「今年のノーベル経済学賞候補 清滝教授の財政感」.「金利上昇・ドル高の流れは続く」他

2020年10月12日

1.「今年のノーベル経済学賞候補 清滝教授の財政感」

昨日の日経オンラインによると、ノーベル経済学賞候補に今年も米プリンストン大学の清滝信宏教授の名が挙がっているそうだ。以下、2018/8/14の日経新聞に載った(確か1面だったと記憶している)清武教授とのインタビュー記事。

――日本の財政は持続可能ですか。

「かなり危ない。財政破綻に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を作り、国民の合意を取り付けるべきだ。プランは支出カット、税収増、インフレによる国債減価という3つの政策をどのような割合で発動するかがポイントになる」「財政破綻への対応で重要なのは、病気などで衰えた人にも最低限の生活を保障することだ。(略)。それ以上は資本主義国家なのだから、自分でがんばれというのが原則だ」

――そのような困難な状況は起こりますか。

「やがて外国人が大量に国債を買う時がくる。日本の貯蓄率がどんどん下がり、自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるからだ。外国人は低金利では国債を買わない。そこで金利の急上昇を引き金として財政危機がやってくる。低金利や高い貯蓄率がいつまでも続くとは考えない方がいい」

――未然に防ぐ手立てはありませんか。

「財政の持続可能性は政府の責任だ。金利が上昇したときに日銀に国債を買わせて上昇を抑えるなど無理なこと。財政の持続可能性について長期的なメドを立てるしかない。19年10月に予定される消費増税はやるべきだ」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34111020T10C18A8TCR000/

2.「金利上昇・ドル高の流れは続く」

日経新聞いわく「野村証券の後藤祐二朗氏は「米金利上昇・ドル高の流れは続く」とみる。バイデン氏は企業や富裕層への増税といった投資家心理を冷やしかねない政策も掲げるものの、大統領に就任した場合は当面、景気回復優先の政権運営になると予想する。バイデン氏がこのまま優位を保てば「1ドル=107円まで円安・ドル高が進む余地がある」(後藤氏)」基本的にはAGREE.。しかし、日銀の債務超過による円安進行時は一声10円ずつくらい、1日何百円ずつの円安進行になると私は思う。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64867540Q0A011C2EA4000/

3.「非正規待遇格差」

非正規待遇格差で13・15日に最高裁判決が出るそうだ。こういうことが裁判沙汰になるなど米国ではありえない。そもそも正規・非正規の差が米国には無い。正規だろうが、「明日から出てこなくていい」で全員、首が飛ぶ。米湖悪では、賃金が不満なら、裁判など起こさず他の高給企業に移るし、簡単に移れる。年功序列ではないから移っても不利にはならない。日本の正規雇用者は、終身雇用の見返りに、低賃金とブラックな環境に甘んじなくてはならない。米国の経営者は、辞められると怖いから、給料・ボー―ナスを上げ、ブラックな職場は作らない。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64867480Q0A011C2EA4000/

 4.「インフレ税」

一昨日、私のTwitterに「ハイパーとかじゃなくて、せめて悪性インフレくらいで済みませんかねえ」というリツイートが来た。私の回答は以下の通り。「インフレは経済学上、インフレタックスと称されるくらいで税金と同じです(債権者(国民)から債務者(国)への実質的な富の移行)。累積赤字が多少の増税で済むなら悪性インフレ。大増税が必要なくらいに溜まってしまったらハイパーインフレ。今、政府は思いっきり、ばらまいているので後者でしょう」

これに対して、さらに別な方から以下のリツイートが来た。「インフレ税は誤解に基づく用語です。例えばマンキューは「紙幣の増刷によって得られる政府の収入」としていますが、この定義だとインフレにも税にも関係ありません。貨幣増加率=物価上昇率という無理な前提が必要ですが、特に日本では貨幣が増えても物価はなかなか上昇しません。」私の返信は以下の通り。「インフレ税の意味が分かっていらっしゃらないと思います。タクシー初乗り100万円になれば1千万円の借金をしたタクシー運転手(債務者)はラーキー!10年間で汗水たらして貯めた預金者(債権者)は10回タクシーに乗ると預金が無くなりショック。債権者(国民)から債務者(国)への実質的な富の移行で税金と同じです。だからインフレのことをインフレ税というのです」

5.「日銀デジタル通貨が出来たなら?」

一昨日、私のTwitterに以下の質問が来た。「ご教示ください。日銀のデジタル通貨が出来たら、Xデーへの準備方法は、ドル買いから変わりますか?また、日常生活にもどんな変化がもたらされるでしょうか?」私の回答は以下の通り。「日銀デジタルも法定通貨には変わりありません。これだけジャブジャブにしていれば。法定通貨の価値は世界中で下がります。しかし物々交換にならない限り世界中で一つの法定通貨は残ります。それはドルでしょう。あと、相対的に発行数の限られている暗号資産は地位が上がると思います」

6.「財政破綻リスクからハイパーインフレリスクへ」

一昨日、私のTwitterに以下の質問が来た。「藤巻健史さんって2009年にハイパーインフレで日本破綻とか言ってませんでしたっけね?」わたしの反論は以下の通り。「言ってません。当時はこのままでは財政破綻すると言っていました。2013年に禁じ手中の禁じ手の異次元緩和をしたせいで財政破綻は避けられましたが(=危機の先送り)そのせいで、ハイパーインフレのリスクが極大化しているだけです。危機を先送りした結果、破裂の度合いはものすごいものとなりました」