「吹っ飛んでしまった市場金利上昇の政策金利引き上げの代替効果」「レイ ダリオ氏の日銀財務への指摘」「ドル/円市場の注目点のシフト」他

2023年11月06日

1.「吹っ飛んでしまった市場金利上昇の政策金利引き上げの代替効果」

パウエルFRB 議長他の長期金利の上昇(市場金利)が政策金利引き上げの代替効果をもたらすとの発言に加え、著名投資家の債券ショートの解消(=長期金利はもうこれ以上上がらないかもしれない)発言や経済指標が市場予想より悪かったこともあり長期金利が3日(金)、一時4.48%まで低下した(終値は4・57%)。10月23日に5.02%を付けてから11日間で0.54%も下落したわけだ。「市場金利が政策金利引き上げの代替効果」をぶっ飛ばしてしまった。2回分の利上げが再度俎上に延びってきてもおかしくない。

「市場金利上昇のおかげで政策金利の引き上げが不要になる」として市場金利が下がるのならいつまでも堂々めぐりとなって、ちっとも引き締め効果は上がらない。

 

2.「レイ ダリオ氏の日銀財務への指摘」

昨日、私のTwitterの読者から、レイ ダリオ氏の同課のご紹介があった。

レイ ダリオ/Ray Dalio】日本銀行は大量の国債を買っている。その国債の価値について考えて欲しい。そのような膨大な借り入れを続けられるだろうか?金利が上がると、日銀に問題が生じる。

The bank of Japan has bought an enormous amount of bonds. Think about what those bonds are worth. Can they continue to have those levels of borrowing? If interest rates go up, there’s a problem for the BOJ.

https://www.youtube.com/watch?v=4jVJMD9xNUk

以下のように返信した。

「ありがとうございます。ついに(と言っても9月28日ではありますが)レイ ダリオ氏まで言い出しましたか?これでは相当早く、世界に日銀の実情が知れ渡ってしまいますね。いつまでも隠し通せるものではないから当然ではありますが。これは円暴落の時期近し、ですな」

3.「ドル/円市場の注目点のシフト」

11日間で0.54%も米国債が下がったのに、その時点での$/¥は149.10だった。日米金利差の縮小に対して、ドルの耐性が強い(=日米金利差が縮小してもドル円は下がらない)ことを証明した。ドル/円市場の注目点は「日米金利差」から「回収されていく通貨金(ドル)」と「未来永劫にバラマキ続けられる通貨(円)」との希少価値の差、そして外国人が注目し始めた日銀財務の健全性に移っていくだろう。

 

4.「米国債の底入れ判断は時期尚」

多くの米国人や日本の機関投資家や邦銀等にとって米国長期金利の低下は願望だろう。それがゆえに些細なことで皆が沸き上がってしまったのがこの11日間の米長期金利低下だったと思う。1985年から90年の日本のバブル経済と同じ強烈な資産効果によって保たれている米国経済は強い。特に米国民は株保有が日本とは段違いに多いから資産効果の強さは抜群である。為替も当時の日本のように強烈な自国通貨高(デフレ要因)が進行しているわけでもない。ましてやボルカーが「しつこいインフレはバラマキすぎた通貨量」と看破した1980年のボルカーショック時代に比べて、段違いに通貨をばらまいている。米国のインフレはそう簡単医収まるわけがない。現在の長期金利4.5%など歴史的に見ればまだまだ低金利。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-02/S3IH7DT0AFB401?srnd=cojp-v2

 

4.元日銀理事の山本謙三さんブログ

敬愛する元日銀理事の山本謙三さんからブログを更新したとの連絡が旅行中に入った。山本さんいわく「だが、そもそも日銀の『(物価と賃金の)好循環を見極める』姿勢は、適切なのだろうか。中央銀行は物価の番人であって、賃金の番人ではない。賃金は、基本的に企業の付加価値によって決まる。中央銀行は直接コントロールできない。金融政策は、本来「短期の経済変動を均す」ための手段だ。物価が上がれば金融を引き締め、物価が下がれば金融を緩和し、そうしたプロセスを経て物価を安定させる――これが金融政策の役割である」―>ド正論。(物価と賃金の)好循環を言い出しているのは、金利を上げれば自身が自死してしまう日銀の苦肉のエクスキューズ。追いつめられている日銀/円。

https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2023/11/01/post2444/#more-2444

 

 

5.「予測通りに進行中」

昨晩、以下のお褒めの言葉を私のTwitterにいただいた。

「ご著書はこれまで何冊か拝読していますが、今日、改めて Amazon Audible で『超インフレ時代の「お金の守り方」』を聴き、その通りに進んできたことに愕然としています。予測が最後まで当たらないことを祈りつつ、大切なお金を守りたいと思います」。

 

6・「ユーモアのセンス」

昨晩、以下のリツイートが私のwitterに来た。

「必死ですね🫵🤭自分で期限切っちゃった年末が近づいてますもんね、暴落してくれないと困りますよね笑」

以下のように返信した。

「鬼の首を取ったように喜んでいるのはよほどのアホかユーモアのみじんもない欧州人には超馬鹿にされる方ですね。私は遅かれ早かれ1ドル=400円~500円に達し、その後1ドルは天文学的な数字(例えば1ドル=1兆円=紙くず化)になるとは思ってはいる。しかし、いつそうなるかなどは、誰にもわからないし、その時期を予想するなどアホな人がやること、ましてやそれを聞くのは更にアホな人だと思っているから、そんな予測などやろうなどとは思わない。私が「年末に1ドル=400円~500円を予想する」と書いたのは大場元財務省財務官が亡くなった時に大場さんをしのんでの話だ。大場さんはユーモア好きで有名な方だったが、私が一番好きだったユーモアは「神様は天国に上ってくる一人一人に仕事を与えるが、一番鋭くないお人よしに、半年後の為替予想の仕事をさせる」だった。それを受けて、為替を職業の一つとしている人間の自虐ユーモアとして、「それじゃ私は、6か月後の為替を1ドル=400円~500円と予想しましょう」と書いたのだ。それ以外の時に、そんなばかばかしい発言(期限を区切っての400円~500円)はしていないはず。それを真剣に「フジマキは期限を区切って1ドル=400円~500円と予想」したと捉える貴兄は、よほどに読解力がないか、アホか、ユーモアの全く通じない超面白くない人のどれかと。

確認したければ、私の6月27日のブログの4番を受けての3番を読むべし。Twitterでも同じ。・

https://www.fujimaki-japan.com/takeshi/13107

 なお、今年も林家木久扇師匠のご長男の林家木久蔵師匠から「コシヒカリ」を送っていただいた。ブランド名は「(親の)ななひかり(七光り)」。貴兄も木久蔵師匠の爪の垢でも煎じて飲んでユーモアのセンスを少しでも磨いたら?」

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