「中央銀行の空白期間は許されない」「統合政府論はちゃんちゃらおかしい」他

2021年11月20日

1.「日銀破綻への道」

日経が連日、岸田内閣の経済対策に対して批判記事を載せている。本日の記事は高橋経済部長のコメント。「対策の柱として目立つのは、家計や企業への給付金ばかりだ。一部が消費に回ったとしても、一時的な需要をつくり出すにすぎず、持続的な成長にはつながらない」「日本はやはり変わらないのか。成長せずに借金だけが膨らむ」日経もやっと覚醒した感がある。遅ればせながら、立派。しかし財政赤字問題は、すでに限界をはるかに超えてしまった感がある。日銀破綻があるのみ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA196Z10Z11C21A1000000/

 

2.「中央銀行の空白期間は許されない」

小幡績慶応大学准教授が東洋経済に「矢野財務省事務次官論文は1%の間違いがある」と書かれている。1%の差とは「破綻が回避できる」と考える矢野財務次官に対し、「財政破綻は回避不能」と考える小幡准教授の差だ。もっとも、私は矢野財務次官も「回避可能」とは本音では思っていないと思う。

私はもちろん小幡説だ。もっとも私はハイパーインフレという究極の財政再建がなされるので、財政派破綻しないと思っている。しかしハイパーインフレで国民生活は地獄。日銀と円はハイパーインフレで解体せざるを得なくなる。

頭の良い黒田総裁が、今、事態がわかっていないはずがない。日銀解体は不可避である以上、今から、新中央銀行と新通貨の創設を正直に献策することが黒田総裁が出来る罪滅ぼしだと思う。中央銀行は社会に不可欠な機関だ。中央銀行の空白期間は許されないからだ。

3「財政出動、減税を礼賛、推奨している、有識者、エコノミストたちは国を滅ぼす戦犯(小幡績慶応大学准教授)」

以下、慶応大学准教授・小幡績氏の論考「矢野財務省事務次官論文は1%の間違いがある」@東洋経済より。

「『日本財政は破綻するかどうか』ではなく『破綻するのがいつなのか』ということが問題なのだ」「『バラマキだ!』と批判しても、まったく無意味なのである。なぜなら、政治の世界の人々は『バラマくぞ!』と積極的に主張しているのであり、まさにバラマキ合戦をすることを意図しているからだ。しかも、今回は、多くのネット評論家、有識者、さらに専門家であるエコノミストたちの中でも多くの人々が、バラマキを支持し、画期的なバラマキの具体策を提案しているのである。『これまでは中途半端で思い切りが足りなかった』というのが、このような多数派の主張である。バラマキが大規模であればあるほど素晴らしく、思い切りのよい優れた政治家とみなされる。財務官僚の警告などにひるまない、強い政治家ほど絶賛されているのである」「また政治家を責めるぐらいなら、もっと糾弾されるべきは、財政出動、減税を礼賛、推奨している、有識者、エコノミストたちである。彼らこそが、国を滅ぼす戦犯なのである」「彼らを糾弾するためには、『日銀が国債を買えば大丈夫だ』『国全体のバランスシートは問題ない』『MMT(現代貨幣理論)は有効だ』『インフレが起きてないから、むしろインフレを起こすために破綻しかねないぐらいの財政出動をしろ』といった類の議論がいかに間違っているかを書く必要がある」(小幡績慶大准教授論考より)。私も、これらの主張が間違っていることを今後とも繰り返し説いていくつもりである。

https://toyokeizai.net/articles/-/462445

4.「財政危機は市場が暴力的に解決」

昨日、以下のリツイートをいただいた。「矢野財務官の指摘は至極真っ当なものですが、それを増税の理屈にするのではなく、バラマキと過剰に手厚い社会保障見直しの、歳出削減の理由としなければなりませんね」

私の回答は以下の通り。

「その通りだと思います。私は『小さな政府&低い税金』論者。しかしすでに膨れ上がった借金を返済するためには大増税or 借金踏み倒し(=ハイパーインフレ)をするしかありません。この国では前者は政治的に無理だから、結果としてマーケットが後者を選択し解決することを強いるのではないかな(残念ですが)と思っています」

