老後2000m万円問題 (本日第2弾)

2019年06月21日

老後2000万円問題の本質は年金制度自体に根本的な問題があること。私的年金で自分で積み立てた元本を老後に分割受取りだけでは年金の体をなさない。保険会社がうまく運用してくれなければならない。公的年金も同じ。十分な利益を生む運用を前提として制度が組まれているのに、ほぼ半分を金利ゼロの国債運用では制度が持続しない。(日銀が異次元緩和で長期国債を引き下げ年金の状態をさらに悪くしている)

この辺を火曜日の参議院財政金融委員会で聞いた。翌日の日経新聞では「報告書を不受理とした麻生太郎金融相の対応など手続き論に質疑が集中し、老後の生活を支えるために何が必要なのかの議論は進まなかった」とあったが私はしたつもりだ。以下のYouTubeでお聞きください。

https://youtu.be/dFYmVWvUVGg

 

議事録は以下の通りです。長いですが、ご興味のある方はご参照ください。

財政金融委員会・令和元年六月十八日

日本維新の会の藤巻健史です。日本維新の会・希望の党を、会派を代表して質問させていただきたいと思います。

まず、三井局長にお聞きしたいんですが、なぜ謝罪されたんですか。私、試算内容とか言い回し、確かに乱暴だというような指摘があるのは存じ上げていますけれども、謝罪をした理由が、やっぱり、さっきの麻生大臣の話だとやっぱり国民に不安を与えたという話だったみたいですけれども、不安を与える資料というのを政府は出しちゃいけないんですか。やっぱり不安があろうとも事実を出して、やはりこれ年金の運用が余りうまくいっていないというのがきっと事実だと思うんですよね。

ですから、その事実を出して、それをどうやって年金を改革していくかというふうな建設的な努力に向けるのが政府の役割であって、不安なものは全て出さないというのはおかしいんじゃないですかね。だからこそ、かえって逆に謝るというのは、不安なものを出したから、国民が不安になるようなものを出したから謝るというのは、それは筋が通っていないんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(三井秀範君) お答え申し上げます。

この報告書では、個々の記述や数字にとどまらず、その前提の記述部分で、あたかも生活費として月五万円、三十年で二千万円足らないかのようなことと取られかねない記述となっておりまして、それがその全体の施策の出発点のような記述になっているところでございます。

その後では、高齢者の生活はまちまちであるとか足りている人もいるかもしれないとか様々なことが書いてあったとしても、現状、報道等でこれが、月々五万円足りない、あるいは三十年で二千万円足りないからかくかくしかじかであるというふうな取られ方がする書き方をしてしまっているというのは、この審議会をサポートしている事務方として、その原案を準備するこの事務方の対応が大変配慮を欠いたものであるというふうに率直に思った次第でございまして、その点についておわびを申し上げた次第でございます。

先生おっしゃるとおり、この記述の雑なところを真摯に反省しまして、こうしたことがきちんと国民の皆様に誤解や不安の生じない形で丁寧な議論が行っていただけるような、こういう事務局の在り方というものに向けてしっかり対応してまいりたいというふうに存じます。

○藤巻健史君 記述がもっと正確であったとしても、この内容であれば国民はやっぱり年金にすごい不安を持ったと思うんですよ。

まず、次に厚生政務官にお聞きします。

これ、質問する前に言っておきますけれども、これ予算委員会開かれないで、この場で年金問題について話そうというときに、副大臣、私は請求しましたよ、要求しましたよ、出てこられないで、政務官に任せるというのは余りにも失礼じゃないですか、この委員会に対してと私は思いますし、これは重要な問題だと思うんですけれども、それでも、私が政務官出せ出せという、出てきてくださいというふうに何度も要求したにもかかわらず、政務官しか出てこなかったというのは極めて私は遺憾に思います。

それで、政務官にお聞きいたしますけれども、有識者が九十五歳までに二千万円必要だというその報告書ですけれども、国民はもっときっと年金に期待していたと思うし、つい最近まではもうちょっと年金で大分生活をカバーできるんじゃないかなと思っていたと思うんですが、なぜこんなに年金が国民が不安になるような年金になってしまったのか、その辺の理由をお聞きしたいと思います。

