「積み上がったドル売りポジションの逆噴射の可能性も」「米長期金利4.7%などまだまだ低金利」「長期金利が1%をうかがうのに対し必死の防衛戦を強いられる日銀」他

2023年10月03日

1.「積み上がったドル売りポジションの逆噴射の可能性も」

これほど金利差が拡大してもドル/円が150円直前で停滞しているのは、為替介入による一時的な円高期待のデイトレーダの(ファンダメンタルに反した)ドル売りポジションが積み上がってきているせいだろう。介入が入らないままスワップポイントの支払いに耐えられなくなったり、円安がじりじり進むとこれらのポジションの逆噴射が起こり、円安にふっとぶ可能性もある。又、ドル売り介入が実際入ったとしも、これらのドルショートポジションの巨大なプロフィットテークで介入がドル高方向に押し戻されてしまう可能性が大である。ファンダメンタルズに反する介入はワークしない。

 

2.「米長期金利4.7%などまだまだ低金利」

米国の10年金利が、ついに4.7%まで上昇してきた。超低金利に慣れ親しんだ現役トレーダーはとんでもなく高い水準だと思うかもしれないが、歴史的に見るとそれほど高い水準ではない。日本の国債先物は期間10年、利息6%の仮想国債を取引している。なぜ6%か?といえば創設時の1985年10月当時、10年の長期金利の平均は6%と考えるのが常識だったからだ。景気が良いと6%より高く、景気がわるいと6%より低い。米国長期金利は絶えず、日本より高かった。1980年には20%まで上昇している(日本は11%)、そう言う気代を経験している私から見れば今の4.7%などまだまだ低金利なのである。

 

3、

本日の日本の長期金利は0.75%ほどに戻してはいるが、昨日は0.775%と2013年9月以来10年ぶりの高水準を更新した。日銀は連日の債券オペで上昇防止に必死だ。1.0%まで上昇すれば民間の弱小金融機関が債務超過に陥り金融システム不安を引き起こすかもしれないからだ。日本版シリコンバレー銀行問題の発生の危機だ。そしてそれ以上に長期金利1%は日銀が債務超過に陥るかどうかのギリギリの段階だ。植田さんは金融がよくわかっているから、一層心配なのだろう。また円安を加速させる政策を取り続けている以上、ドル売り介入をする大義名分がない。ドンつまりの日銀。

 

4.「コール市場が異例の活況」

このニュースには驚いた。邦銀はまだこんなことしているんだ。日経新聞いわく「金融機関の間で、コール市場と日銀に構える当座預金との金利差で稼ぐ取引が広がっている」そうなのだ。昨日の無担保O/N コールレートの平均が▲0.044%だから、このレートで借りて0.0%で運用(=ゼロ%の日銀当座預金に置く)というアービトラージ(裁定取引)だ、JPモルガン時代、こんなことをしたら、犯罪者のごとくに怒られただろう。ROAを著しく低下させる行為だからだ。バランスシートを膨らませてこんな剥離のビジネスをしたら株価を大いに下げ、株主に対する背任行為と言われてしまう。だから私は、ほとんどの取引がデリバテイブを使ってのリスクテークだった。バランスシートは極力使わないように心掛けた。金融機関がこんあことしている段階なら、資産運用立国を、などというのは100年早い。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB3030D0Q3A930C2000000/