.「ドルを買ったら酒飲んで寝てろ」「円に弱気」「日銀は利上げ出来るか?」「中央銀行は長期債を買ってはいけないのか?」他

2024年05月13日

1.「ドルを買ったら酒飲んで寝てろ」

日経新聞によると、今回のドル売り円買い介入で外為特会に2兆円超の売却益が出たそうだ。私は長年「ドルを買ったら酒飲んで寝てろ」と言い続けてきた。私の主張は聞いたからではもちろんないが、それを最大限に実践してきたのは日本政府じゃないか、ということ。

しかしまだまだ保有しているドルを売ってはいけない。X デイが来る時の保険として必要不可欠だからだ。ドルが無ければとんでもない生活が待っている。それは国も同じ。X デイ後、原油、外国産農産物、高級医療品を紙くずになった円では外国人は売ってくれない。国民を守るためにもドルを保有していることは不可欠。

https://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXZQOUA0713D0X00C24A5000000

 

2,「円に弱気」

昨日のBloomberg ニュースによると「BofA(バンク・オブ・アメリカ)の顧客は2022年以降で円に最も弱気な見方を示しており、長年の強気スタンスから一転した」そうだ。

介入許容額と思われる額の大半を使い切り、外国人が期待していた成果が出なかったせいだろう。介入はお化けと同じで、やるぞ、やるぞ、の時がもっとも、成果が上がる。姿を見せたら、何だということになり、お仕舞、

政府/日銀は、円安は投機的な動きのせいだと言うが、「40年間、GDPが世界断トツのビリ成長の上に、中央銀行が(対GDP比)世界最大のメタボ(=お金の垂れ流し)で財務が危機的」なのだから、円安の動きはファンダメンタルズに沿った動きだ。

155円などまだまだ超円高もいいところだろう、それを介入で止めようというのは無理。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-10/SD9UZQDWRGG000?srnd=cojp-v2

 

3.「日銀は利上げ出来るか?」

最近、近じか日銀の利上げを予想する論者が出てきたが、マスコミはそれの予想を載せる時、是非、利上げしても日銀財務が大丈夫なのか?債務超過になっても世界の人は日銀やその発行する通貨を信用するのかを続けてくれるのかをきちんと聞いて、それも一緒に載せていただきたい。そうでなければマスコミも無責任だ。

何度も書くが、中央銀行が債務超過になっても大丈夫な条件は学問的には3つある。

  • 債務超過が一時的だと市場が信じる。
  • 金融システム危機に対処するために一時的に債務超過になるが中央銀行自体は健全である
  • 政府の財政が健全化に向かっており、将来税収により中央銀行の赤字が補填されると予見できる。

日本銀行の債務超過の場合、上野条件を何一つ満たしていない。

 

4.「中央銀行は長期債を買ってはいけないのか?」

先週金曜日、以下のリツイートが私のXに来た。

「株は分かりますが… 中央銀行が国債買ったらダメなんですか?どの国も普通に行っていることだと思ってました」

以下のように回答した。

「長期債もダメです。伝統的金融論では、中央銀行たるもの価格が上下に大きく動くものは買ってはいけないというのが鉄則です。債務超過になると中央銀行が債務超過に陥り、その発行する通貨の信用まで失墜してしまうからです。長期国債は短期国債に比べて同じ金利1%の動きに対し値動きが激しいからです。私が金融マンの時は日銀は株はもちろんのこと長期国債は買っていませんでした。買っていた国債は3か月までの短期国債。長期債は 成長通貨といって、経済の成長に合わせた額(保有長期国債を売り戻す必要はない)のみの購入でした。経済の成長に比し通貨量が増えないと通貨の価値が上がる(=デフレ)からです。現在は逆に経済の成長に比しとんでもないほど(他国に比べても異次元)の通貨を発行してしまいました。過激インフレ(=円の価値の棄損)は避けようがありません。 今、昔の日銀総裁が生き返って現在の日銀のバランスシートを見たら、そのとたんに卒倒してしまうでしょう。伝統的金融論に反する政策を取るときや将来の分析をするとき等、いつも「今回だけは違う」という解説をする人がいますが、いつも「今回も同じだった」との結論になります。40年以上マーケットの現場にいたバリバリの現場人間である私の観察結果です。やはり伝統的に受け入れられてきた学問は正しいのです」

 

5.「坂篤郎さん死去」

東洋学園大学の理事会その後の懇親会でいろいろお教えいただいた坂篤郎さんが亡くなられた。坂さんは旧大蔵省に入省、主計局次長、内閣官房副長官補を務めた後、日本郵政社長を務められた。歯に衣着せぬ発言からは学ぶことも多かった。ご冥福をお祈りいたします。