文章が肝だと思っている。

https://www.kyinitiative.jp

 

2.「バフェット氏の円債発行の意味」

本日の日経新聞によると、バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが1日、円建て社債で合計1150億円を調達。これまでの調達額累計は1兆円を突破したそうだ。日経新聞によると日本株購入のためだとの期待があるようだが、とんでもない。何度も書くが、多少は日本株を買うかもしれないがメインは、円を調達通貨と考えているせいだろう。金利が格段に安い円で調達し、ドル投資に充てる。為替ヘッジなしで放置し、満期に円安が進んでいればマイナス金利での資金調達になる。1ドル100円の時に1000億円を調達し、10億ドルに変換し、ドルで投資、為替ヘッジはしない。満期の時に1ドルが200円になっていれば、半分の5億ドルで元本を返済できる。借金が利益を生む。バークシャー社は超低金利と将来的な円安予想を活用しての円調達をしたのだろう。今は、円が多少、強んだ絶好のタイミングだ。金利差が開くとドル需要が出るとはこういうことだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0203W0S2A201C2000000/

 

3.「過剰反応は収まる」

株価や国債金利の動きを見る限り、逆CPI ショック後のマーケットの動きでFRB は0.75 %1回分の利上げ効果をふっとばしてしまった。又(多少に過ぎないとはいえ)ドル安が進み、自国通貨高という最強のインフレ鎮静策も弱まってしまった。米国の多くの識者がこの1か月を「インフレ鎮静化期待の過剰反応」と分析している通りだと思う。今回のインフレの主因がお金の刷り過ぎで世の中にお金がじゃぶじゃぶになっていることを考えるとQT が終了するまで、インフレは簡単には収まらない。日本はQT も出来ない。円暴落は近い。日銀は出口から日ごとに遠ざかっていき出口は全くない。

4.「日銀当座預金口座への付利は政策金利上げの唯一の手段」

世界中で利上げが行われているが、皆、当座預金(=日銀当座預金に相当)の付利金利上げという手段を取っている。これしか政策金利高め誘導手段は、まだ発明していない。別な言い方をするとインフレを抑える田茂の利上げは日銀当座預金への付利金利上げしかないのだ。たとえば日銀当座預金に1%の金利を付利したとしよう。民間金融機関は、例えば東芝に1%で融資などしない。なぜなら日銀当座預金に預金するだけで1%の金利を貰えるのに、わざわざいろいろな事務をし、かつ倒産リスクも日銀より高い(私は疑問に思うが)東芝に1%以下の金利で融資を行わないからだ。日銀当座預金は9月末で493兆円。1%の付利で4.93兆円の金利支払い。たった1%の利上げで巨大通貨発行損の発生だ。それが何年も続く。

5.「昨日は元大蔵省の為替課長と食事」

昨晩は、1998年のロシア危機の時に、ドル売りの為替介入をして私をボコボコにした、当時、恨み骨髄だった大蔵省元為替課長と2人で飯。

今日は、午前中、東大入試を無くし、当時恨み骨髄だったお医者様と仲良くテニス。

かっては恨み骨髄だった2人と仲良く生きる。人生、いろいろです。

 

6「自国通貨建てでデフォルト起こした例あるのか?」

昨日、以下のリツイートが私のTwitter に来た「自国通貨建てでデフォルト起こした例あるのか?」

以下のように回答した。

「沢山あります。英国中央銀行のレポートをお読みください。破綻を避けようと紙幣を刷り過ぎて悪性インフレになった陥った場合も実質デフォルトではあるが、まさにデフォルトそのものを起こした例も考える以上にふんだんにあると書いてあるでしょうが」

https://bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/statistics/research-datasets/how-frequently-do-sovereigns-default-on-local-currency-debt.pdf?la=en&hash=62205B4AB0B476C576442F70C03F61E1915EA9C1

 

7.「国は寿命が無いのになぜでデフォルトが起こるのか?」

昨日、以下のリツイートが私のTwitter に来た「国債は借り換えもできる。国と個人を同じにしてる。国には寿命はないし」

以下のように回答した。

「国債がいつまでも借り換えできるのなら、なぜデフォルトが起こるのか?」

 

