1.「衆院選、財政政策も注目」
昨日の日経新聞夕刊のこの記事はよくかけている。特にBNPパリバの中空麻奈氏のコメントが良い。「米国はワクチンが広まり消費などのマインドが改善している。景気が良くなれば金利は上がる。日本は金利が上がらないと決めつけて財政は膨張したままで良いという議論は危険だと言える。しっかりと備えなければならない」まさにその通り。
政策研究大学院の増山教授の以下の発言ももっともだ。増山氏いわく「日本の赤字体質は深刻だ。法人税率の引き上げ方針や規律順守の法的根拠がある米欧に比べ政府・与党は再建案を出せていない」https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE2922R0Z20C21A3000000/
2,「持続可能な経済・財政 政府、コロナ後の姿描けず」
本日の日経新聞いわく「日本と違い、米欧では財政支出の増加と財源確保をあわせて打ち出している。米国は気候変動対策の財源を税制改革などで調達する方針。EUの復興基金の財源は国境炭素税などを検討する。今回の骨太の方針では脱炭素に向け「必要な財源を確保しながら実現を徹底する」と書き込んだものの、米欧に比べれば具体の議論は乏しい」よくかけている記事だと思う。しかし日本は欧米とは次元の違う危険度に達している。その緊迫感にはかける。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17AHF0X10C21A6000000/
3.「英財務相、物価上昇に警戒感-5月のインフレ急加速で」
1昨日のブルムバーグによると、英国財務相が「物価と金利が上昇サイクルに入れば苦境にある英財政の改善に向けた取り組みが妨げられかねず、借り入れコストが上昇すれば3000億ポンド(約46兆4000億円)を超える英国の債務がさらに膨らむ恐れがある」と述べたそうだ。昨年(2020年)の8月21日の ロイター電だと「-英国の公的債務残高が7月に史上初めて2兆ポンド(2兆6500億ドル)を突破した」そうなので、この3000億ポンドが何を言っているかよくわからないのだが、何はともあれ対GDP比でみれば1212兆円の巨大借金を抱える日本より、はるかに小規模の債務残高でしかない英国の蔵相は「財政が苦境にある」と認識し、金利上昇による(=金利支払い増)債務急増を警戒をしている。一方、日本では蔵相も与野党等も全く金利上昇による財政の危機を全く心配していないのはなぜなのか?景気が良くなっても、日銀が長期金利を未来永劫、低位に抑えるor抑え切れると思っているのだろうか?
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-17/QUTBWST1UM0Z01?srnd=cojp-v2
4.「米株急落」
FRBは米株の暴落を恐れて長期金利の急騰をなんとか避けようと思っていたはずだ。先日のFOMC 後の記者会見で、それになんとか成功したかと思いきや、長期金利が下落して株が急落、想定外の動きとなり、慌てているだろう。ただでさえ難しい緩和からの出口が一層難しくなった。ちなみにが、日本は出口を出るのが難しいどころか、すでに無い。だから中央銀行を、とっかえざるを得ない。現行の円は紙くず化。
5,「『財政規律の弛緩と中銀の安易な財政ファイナンス』はリスク」
昨日の日経新聞夕刊「十字路」。菅野雅明氏のコラム、まさにご指摘のとおり。もっとも私は菅野さんより、危機がかなり身近に迫っているとは思うが。菅野さんは私の高校時代、テニス部の1年先輩。JP モルガンの時、日銀の為替課長だった菅野さんに、私が頼み込んでJPモルガン調査部長に来ていただいた。
菅野さん曰く「このサイクルが繰り返されると、財政規律の弛緩(しかん)と中銀の安易な財政ファイナンスにより過度なインフレと過度な資産価格上昇がもたらされ、最終的には急激な金融引き締め(過剰マネーの吸収)が必要となる可能性が高い。その場合、金融システムの安定性と政府への信認が同時にリスクにさらされることとなる。持続可能な金融・財政政策とは何かを考える必要がある」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73015740Y1A610C2ENI000/