為替動向 バフェット氏の思惑他

2020年09月01日

1.為替動向

先週末、テニス仲間が「最近、日経新聞の円高キャンペーンがすさまじいね」と言っていたが、今日は、やっとトーンが変わった。記者が今までとは異なるようだ。私にはこの記者の分析のほうが正しいように思う。それにしても今後の為替は平時モードで考えてはいけない。インフレ・デフレはモノの需給で決まるが、ハイパーインフレ(=円の信用失墜)は通貨の信用が無くなれば一晩で発生する。通貨の信用は、ひとえに中央銀行の信用いかんだ。世界が日銀は債務超過とみなしたら、円大暴落でアウト。その可能性はかなり高まっていると思う。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63244010R30C20A8EN2000/

 2.バフェット氏の思惑

世界中でお金をばらまいているので、すべての法定通貨の価値が下がる。すなわちインフレが来るということ。現在のバフェット氏の投資行動はすべてそれに沿っていると思う。その観点から世界の資源に投資をしている商社に目を向けたのだと私は思う。「出遅れている日本株に目を向けた」とは到底思わない。日本のマスコミは世界が「日本“化”している」と書くが、世界は「日本病」(Japan decease)と言っている。病気にかかっている国に投資などしない。サッチャー改革のような治療薬が見つかったのなら話は別だが。なお、法定通貨が全部弱くなるといっても物々交換にならない限りは一つの法定通貨は残る。それは世界最強の基軸通貨のドル。インフレが来れば、本来、中央銀行がコントロールできない長期金利は上昇する。他の中央銀行に比べて保有国債の平均利回りが断トツに低い日銀はその時、債務超過でアウト。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63264880R30C20A8EA2000/ 

3.財政頼み、低成長の壁厚く

「安倍政権の財政出動はあまり経済成長を底上げしてこなかった」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)、「アベノミクスは低収益企業の温存政策で、それが潜在成長率の低迷につながった」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)、雇用を守る危機対応は重要である半面、成長産業への人材の移動を妨げる副作用もある」等、この記事の分析や、引用は冷静でまさにそのとおりだ。私が、これにつけ加えると、すれば「その結果、アベノミクスは日銀を存亡の危機に追いやった」(注:中央銀行はインフラに必要なので新しい中央銀行が作られる。ただし現在の円紙幣は紙くず)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63234780R30C20A8EE8000/ 

4.政府コインの発行

日銀が窮地なら、政府コインを発行すればいいという人がいるが、世界中でなぜ中央銀行が政府から独立しているかを考えるべき。財政ファイナンスの禁止と同じ理由。又、政府コインを発行して誰が使うのか?日銀発行券が日銀の倉庫にある限りブツでしかないのと同じで、使わなければいくら作ったころで、ブツでしかない。政府コインではたばこやパンは買えるかもしれないが、どうやって不動産を買うのか?田舎のお母さんにどうやって送金するのか?トラックで運ぶ?どうやってドルを買うのか?ドル紙幣と物々交換?現在、外国為替、内国為替、国債購入、国債の売買等すべては日銀当座預金を経由しての決済だ。