○大臣政務官(上野宏史君) 公的年金制度でありますけれども、老後生活の基本を支える機能を果たしており、今後ともこの国民生活の安心につながる重要な機能を果たし続けられるようにすることが重要であるというふうに考えております。

少子高齢化が進展をする中、この機能を維持していくために、まさに平成十六年の制度改正によって、将来世代の負担を過重にすることを避けるため、将来の保険料水準を固定をして、その範囲内で給付水準を調整をするマクロ経済スライドを導入をして、おおむね百年間の負担と給付を均衡させる仕組みに改革をして、制度を持続可能なものといたしました。

このマクロ経済スライドでありますけれども、将来の年金の給付水準は調整をされていきますけれども、モデル年金の所得代替率で五〇%を確保するということとされており、このような措置は、まさに公的年金が老後生活の基本を支える機能を有するということに鑑みて設けられたものであります。

今般の報告書の内容は老後の生活の基本を支えるという公的年金の意義や役割を変えるというものでは全くなく、今後とも信頼できる年金制度の確立に努めていきたいと思います。

○藤巻健史君 今聞いておりますと、マクロ経済スライドがうまくワークしていないというふうな回答に聞こえたんですね。

午前中聞いていますと、審議官のお話、審議官だったかな、お話聞いていますと、何か少子化のせいだというような回答だったと思うんですが、年金がここまでちょっと国民が不安を持つような状況になったというのはそのせいなんですか。私は、やはり政府、その運用が間違えていたんじゃないかと思うんですけどね。

お聞きしたいんですけれども、平成三十年度、これ予算ベースなんですけれども、年金支給額が五十五兆円、支給が五十五兆円、それから現役世代が支払っていただく保険料が三十八・五兆円、そして国庫負担が十二・七兆円なんですよ。そうすると、三・九兆円足りないんですけれども、その三・九兆円というのはどこから持ってきたんでしょうか。

○大臣政務官(上野宏史君) 今委員御指摘をいただいた公的年金制度全体の予算額でありますけれども、これは共済年金を含んでいるものであります。

まさに平成三十年度ベースで、年金支給額が五十五・一兆円、保険料収入が三十八・五兆円、国庫負担額が十二・七兆円となっております。その収支差約三・九兆円でありますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人の納付金などにより賄うということとしております。

○藤巻健史君 そうなんですよね。

やっぱり積立金というのが非常に重要なわけで、これ、積立金が枯渇してしまったらば年金制度なんてもう崩壊ですよ。いかに積立金を増やしていくかということが重要なわけで、この数年間ずっと積み崩しを続けてきているわけですよね。ですから、これちゃんと積み立てていかなければ、これ一番重要な問題だと思うんですけどね。

お聞きいたしますけれども、これ、学問上、運用利回りが名目成長率よりも高くないと年金積立て積み上がりませんよね。特に、名目成長率より高いということは、これ、名目成長率というのはきっと労賃と連動していますから、賃金が上昇していますから、それよりも運用利回りを高くしないと積立金は減っていってしまうと、年金は持続ではないと、こういう理解していますけど、それは正しいですか。

○大臣政務官(上野宏史君) 年金財政における給付と負担は賃金に連動することから、運用利回りについては、名目運用利回りから賃金上昇率を差し引いた実質的な運用利回り、いわゆるスプレッドと説明している部分、これが、積立金の運用が年金財政に貢献する部分となります。

一方、専門委員会における検討結果、社会保障審議会の年金部会の下に設置をした専門委員会における検討結果としては、長期的には賃金上昇率は労働者一人当たり経済成長率により決定されるというふうにされておりまして、運用利回りと労働者一人当たり経済成長率の差が年金財政においては重要な要素となるというふうに考えております。

なお、年金財政は、運用利回り、物価、賃金といった経済要素に加えて、人口、平均寿命や労働者数等の様々な要因から影響を受けるということでありまして、運用利回りだけで年金制度の持続性を論ずることはできないというふうに考えております。

○藤巻健史君 運用を論ずることはできないんですが、スプレッドが大きければ、大きくなければ決して存在はできないと思うんですよね。スプレッドがゼロであればまず運用不可能ですよ、そんなものは、年金なんというのは。

