仮想通貨価格動向 老後資金2000万円問題

2019年06月22日

 

    松本 藤巻健史

1.仮想通貨価格動向

仮想通貨価格の上昇が止まらない。先日の「仮想通貨税制を変える会」で講師の松本大氏(マネックス・グループ会長)がファミリーオフィス等の投資家が参入し始めたとのでは?と彼なりの分析を披露。たしかに最近、米国では株高と債権高が共存している。これは通常では起こらない。景気が今後よくなると思うと株価が上昇、長期金利上昇(=国債価格低下)と逆向きの動きが普通だからだ。この動きに戸惑う投資家が株や債券の値動きと関連性のない仮想通貨投資に一部資金を振り分けも資産分散を図るという彼の分析もうなずける。また上昇期には、今の「儲かれば最高55%の雑所得」という税制である限り(日本からは)売りはあまり出てこないだろう。昨年のように価格が下落トレンドに入った時は損の拡大を避けたいとの売りが入ってくるが、何かの理由で上昇トレンドに入ったら、税率の高さに嫌気がさして売りが入っては来ないからだ。売り手が減れば価格は上昇する。

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2.老後資金2000万円問題

年金持続性の肝は、運用利回りの高さである。今、2000万円老後資金問題で年金危機が浮き彫りになってきたのはこの運用利回りの低さが主たる原因だ。運用利回り低迷の主たる原因は130年間でダントツのビリ成長の日本の経済(成長しなければ株価も上がらず長期金利も低迷)②半分近くをゼロ金利の債券に投資している投資配分の稚拙さ③異次元緩和でより一層、長期金利を押し下げている異次元緩和だ。

私的年金の例を考えよう。若い時に10万円づつ10年間、計100万円保険料をはらう。それを65歳から5万円ずつ20年間、保険としてもらうのなら私的年金に入る意味はない。保険会社がうまく運用して積立金を増やし20万円づつ10年間受け取れというから保険に入る。100万円の支払いに対し計200万円の保険金受取りだからだ。公的年金も同じ。一定の運用利回りが確保できるという前提で制度設計(=財政検証)がなされている。少子化も制度設計の段階で考慮に入っている。しかし制度設計の時に設定したデータと食い違いが出れば制度が危なくなる。食い違ってきたデータは運用利回りだ。5年ごとに行われる財政検証は、5年前は6月に公表されたのに今回はまだ出ていない。参議院選への悪影響を避けたと言われている。よほどに悪いのだろう。前回発表された運用利回りの8ケースのうち最低の運用利回りに達していなかったのだろうと想像される。年金危機は、政府の言うような「対処の難しい少子化のせい」ではない。運用利回りの低下のせいだ。学問的には、年金の持続性には「運用利回り>名目成長率」が不可欠。これは政府の責任!

 

3くたびれている黒田日銀総裁?元気のない黒田総裁?

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火曜日の財政金融委員会で「異次元緩和(=長期金利低下)の年金への悪影響を指摘し、国民が不安になるからと言って、出口の際の日銀の損益シムレーションを出さないのは「老後資金2000万円問題い」の政府の隠蔽体質と同じと攻めたときの黒田総裁。私への答弁の前に一所懸命準備しているのか、原稿に目を通している黒田総裁。答弁時にも原稿から目を離さなかった黒田総裁。お疲れですか?

(麻生大臣の答弁中も右端で私への答弁原稿の下読み)

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