「政治的混迷と財政出動要求」は3年後の次の選挙までではなく今後6年間続く」「最後のドルの買い場か?」「今後の超長期債の入札は、日本の未来を決する重大イベント」他

2025年07月21日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません

私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 

1.「政治的混迷と財政出動要求」は3年後の次の選挙までではなく今後6年間続く」

6年前、自分が2期目の選挙に出ていた時は、夜早く寝つき、長男・健太に「お父さん、落ちたよ~!」とたたき起こされた(4年半後に繰り上げ当選し、1期目と併せて7年半の政治生活をさせていただいた)が、今回は今日以降のマーケットが気になり、眠れなくなり、深夜まで選挙結果を見ていた。

与野党が想像以上の議席を確保したというもののこの政治的混乱は日本経済にとって致命的だ。特に「減税:給付金バラマキ」で財政がボロボロになり日銀破綻と共に円紙切れは必至と思える。

問題は、私の予想するX デイが来なくても今後6年間、政治的混迷と財政出動要求が続くと考えられること。

参議院には解散がない。したがってこの「政治的混迷と財政出動要求」は3年後の参議院選挙までぞくのか?というとそうではない。6年間続くのだ。3年前の参議院選は与党が大勝した選挙だった。したがって3年後の参議院選挙で自公が圧倒的多数をしなければ自公が過半数に戻ることは不可能だからだ。6年間はあまりに長い・

以下の書くように長期債マーケットの崩壊が迫っているときにこの「財政出動派」政党の躍進は極めて痛い。

 

2.「最後のドルの買い場か?」

もし本日、円が大崩れしなかったのなら、それは最後のドル買いのチャンスを我々にくれたと考えてよいだろう。今後、円について良いニュースは何もない。一方、悪いニュースは山ほどある。

 

3.「今後の超長期債の入札は、日本の未来を決する重大イベント」

今後の超長期債の入札は、日本の未来を決する重大イベントとなる。まずは今週水曜日に40年債の入札がある。 日銀は超長期債を20年債126.6兆円、30年債49.6兆円、40年債を10.4兆円と超長期債を計186,6兆円も保有している。

日銀は、これ以上超長期債など購入できないだろう。

ということは日銀への転売目的で、入札に参加している金融機関は入札に参加できなくなるということ。超長期債の入札には未達のリスクが今後、急増してくる。未達など起きたらそれらの債券を保有している金融基金には地獄である。

 

4,「日銀は株ETF を売りに出せない=市中にばらまいた31兆円の資金を物価上昇が加速しても回収できない」

日銀の株ETF の出口が大問題となっている。日本最大の株保有者が売りに出せばマーケットが大崩れするのは自明であるがゆえに、日銀は売りだせないのだ。

それは株ETF を購入するために市中にばらまいた37.1兆円のお金を回収できない(=日銀当座預金を回収できない)ことを意味する。

物価上昇が加速しても、供給したお金37.1兆円を回収し、お金の価値の回復を図ることが出来ない(=物価高騰を鎮静化できない)という大問題が残る

 

5.「日銀保有の超長期債にも株ETFと同様の出口問題が存在する」

日銀は現在 超長期債を186,6兆円も保有している。これらには株ETF 同様、出口がない、という大問題がある。途中売却が出来ない以上、最大40年間、保有し続けない(40年債の場合ということだ。日銀の30年債、40年債の購入など、長期金利の上昇を抑えたい目先の弥縫策でしか無くとんでもなく大きなツケとなる。

超長期債保有残高を増やすことは、株ETF同様、 どんなに物価が上昇しても、供給したお金223.7兆円(株ETF購入資金37.1兆円+超長期債購入資金186,6兆円)を回収し、お金の価値の回復を図ることが出来ない(=物価高騰を鎮静化できない)ということだ。

この分だけでも政策金利1%につき、毎年2,2兆円お支払い金利が必要となる。

ちなみに異次元緩和前1998年12月末の日銀当座預金残高は4,4兆円。

 

6.「何故、日銀は超長期債を売却できないか?」

2,020年頃の0.6~0.7%ほどで購入した40年債の利回りは現在3,358%。

値段で言えば、購入価格の30%か50%程度までに値段は下落している。

物価上昇に対して資金回収を図るために、この頃かった40年債を日銀が売却すれば巨大な実現損が生じる。

しかも一部でも売れば「すべての満期保有の国債を時価評価しなければならない」が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準であるから日銀もそれに従わなければならない

(日銀の会計規定第3条「当銀行の会計処理は、中央銀行としての財務の健全性を

踏まえつつ、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を尊重して行うものと

する」

植田総裁も私の質問に対し、日銀が保有国債に「償却原価法」を使ってよい理由を「今まで補油国債を売ったことがないから」と述べている。すなわち一部でも売ったら、すべての保有国債を時価評価し、その損失を損益計算表に出さねばならなくなる。びっくり仰天決算となる。

強引にこの規則を変えれば、世界的に「日銀危なし」のニュースが流れる大トリプル安の引き金を引くことになろう。

ゆえに日銀は超長期債を売却できない。いくら物価が上昇しても株ETF同様、だぶついたお金を回収できないのだ。物価は人工衛星打ち上げのように上昇していくだろう。

 

7.「国債リパ中止によって、10年債の危険な幻需要は無くなる」

7月2日の日経新聞記事。購入した国債の時価評価を逃れるためのチーティンが中止されるというニュース。

このチーティングが許されていたせいで地方銀行は過剰に国債を保有してしまった。国債価格が下落(長期金利が上昇)している現在、評価損がうなぎのぼりだろう。Xデイが来たら、この仕組みを多用していた地方銀行は大打撃を受けることになる。

私も参議院議員としての任期切れ直前にこのトピックについて金融庁に質問した。チーティングをただした金融庁は極めてまっとうな指摘/指導をしたと褒めた。

専門家ではないとなかなか理解しにくい話題かもしれないが、これは今までの10年債に幻の需要が生じていたということで、今後、この分の需要が減る。

長期金利上昇の大きな要因になることも確か。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB014DM0R00C25A7000000/

 

 

8.「暑さに耐えかねて那須・茶臼岳へ」

天皇ご一家が18日から那須御用邸でご静養だそうだ。 愛子さまにとっては「7月の那須は4歳のとき以来」だそうだ。

天皇家大好き人間の私にとって、モンゴルご訪問でお疲れでしょうから、是非、ゆっくりと静養していただきたいと切に思う。

全く関係はないが、我々も先々週は暑さに耐えかねて那須・茶臼岳へ、雷注意報が出ていて、幾分怖かったが、ケーブル終点駅の周りを軽くトレッキング。

那須1 那須2

9.「実務家のトップだから良いんじゃないですか?」

国際都市研究学院の講師リストで、私の肩書が格落ちだとの自虐に対して以下のような元気の出るリツイートをいただいた。ありがとうございます。

「実務家のトップだから良いんじゃないですか?俺ならノーベル経済学賞のポールローマーとかピケティより、ソロスとかダリオの講義を聴きたいですね」。

銀行マンだったバジョットの本が古典になるジャンルなので」