簡単に言えば、要するに、運用利回りの方が名目成長率より高くなければ年金というのは持続性がないということに尽きると思うんですね。もう一回言いますよ。運用利回りの方が名目成長率よりも高くなるということが年金にとって重要であるということだと思います。

次の質問、これちょっと頭の中に入れながらちょっと聞いていただきたいんですけれども、それはちょっと横においておいて、政府参考人にちょっとお聞きしますけれども、日本、アメリカ、イギリス、韓国、シンガポールですけれども、あと中国、このGDP、名目生産、名目GDPですね、これが一九八八年と今を比べると、今、何倍になったのか、各々の国についてお教えください。

○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。

各国の二〇一八年の名目GDPの自国通貨建て金額を一九八八年と比較いたしますと、日本は一・四倍、米国は三・九倍、英国は三・八倍、韓国は十三・一倍、シンガポールは九・二倍、中国は五十七・七倍となっております。

○藤巻健史君 もう日本は断トツの経済成長びりですよね。

ということは、一番考えられるのは、まずは株は上がっていないだろうなと。これは普通ですよ、経済が大きくなっていない、株価上がるわけないですけれども。

じゃ、日本とアメリカの株価、三十年前、ニューヨーク・ダウと日経平均、各々何倍になったのか、教えていただけますか。

○政府参考人(佐々木清隆君) お答え申し上げます。

一九八八年末と直近の株価を比較いたしますと、ニューヨーク・ダウ平均は約十二倍、日経平均株価は約〇・七倍となっております。

○藤巻健史君 これ、もし年金で株価に全部運用していたとすると、もしそれを、アメリカ並みに日本の株が上がっていれば、経済が成長して、そして株がアメリカ並みに上がっていれば何も心配要りませんよ、全部運用していれば。そんな、幾ら、幾ら少子化になろうと何だろうと、万々歳です、年金、もう手厚い何倍かの年金もらえるぐらいなんじゃないんでしょうかね。

ですから、要は、それから、まあ景気が悪いということは長期金利低いですから、やはり景気が悪い、経済が悪いがゆえに年金の持続性がない、これが一番のポイントではないかなと思うんですが、麻生大臣はどうでしょう。

○国務大臣(麻生太郎君) これは御存じのように、これは公的年金制度のお話ですけれども、これは、今、御存じのように、その後の、一九八八年でしたけど、一九八九年は三万八千九百十五円付けていますからね、あのときは。さらに、額はもっと、それに比べればもっと低いということになるんだと思いますが、少なくともこの公的年金制度というものについては、これは我々としては、現役世代というものが負担になるということにならないようにするために制度を大幅に切り替えて、あのときまでは給付額を決めて必要な負担水準を決定しているという制度から、少なくとも今のやり方は、負担をまず固定して、そしてその範囲に収まるように給付水準を決定するというふうに平成十六年度に改定をさせていただいたのは御存じのとおりですが、そういった形で保険料に上限を求めた、決めた上で、マクロ経済スライドという制度を導入して給付と負担をバランスさせるというような形を図っております。これによって制度の持続可能性をしっかり確保したんだと、私どもはそう思っております。

その上で、公的年金制度というものは、これは将来にわたって、モデル世帯で、サラリーマン世帯で現役世代の平均手取り収入の五〇%以上を確保するんだということにしておりまして、五年ごとの財政検証においてもこれを確認させていただいております。さらに、アベノミクスの取組によりまして経済再生を図って、もはやデフレではないという状況をつくり出した結果、今年度はマクロ経済スライドに調整を行わさせた上でも〇・一%の増額決定ということになっております。年金積立金には、今御指摘になりましたが、この六年間で四十四兆円の運用益が出ておりますのも御存じのとおりで、公的年金の安定に寄与しているものだと私どもは考えております。

このように、年金制度につきましては、持続可能性があり、また老後生活の基本を支えます機能を果たしていると考えておりますが、そうした機能を果たし続けられるようにしていく、継続させるというためにも、経済運営というものにつきましては、委員もおっしゃるように、万全を期していかねばならぬ大事なところだと思っております。