8.「デフォルトするのは他国通貨建てだけか?」その①

「「自国通貨建の国債でデフォルトした例があるのですか?」

沢山あります。英国中央銀行のレポートをお読みください。破綻を避けようと紙幣を刷り過ぎて悪性インフレになった陥った場合も実質デフォルトではあるが、まさにデフォルトそのものを起こした例も考える以上にふんだんにあると書いてあるでしょうが。

https://bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/statistics/research-datasets/how-frequently-do-sovereigns-default-on-local-currency-debt.pdf?la=en&hash=62205B4AB0B476C576442F70C03F61E1915EA9C1

 

8.「デフォルトするのは他国通貨建てだけか?」その②

昨日、以下のリツイートが私のTwitter に来た。「デフォルト?してないだろ。いつ日本がデフォルトしたんだ。他国でデフォルトしたのは自国通貨建国債じゃないからでしょ。しかもほとんどが新興国」

以下のように回答した。

「借り換えがいつでも出来るのなら1900年以降、なぜ131回ものデフォルトが起きっているのか?なぜ自国通貨建てだと借り換えが出来て、自国通貨建てでないと借り換えが出来ないのか?自国建てであれ他国建てであれ10年国債は10年後に元本返さねばならない。それを借り換えてくれるか否かは買い手の判断。他国建でもそのまま返す必要が無いという貴兄のロジックだったら他国建てでもデフォルトが起らないではないか?自国建てなら返さなくてよくて他国建てなら返さなければいけない規則でもあるのか?寡聞にして聞いたことない。繰り返すが国債は満期になったら返さねばならないの。その返済資金も新規発行分と一緒に入札で調達する。今の日本ではこれを買ってくれるのは日銀しかいない。だからQT 不能。

131 defaults since 1900. Based on 20 default episodes since 1988

https://cepr.org/voxeu/columns/social-imprint-sovereign-defaults

 

9.「デフォルトするのは他国通貨建てだけか?」その②

しつこく同じ内容の質問が私のTwitter に来る「自国通貨建でデフォルトが起きるわけがないでしょ(笑)。 デフォルトは外貨建で支払いができなくなる状態のこと。 通貨発行権がある限り自国通過建では起きません。 リスクはハイパーインフレだけど、それはデフォルトではない。 そうやって嘘で不安を煽るのはやめなさい」

以下のように回答した。

「ならば英国中央銀行に貴行が発表したレポートは間違いだとクレームを付けたら?」

https://bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/statistics/research-datasets/how-frequently-do-sovereigns-default-on-local-currency-debt.pdf?la=en&hash=62205B4AB0B476C576442F70C03F61E1915EA9C1

 

10「誰が入札で国債を買っているのか?」

昨日、以下のリツイートが私のTwitter に来た。

「入札はお客様の買いニーズを汲み取って、これからなら買ってもらえる水準レートと金額を、お昼休みまでに財務省に札入れする。その後落札できたかどうか、連絡くるから買えたらお客様に渡す」

以下のように回答した。「そうですね~。ただ現状、そのお客様とは日銀しかいない。そのオペレーションに日銀トレードと名がついた。日銀トレードが存在するから民間銀行は入札に参加するに過ぎない。日銀が買ってくれなくなったら誰も入札に参加しない、未達。デフォルト。民間銀行は長期国債保有額をこの10年間で極端に減らした」

 

11「国債の最後の借り手は日銀か?」

昨日、以下のリツイートが私のTwitter に来た

「最後の貸し手は国債の場合、中央銀行や国際機関(IMF)の事を指します」。

以下のように回答した。

「日銀が国債の引き受け、もしくは国債を買い取って、間接的に政府の歳出を賄うことは中央銀行の役割ではない。逆にハイパ―インフレになるからとの理由で今までは世界中で禁止されていた事。先人の知恵を無視して黒田日銀がやっていること。そもそもそれがゆえに政府から独立した中央銀行が作られた。

「中央銀行の金融政策運営に対しては 過去の中央銀行の歴史を見てもインフレ的な政策を求める圧力がかかりやすい。 実際、財政支出を賄うために通貨の増発が行われ深刻なインフレを招いた例は少なくない」

だから中央銀行が国債の買い手(=政府の歳出の資金援助)をしてはいけないと世界中で決めている。引用した文章は日銀の金融研究所が発行した本(日本銀行の機能と業務)からの抜粋です。ちなみにMMT信者は、どうして財務省は税金を取りたいがら嘘をつくと言い「簿価評価だから世界は日銀の財務を問題にしない」との日銀の言うことは何時も正しいと思うのかね?税金とらないから?