「金利を『上げない』ではなく『上げられない』」「41年8か月前の金利はどうだったのか?」「米銀の日銀当座預金閉鎖決定は、秘密裏に一晩のうちにおこなわれる」

2023年01月28日

本日は、東洋経済オンラインの件しか書く気はなかったのですが、昨晩の雪でテニスが出来ないので、たくさん書きました。テニスの替わりです。

1.「年収30億円富裕税で日本は平等に貧乏な国になる」

本日、東洋経済オンラインに拙稿が載っています。いつもとはトピックを変えて「税金」についてです。無料で読めます。「世界中で相続税の無税化、軽減化が進行しているとき、日本だけは重税化が進んでいる。なぜ世界で相続税・贈与税の無税化・軽減化が図られているのかを分析するべき。過度の再分配は国を弱体化させる、その結果、ひとりひとりの国民も貧乏になるという分析の結果だと、私は考えている」。「税とは国全体が豊かになり(=パイを大きくし)、1人当たりの生活も豊かになることを第一義に設計されるべきものだ。そうすれば結果として税収も増える。格差是正を第一義に設計されるものではない」「バラマキが、誰か他人のお金で賄える時代はすでに過ぎた。借金額が限界を超えて大きくなってしまったからだ。大きな借金を返すには、「消費増税」か「所得税の課税最低限の引き下げ」以外方法はない。ばらまけば、いずれは他人ではなく、自分たちへの増税となって跳ね返ってくることを認識すべきだ」「このまま大きな政府(=大きな歳出)を続けるのなら、「消費税の大増税」+「課税最低限の引き下げ」で、国民全員に大きな負担がかかるのはやむを得ない。または借金の踏み倒し(=悪性インフレ)しかないことを肝に銘ずるべきである」

https://toyokeizai.net/articles/-/647226

 

2.「金利を『上げない』ではなく『上げられない』」

1月の都区部物価が4.3%上昇と1981年5月以来41年8か月ぶりの上昇だ。にもかかわらず黒田総裁は最大限の金融緩和を続行している。黒田総裁が利上げしない詭弁をそのまま垂れ流すマスコミやアナリストにはあきれ果てる。金利を「上げない」ではなく「上げられない」からとしか説明のしようがない。

 

3,「41年8か月前の金利はどうだったのか?」

都区部物価の4.3%上昇は1981年5月以来。当時の公定歩合は5.5%、82年末の10年債金利は7.97%、昔なら、こんなに物価上昇が激しければ強烈な金利引き締めに入っていたはず。逆に強烈な金融緩策はとんでもないが、執着するのはなぜ?日銀は債務超過が怖いからだ。他の理由ある?

 

4.「日本には今後、インフレ地獄(日銀インフレ)が待っている」

黒田日銀総裁は「労賃の上昇が物価の上昇に追い付くまでは緩和を続行する」とおっしゃるが、そんなことは利上げをしない理由にならない。他の中央銀行は必死になって、利上げを行っているが、労賃の上昇が物価の上昇に追い付いている国はない。緩和継続で、日本は今後、インフレ地獄(日銀インフレ)を迎えるだろう。

 

5.なぜ「金利を上げられないか?」

なぜ「金利を上げられないか?」・長期にしろ短期にしろ、利上げすれば日銀がすぐ債務超過になってしまうからだ。他の中央銀行と違い、段違いの財政ファイナンスをして来たせいだ。債務超過になれば米銀が日銀当座預金を閉鎖し円をドルと交換できなくなるし、格下げで国債がジャンク債入りしてしまうからだ。

 

6.「日銀の未来は自死か他殺か」

日銀が金融引き締めを行えば、債務超過で円は紙くず化。金融緩和を継続し火に油を注ぎ続ければインフレは軽く10%を超えていくだろう。その時、次期日銀総裁は「まだ緩和は必要です」と言えるのだろうか?いずれにしろ日銀は新中央銀行に変わらざるを得ない。円は流通不能になり新通貨が法定通貨となる。

 

7.「米銀の日銀当座預金閉鎖決定は、秘密裏に一晩のうちにおこなわれる」

米銀の日銀当座預金閉鎖決定は、秘密裏に一晩のうちにおこなわれるだろう。戦闘が一番被害が少なくて済むからだ。日銀が純資産の時はその心配はないが、債務超過になれば、いつでもその決断は起こりうる。だから長期金利が0.5%を超えて上昇していくのは怖いのだ。安心して過ごせる日がなくなる。

 

8「X デイがいつ来るのか?」

「Xデイがいつ来るのか?それをはっきり言えないのなら予想ではない」などとだらないことを言ってくる人たちが多い。そんなの分かりっこない。私は米銀の審査部や格付け機関の人間がいつ意思決定をするかわからないからだ。言えることは外資はリスクに対して、ものすごく厳しい態度を取るということ。

 

9.「この事態に至って金利差でドル円を予想するのか?」

英国で昨年末、トラス政権が市場の暴力により史上最短で倒れた。財政の持続性に疑義が生じたからだ。あの時は国債が暴落し(=長期金利が暴騰)、金利差はポンドにフェーバーになったのにも関わらず、逆に通貨ポンドは逆に大幅安になった。この期に至ったドル円を金利差で予想する人の気が知れない。