○藤巻健史君 いろいろおっしゃいましたけど、やはり年金がうまくいくためには経済が良くなくては、これは、経済悪かったらみんな将来が不安になるんですよ、当たり前の話で。やはり経済を良くしていただくことが年金の安定に一番いいこと、必要なことだというふうに思うんです。

マクロ経済スライドも、これはテクニカル的な問題で、もっと私は年金の運営で考えるべきことはあると思うんですけど、これちょっと後で言いますけれども、申し上げますけれども。

ちょっと離れますけど、二〇一〇年、トロント・サミットでPBの黒字化を国際公約に政府はいたしました。ほかの国はもっとほかの五歩ぐらい進んだ目標を掲げたわけですけれども、五歩後れのPB黒字化、プライマリーバランスの黒字化という目標を掲げたんですが、プライマリーバランスの黒字化が達成すると財政というのは再建されるんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、日本の財政というのは、プライマリーバランス、いわゆるPBと言われるものの赤字がずっと続いておるんですが、債務残高の増加に歯止めが掛かっていないという状況にありますので、財政再建の第一歩としては、まずこの赤字を削減するということがこれは不可欠な条件だと思っております。

その上で、GDPの約二倍程度にまで膨れ上がっておりますこの公的債務残高というものを確実に減らしていくというためには、これはPBを、プライマリーバランスを単年度で黒字化するだけではこれは不十分であって、黒字化後も安定的に収支改善を図って、その上で利払い費を含む、利払い費を含む財政収支というものを黒字化するというのが我々この財政再建を図っていく上で不可欠な要素のものだと思っております。

○藤巻健史君 いろいろおっしゃいましたけど、プライマリーバランスの黒字化というのはおっしゃるとおり第一歩なんですよ。その後に、これはドーマーの法則といって、長期金利よりも名目成長率の方が高ければ、長期金利よりも名目成長率の方が高ければ、プライマリーバランスが黒字化した後、財政は、赤字は縮小していくという話なんですね。

要は、どういうことかというと、名目成長率というのは税収です。それから、名目金利というのは支払利息の方です。支払利息の方が大きければ、税収増よりも大きければ、たとえPBが黒字化しても赤字は拡散していっちゃうわけですよ。いいですか。ということはどういうことかというと、財政黒字化をするには、PB黒字達成の後、長期金利よりも名目成長率が高いというのが財政の持続可能性の必須条件なんです。

先ほども申し上げた、じゃ、年金の持続性の必須条件、運用利回りの方が名目成長率よりも高い、これが年金の持続性の必須条件なんです。矢印の方向が違うんですよ。特に昔、二〇一〇年代というのは、二〇一〇年とかその辺はほとんど七割か八割ぐらいが国債で運用していたんですから、長期金利というのは年金で言えば運用利回りですよ、運用利回りの方が名目成長率よりも高くなければ年金は持続可能ではない。そうすると、財政の方は幾らたっても財政再建できないということになっちゃうんです。だって、必須の矢印が逆なんですから。どうなんでしょう、大臣。

ああ、いいです。ちょっと先にほかの質問しますから、いいです。という、今、じゃ、矛盾点だけを指摘いたしました。要するに、財政の持続性とそれから年金の持続性とは矢印が逆だぞと、どっちかが持続すればどっちかが駄目になっちゃうよという話をしたんですが、それでちょっと先に、大臣よりも、ごめんなさい、厚生政務官に聞きたいと思います。厚労政務官に聞きたいと思うんですけど。

資料にお渡しした年金の積立運用額の構成比が出ていますけれども、二〇一三年の方ですね、平成二十五年、これ、当時は国内債券が五五%で外国債券が一一%で運用しているというふうに書いてありますけれども、この外国債券、これ、為替ヘッジをしてたんですか、してないんですか。

○大臣政務官(上野宏史君) 今委員から御質問いただいた件については、GPIFの投資行動に関することであり、市場への影響も考慮してお答えは差し控えたいというふうに思います。

その上で、平成二十九年度においては、GPIFの平成二十九年度業務概況書に記載をしているとおり、運用受託機関を評価するために個々の運用受託機関に示しているベンチマークにおいては為替ヘッジなしのベンチマークを採用しているところであります。

