「米長期金利上昇継続中」「ただでさえ低い日本の潜在成長率が下がる」他

2020年10月22日

 

1.「米長期金利上昇継続中」

昨日も0.82%へと米長期金利が上昇した。まだペースはゆるやかなものの3月9日に0.50%を付けてから32BPの上昇だ。1年前の10月22日は1.80% だから、今後は財政出動を織り込んで、かなり上昇していくと思う。世界的に長期金利が上昇していくと、日銀は債務超過のリスクがどんどん大きくなっていくだろう。日銀幹部は円紙屑化の恐怖に、おびえているのではないか?市場

 

2.「お金の量と長期金利の関係」

もう40年前、ビジネススクールで習ったことを思い出す。マネーストックの発表の直前、発表の部屋からほんの数秒前にブラインドの羽を上向きにしたり下向きにしたりした職員がFBIに逮捕されたそうだ。当時はマネーサプライの数字が国債の利回りを決めるすべてだったからだ。増えれば長期金利上昇、減れば下落で、エコノミストの仕事は、マネーサプライ予想がすべてだった。他の指標には市場が反応しなかった。したがって、数秒早くその情報を得た人は必ず儲かったのでFRB 職員が、外部の仲間にブラインドの羽で増減を教えていたのだ。さらに最初の頃は、マネーストックの数字が増えるとお金の需給で一時金利下落、しかしその後のマネーストック増によるインフレ懸念で長期金利は反騰する。そのようなマーケットが半年ほど続いた後、「一時金利低下」という反応が市場から消え、マネーストトック上昇と聞いた瞬間、金利が上昇するような反応に替わったとのことだった。

今、米国では、それと同じ現象が起きつつあると思う。財政出動で、お金の量が増えたので、資金需給を意識した投資家が、一時、長期債、株、金に流入。しかしインフレ懸念で長期債価格の下落(=長期金利上昇)が始まる。ちなみに私が5年後にJPモルガンに入ってからも「長期国債マネーストック連動アクション」相場はしばらく続き、2週間に一度の金曜には、ディーラーは、夕方5時に一度自宅に帰り、夕食を取り、普段着に着替えて、再出社し、東京時間22時半(?)の発表に備えたものだ。

3.「ただでさえ低い日本の潜在成長率が下がる」

日経景気討論会での岩田一政日銀副総裁発言「米欧の7~9月期の成長率は前期比年率20~30%台の可能性があるが、日本は10%台だろう。半分ほどの回復力だ。中長期的な回復力も強くない。(略)ただでさえ低い日本の潜在成長率が下がることは深刻だ」政府言うところの「世界最大級の財政出動」したのに。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65291580R21C20A0EA2000/ 

4.「金融システムを不安にしているのは日銀」

桜井日銀審議委員が講演会で「コロナ禍長期化の際の金融システム懸念」に言及したそうだ。冗談じゃない!地方銀行の経営危機はコロナ禍のせいではない。日銀が異次元緩和で長期金利を押し下げ、長短金利差という銀行の最大の収益源を取り除いたせいではないか?累積赤字がこれほど溜まったのも、日銀の長期国債の爆買いで、「財政赤字拡大=長期金利上昇」という警戒警報を取り除いた(=財政規律を崩壊させた)せいではないか。出口が無く、ハイパーインフレという地獄に国民をつき落とすのは日銀の異次元緩和のせいではないか。日銀が自分の政策ミスをコロナに責任転嫁しようとしている。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-21/QIJ097DWLU6G01?srnd=cojp-v2

5.「借換債を買うのは権利であっても義務ではない」

昨日、私のtwitterに「はい残念。国債を税金で返している国は日本だけです。 外国は全額借換債。現状のように中央銀行が買える。終了。 日本はほぼ借換債で一部税金。しかし、それ以上に新規国債を発行しているので結局同じ仕組みです。 いま日銀がマイナス金利で、国債市場の国債が枯渇するほど買っています」とのリツイートが来た。私の返信は以下の通り。なお国債には満期があり、満期が来た国債の返済財源が無いから、新たに誰かに借換債を買ってもらって、満期国債時保有者に元本償還しているのです。なお、これは新発債、これは借換債と区別して国債を発行しているわけではありません。数字上の分類にすぎません。「借金がどんどん増えているのですから満期の時の資金繰りはますます自転車操業になります。毎年100万円借りねばならない人を仮定してください。1年後には新規100万円と満期が来る100万円の返済原資の計200万円を調達しなければなりません。2年後には新規100万円と満期が来る200万円の返済原資の200万円の計300万円の調達を調達しなければならないのです。300万円分貸してくれる人を見つけられなくなったら終わり」

6.元部下の小林亮君と食事小林亮君

一昨日はJPモルガン時代の部下の小林亮君が店舗所有者の和食屋さんで昼食。亮君のおごり。金融・経済・昔の仲間(日本人・外国人)の様子などの話題で楽しかった。