「米長期金利の上昇には充分な警戒が必要」「いずれ増税が必要になるだろう」他

2020年10月21日

1.「米長期金利の上昇には充分な警戒が必要」「いずれ増税は必要になるだろう」他

米国長期金利がじわじわとではあるが上がり始め、イールドカーブも立ち始めた。長期金利が上昇するだろうという予想が米国では増えている。財政出動をすれば国債発行が増え、長期金利の上昇が財政出動に警戒警報を鳴らす。当たり前の市場反応で、健全な姿だ。先日も書いたが、権威ある米国経済誌が、財政危険度が日本の半分程度なのに、「借金は返せるのか?」の特集を組もうとしているのだから、米国で長期金利上昇予想が増えるのは不思議ではない。

長期金利のレベルを政策目標に挙げ、腕力で抑え込んでいるのは世界で日銀だけだ。他国は「短期金利をゼロにする」などの言葉でしか抑え込んでいない。長期金利を腕力で抑え込むのは国債の大規模購入しかなく、それはハイパーインフレを起こすことを熟知しているから他国の中央銀行はしない。(FRB 、ECBの国債購入量/国債年間発行量は日銀に比べてごく低い)。腕力で抑え込んでいない以上、財政出動により長期金利は上昇しやすい。

米長期債に投資しようとしている人は短期債に乗り換えた方がいいと私は思う。米国長期金利高につられて日本国債金利も上昇すれば日銀は債務超過で即アウト。円暴落でハイパーインフレ一直線だ。日銀が必死で日本国債の金利上昇を抑え込めば、日米金利差拡大でドル高・円安進行。前者より多少ゆっくりだが、日銀は債務超過でアウト、ハイパーインフレ一直線だ。中央銀行が機能しないと、混乱期が長引く。多少なりともソフトランディングするために、新日本銀行設立プロジェクトチームを立ち上げる必要がある。

.「コロナ対応で膨らんだ財政支出については、いずれ増税は必要になるだろう(一橋大学・佐藤教授)」

本日の佐藤主光・一橋大学教授の論考は、極めてまともな論考だ。ただ私の方が危機感だけは、はるかに強い。佐藤教授曰く「「アベノミクスで思ったほど経済成長率が高まらなかったことを消費増税のせいにする向きもある。だが8%から10%への引き上げは先延ばしをしたために、景気がピークアウトした後の2019年10月に実施することになってしまった。遅きに失したのだと思う。」「結果として財政が不健全な状態のまま新型コロナウイルスの危機対応に入ってしまい、完全に規律を失ってしまった」「コロナ対応で膨らんだ財政支出については当面は赤字国債でまかなうとしても、将来は償還財源をどこかで考えないといけない。今やれとは言わないが、いずれ増税は必要になるだろう」

増税と言っても、消費税の大増税か、所得税の「課税最低限の引き上げ&低税率帯の税率大幅引き上げ」しか充分な税収増にはならないから政治的にはかなり実施が難しいだろう。長期で返済を組むのだろうが、我々高齢者が死に絶えても若者に重荷がかかる。世代間格差のさらなる拡大だ。政治的に無理だと思うから私は、ハイパーインフレという財政再建策を政府は実施すると思っている、異次元緩和で、実際それを実行しつつあるのだから。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65159980Z11C20A0EE8000/

3.「経済金融がわかる政治家・新聞記者は皆無か?」

昨日、私のtwitterに以下のリツイートが来た。「本来であればハイパーインフレのリスクは、国会で討議されるべきあるが、経済金融がわかる政治家が皆無なのが日本の悲劇だ。 TVと新聞でも当然議論できる記者や編集委員がいないし」。以下のとおりに返事のリツイートを打った。「日経の元論説委員長の平田さん、毎日の元論説委員長の潮田さん、朝日新聞現役の原さんなどの経済畑の方はよくわかっていらっしゃっているのですが少数派で残念です。議員では、共産党の大門参議院議員はよくわかっていらっしゃいますね。大門さんには『大門さんが共産党じゃなかったら、私、大好きで尊敬するのにな~』とよく言っていました。大門さんは、参議院の財政委員会で一緒でしたので主張をよくお聞きしていました。あと、財政金融委員会以外では、日本維新の会の浅田政調会長、前原衆議院議員、野田元総理あたりも、他の議員よりは、よほどに財政の問題はわかっていらっしゃると思います」

4.「借換債があるから政府は借金を返さなくていいのか?」

昨日、私のtwitterに以下のリツイートが来た。「藤巻先生、個別の負債と債務残高を一緒にされていませんか?個別の負債は期限内に返済されなければデフォルトです。しかし、政府は供給能力の許す限り借換債の発行(繰り延べ)が可能ですよね?これは、企業であっても同じです。満期の債務は返済しても、負債を全額返済したらキャッシュフローはショート」以下のとおりに返事のリツイートを打った。「平成29年度、国は141兆円国債を発行しています。約30兆円が新発債、110兆円くらいが借換債です。「今日発行するのは借換債」、「今日発行するのは新発債」どと区別して発行するわけではありません。ごちゃまぜ。数字上の区分だけです。国は141兆円の発行は可能です。しかし誰か買ってくれるかは別問題。買ってくれなければ未達といって調達不能になりアウトです。2003年に幸田真音さんの「日本国債」という小説がベストセラーになりましたが、この未達が発生し、日本経済が大混乱に陥る小説です」

5.「GAFAは政府主導で発展したのか?」

昨日、私のtwitterに以下のリツイートが来た。「他国は適切なインフレ率を保ってますよ。本当に実際にできないことでしょうか?」以下のとおりに返事のリツイートを打った。「たしかに他国がインフレなのに、日本インフレ率は最低です。日本はこの40年間、世界最大の財政出動(=累積赤字が最悪)をしたのに、です、景気が良くなればおのずとインフレになります。景気をよくするためには政府は出しゃばらない。民間の活力に任せるべきです。GAFAは米国政府が関与せず、温度取りをしなかったからこそ、あれほど成長できました」

6.「マネーストックの増大に財政支出は不可欠か?」

「デフレ・インフレはモノの需給で起こるが、ハイパーインフレは中央銀行の信用失墜で起こる」との、私のツイートに以下のリツイートが来た。「いやいや、空襲等で人や物や建物やサービスといった供給能力を失ったから、需要が供給を上回り、起きた結果。だから、お金を刷りまくってインフレが起きたわけではない。それと、いくらマネタリーベースを大きくしたところで、政府が財政支出などして家計のマネーストックを増やさないと経済成長は無理」

MMT 信者は「財政出動を辞めると世の中にお金が無くなり大変だ」と信じているようで、その種の反論が非常に多く来る。そこで以下のとおりに返事のリツイートを打った。「マネーストックを増やすのは銀行の貸し出しによる信用創造であり政府は関係ありません。政府が金を使えば、政府預金が日銀当座預金に振り替わり、マネタリーベースを増やすかもしれませんが、マネタリーベースを増やすのは何もそれだけに限りません。日銀の約束手形の購入、米国債の購入でも増やせます」