○藤巻健史君 ベンチマークはそうかもしれませんけれども、きっと、特に二〇一三年辺り、もう、お役人の仕事でしたから、まずリスク取りたくないんですよ。きっと、外国債券も為替ヘッジ付きなんですね。為替ヘッジが付くということは、理論上は円の利回りと同じになるわけですよ。もしそれが正しいのならば、六六%が要するに長期国債、日本国債で運用していたようなものだと私は思います。

で、そうなると、二〇一四年までは日本国債に集中投資した、現在でも、現在でも約半分が、半分が、四五%ですか、四五%が債券投資、これがもし外国債券がこれ為替ヘッジをしていたらば、ほとんど円の利回りでしか運用できていないわけですよ。それで、つい最近、二〇一〇年辺りからもう長期金利は急落していまして、明らかに長期国債、長期国債、国債で運用している、債券で運用しているのであるならば、名目成長率というものはがたっ減りなんです、全く低いんですよ。それだったらば、積立金がどんどんどんどん減ってしまうのは当たり前だと思うんですがね。要するに、そんなのは当たり前の話であって、どうしてそういうこんな超低金利の国債に、債券に運用していたんですか。

これ、普通に考えりゃ、民間の人間だったらば、当たり前にこんなことをしていたらば、もう収益上がらなくなって立ち行き行かなくなるぞと。民間だったら、そんなことをしていたら運用者は首になっちゃうぞと思って、やっぱりポートフォリオを変えますよ。それをそのまましないで、こんなに、もう全然、名目成長率よりも低い債券投資を半分もやっていたということは民間出身からすると考えられないような資産運用なんですけれども、いかがでしょうかね。厚生省、お願いいたします。

○大臣政務官(上野宏史君) 委員から、二〇一四年までの投資についての御質問をいただきました。

年金積立金の管理、運用は、厚生年金保険法等で、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことというふうにされており、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することが必要であるというふうに考えております。こうした考え方の下、運用に特化をした専門の法人であるGPIFにおいて、専門的な知見に基づき基本ポートフォリオを定め、運用を行っております。

基本ポートフォリオにおける各資産の構成割合については、長期的な経済、運用環境の変化に即し適切な分散投資を行う観点から、全体としてのリスクを抑えつつ、年金財政上最も適切な組合せが算出されるものと理解をしております。

御指摘いただいた二〇一四年以前の基本ポートフォリオについてでありますけれども、こうした観点の下、当時の経済、運用環境等を踏まえてGPIFにおいて適切に策定された結果であると理解をしています。

○藤巻健史君 被保険者の利益のために安全な運用をしていたと。被保険者の損失のために、官僚の安全のための運用をしていたとしか思えないんですけどね。

要するに、官僚の皆さんは損をしちゃいけないから、たとえこんな超低金利の、二〇一四年はまだかもしれませんが、特にそれ以降、二〇一四年以降、極めて低い利回りの債券投資を続けている。これは、いつまでたっても損はしないから、それは官僚の方々は責任取らなくて済みますよ。でも、そんなの、積立金がどんどんどんどん減っていって、将来年金が破綻して、損をかぶるのは国民なんですから。

どうして、こんなに超低金利が見え見えで、しかも日銀が今後超低金利を続けると言っているのにもかかわらず、五割も債券投資を続けているんですか。そこがおかしい、年金の運用でおかしい。そんなことをしていたら年金潰れるというのは、普通、自明なんじゃないですか。そこを考えるのが当たり前だと思うんですが、いかがですか。

○大臣政務官(上野宏史君) 先ほどお答えをしたとおりでありますけれども、基本ポートフォリオにおける各資産の構成割合というのは、長期的な経済、運用環境の変化に即して、また適切な分散投資を行う観点から、全体としてのリスクを抑えつつ、年金財政上最も適切な組合せが算出をされるものと理解をしております。

その上で、二〇一四年にポートフォリオの変更がありました。デフレから脱却をして、長期的に見て物価が上昇していく想定の下で、国内債券に偏っていた従来の基本ポートフォリオから、株式等への分散投資を進めたものであります。長期的に見れば、この変更によって、変更前の基本ポートフォリオを維持をした場合と比べて年金財政上必要な積立金額を下回るリスクが少なくなることから、この見直しも含めて適切なものであったと考えております。

○藤巻健史君 もう全く分からなかったんですけど、まあそれはいいですけどね。

次、ちょっと時間がないので日銀総裁にお聞きしたいんですけど、去年の暮れで、ポートフォリオを見ていますと、国内債券二八%、二八・二%、外国債券一七%。これもし先ほども申し上げましたように為替をヘッジをしているならば、約四五%が国内債券の利回りと同じ、ほぼゼロ%に近いわけですよ。

これ、日銀の異次元の量的緩和、長期国債の爆買い、当然のことながら値段は上がる、金利は下がっていますけれども、この異次元の量的緩和のせいで、年金の積立金はあるべき姿よりもよっぽど低くなっちゃったんじゃないですか。大体、これだけの、半分近くの債券投資をしているときに、日銀は異次元の量的緩和によって長期金利引き下げているんですよ、どんどんどんどん。年金、国民の資産をどんどん減らしているんじゃないですか、日銀は。いかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、我が国の公的年金制度は賦課方式を基本としておりまして、将来の年金の給付水準というものは、確かに将来の日本経済の規模におおむね連動しているというふうに認識をいたしております。この先も給付水準を維持するためには、やはり政府と民間が連携して少子高齢化に伴う課題に対処して、我が国経済を持続的な成長軌道に乗せていくための取組を続けるということが一番大事であると思っております。

日本銀行といたしましても、賃金、物価が共に緩やかに高まる好循環をつくり出し、経済の持続的な成長を実現するよう、金融政策を運営していくことが重要だと考えております。

その上で、金融緩和と年金運用の関係について申し上げますと、長期や超長期金利が過度に低下した場合、積立金の運用利回りに影響を及ぼし得る点には注意が必要であります。

ただし、年金は、御案内のとおり、国内の株式など国債以外の金融資産も運用対象としておりまして、経済が全体として改善すれば年金収支の改善にもつながる面がございます。日本銀行の強力な金融緩和の下で、企業収益が過去最高水準で推移するなど実体経済は大きく改善しておりまして、こうした点も併せて評価する必要があるというふうに考えております。

○藤巻健史君 長い目で見ればそういう話もあるかとは思いますけれども、異次元の量的緩和を続けていくことによって、注意しなくてはいけないという、総裁がそうおっしゃるものがどんどん増えてきているわけですよ。

まず、超低金利ですから、ゾンビ企業が生き延びて構造改革が進まない、全く、日本で。そして二番目に、地銀が危なくなってきている。それは、日本の地銀の一番の主力投資先というのは国債、それがほぼゼロ%、もうかるわけない。そして、長期国債の爆買いをしたおかげで、長期国債の値段が上がる、金利が下がる。すなわち、長期金利が余りにも下がって長期と短期の金利差がなくなってしまった。銀行のもうけの柱というのは長期と短期の金利差なんですから、それがほぼなくなったらば地銀がもうかるわけないんですよ。そういう問題がある。そして、今度は年金。

もう異次元の量的緩和を続けることによって、どんどんどんどん副作用ができてきているわけですよね。これについてはどうお考えですか。

○参考人(黒田東彦君) 年金財政の点につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。

強力な金融緩和による弊害、いわゆる副作用につきましては、市場機能の低下あるいは金融仲介機能の低下ということが指摘されることが多いわけであります。もっとも、昨年の七月以降、市場調節あるいは資産の買入れをより弾力的に運営していることもありまして、国債市場や株式市場の機能度は引き続き維持されているというふうに考えております。

また、金融仲介機能という点でも、我が国の金融機関は充実した資本基盤を備えていることなどから、現時点では低金利環境の継続により金融仲介が停滞方向に向かうといったリスクは大きくないというふうに判断をいたしております。この五、六年間、御承知のとおり、金融機関の貸出しは伸びておりまして、この状況に現在のところでは変化はございません。

日本銀行といたしましては、物価安定の目標の実現になお時間が掛かるというふうに見込まれる中、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要と考えておりまして、今後とも金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、その点検の内容としては、先ほど申し上げたような幾つかの副作用の点についても十分点検をし、経済、物価、金融情勢を踏まえて適切な政策運営に努めてまいる所存でございます。

○藤巻健史君 副作用がどんどんどんどん増えてきているということは間違いないことだと思います。

ちょっと時間がなくなってきたので、次の質問、自分で答えちゃいますけれども、中央銀行の中で金融政策で株を買っている中央銀行というのは日銀以外ないんですよね。普通、株みたいな危ないものを持っちゃいけないんですよ、ボラティリティーがあってね。ほかの中央銀行は金融政策では全く持っていない株、それを日銀は買い集めて、ETFで買い集めて、まあ来年末には日本最大の株主になろうとしている。それから、国債市場においてはもう抜群のモンスターで、小さな海の中の鯨ですよ、日銀。

これこそまさに計画経済そのものであって、計画経済がうまくいくと思っていらっしゃるんですかね。私は、やっぱり財政危機があったから、それは財政破綻をしないために異次元の量的緩和で財政ファイナンスやって、何とか何とか危機を先送りしてきたけれども、ついにいろんな副作用が出てきて、計画経済ってやっぱり駄目だなと私は思っているんですけど、そういう感覚というのはありませんか、総裁。

○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘の計画経済の内容は必ずしもつまびらかにいたしませんが、国家が経済活動を統制する経済と、通常計画経済というのはそういうふうに言われているわけですが、そういった意味であれば、日本経済がそういう状況になっていないというふうに考えておりまして、委員の御指摘は当たっていないと思っております。

確かに、日本銀行は国債市場全体の四割程度の国債を保有しておりますが、同時に、金融緩和が市場機能に与える影響を緩和するための措置も講じております。また、その下で、現在、国債市場の機能度は全体として維持されているというふうに認識をいたしております。また、ETF買入れを通じた日本銀行の株式保有割合も株式市場全体の四・八%程度にとどまっておりまして、市場の機能度に大きな影響を与えているとは考えておりません。

○藤巻健史君 時間がないので、次の、いつも聞いている、要求していることなんですが、日銀の出口に入ったときに日銀は赤字にならないのか、債務超過にならないのかのシミュレーションを是非提出していただきたいんですけどね。

アメリカの中央銀行、FRBは、たしか二〇一三年四月、約、二〇一五年の暮れに利上げをしましたから、二年半前にシミュレーション結果を出しているわけですよ、二〇一五年以内に利上げをすればFRBは赤字になることはありませんよ。それを日銀は、もう二年半前にFRB出したのを、全く出そうとしないわけですよ。

私、想像するに、これまた数字を出すと、国民が不安になってパニクるからなんですよ。年金二千万円問題と同じ、国民が不安になることは出さない、そういう態度でいいんでしょうか。やっぱり、私は、ショックはショックなんだ、しようがないんですけれども、やっぱり実態を示して、国民にどうやったら何とかそのショックを和らげる手段があるのか、そういうことをみんなで英知を出し合うという方が正しいんじゃないですか。何にももう国民は知る必要がない、大丈夫だ、何とかすると、最後の最後に、インパール作戦みたいに最後行き着くところまで行っちゃってぼんじゃ、国民、かわいそうですよ、余りにも。大本営発表じゃないんですから、やっぱりきちんと情報は出すべきだと思うんですが、それでもシミュレーション結果を出す気はありませんでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) いわゆる出口の際に日本銀行の収益はどうなるかにつきましては、将来における経済物価情勢あるいは金融環境に加えて、その下で日本銀行がどのような手段をどのような順序で用いるかなどによっても大きく変わり得るわけであります。

物価安定の目標の実現になお時間が掛かることを踏まえますと、現時点で収益に関する具体的なシミュレーションの数字を示すことは、市場との対話という観点からもかえって混乱を招くおそれがあるというふうに考えております。

もっとも、日本銀行としては、金融政策運営の考え方について人々の幅広い理解を得ていくことは極めて重要であると考えておりまして、今後とも、その時々の状況に応じてしっかりと説明してまいりたいと思います。

○藤巻健史君 分かりました。

要は、年金二〇〇〇年問題と同じように、国民に不安になるような資料は決して外に出さないと、こういう理解を私はいたしました。

ありがとうございました。