 

5「経営者はでかい会社のボスがいい(東芝3分割)」

新言論プラットフォーム「サキシル」のインタビューに書いたのだが、東芝の分割について一言。会社の経営者は、でかい会社の経営者の方が外に向け、でかい顔が出来るからうれしい。しかし株主は会社の大小ではなく、株価が上がる方がうれしいのであり会社の規模など関係ない。日本の会社も、欧米のように会社の持ち主が経営者から株主に変わってきた。だから会社の要望に応じて分割が起こる。これが本質なのでは?と私は思ってしまう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC127GA0S1A111C2000000/

6.「なし崩し的に外国人移民を受け入れていいのか?」

政府が勝手に方向づけしてしまったようだが、これは将来の日本の国体を決める大きな問題で、それこそ国民選挙で決すべきだと思う。移民は究極の少子化対策だが、その一方、欧州の例を見るまでもなく問題点も極めて大きい。だから国民投票をすべき。先日、子供の教育のためにスイスで暮らそうと考えた人の話を聞いた。ところで、スイスは完璧に移民排除で、移住するためには毎年50000万円を政府に納めなければならず、あきらめたとのこと。もしくはスイス人を雇っている日系企業の職員として赴任するしかスイスに住む方法はないとのこと。政治家は、全体のGDPが大きい方が、外国に行って大きな顔が出来るから移民を入れてでも大きなGDPを目指したいかもしれないが、国民にとっては、たとえGDPが小さくても一人当たりのGDPが高い方が幸せなのではないかと私は思う。スイスはそのような考え方。私はスイス的な考え方だが、国民の総意に従いたい。だから国民選挙をすべしとの主張。もう一点。労働力不足はロボット化を進める大きなチャンス、安易なその場限りの解決策を模索するから、この国は飛躍できない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77668170Y1A111C2MM8000/

 

7.「統合政府論はちゃんちゃらおかしい」

相変わらず私のSNS に「統合政府論で考えると政府の負債と日銀は相殺されるから、これは国の借金にはならない」と主張してくる輩がいる、昨日もtwitter に来たので反論を書いた。

「『統合政府として政府と日銀は一体なので借金に当たらない』と書いてありますが(何度も言いますが)それなら、政府が540兆円と言わずに5京4000兆円国債発行して、それを日銀に買わせその5京4000兆円で1人10万円といわず一人1000万円づつ配ればいいじゃないですか?借金が増えるわけではないというのなら」

これに対し、さらに意味不明の以下の反論が来た。「そんな5京も借金しろなんて誰も言ってないじゃん、、、でも100年後にGDPが2京ぐらいになってたらあり得るかも?」私の回答は以下の通り。「統合政府だと日銀債権と政府負債は相殺だから国のs借金ではないというから、540兆円で借金でないなら5京でも借金ではないはずと言っているだけ。規模が変わると、ロジックが白から黒に変わると思う人は、もう少し、ものの考え方という頭の使い方を勉強した方がいい」

今朝、さらに他の人からリツイートが来た。「借金に当たらないだけで、そこから1人1000万配ればいいっていう考えには成らないだろ。詭弁すぎる」私の回答は以下の通り。「どこが詭弁?詭弁という言葉の意味を勉強すべき。 国に金が入ってくるのは税収か税外収入か借金(=国債発行)しかない。(日銀に買い取ってもらった国債は)借金でないなら、税収か税外収入。それなら、それ以内で、どれだけお金を使ってもいいではないか?(賢しこいor 賢くないの問題はあるにしろ)」

 

8.「励ましのシェア」

昨日、Twitterに来たに「悪名高いウォール街の実績もけっこうですが、国会議員時代に何か抜きん出た実績ありますか?落選されてますが」との読者からのリツイートをSNSで紹介したら、FBに以下の励ましのシェアをいただいた。「藤巻さんが参議院財政金融委員会で黒田さんや麻生大臣に鋭い質問をして『天敵』と言われるほど恐れられていた様子を見ていました。本当に生の経済、金融、財政がわかっている国会議員は稀有ななか、議論の府たる国会で持論を言い続けたことは特筆すべき実績です」ありがとうございました!!

 

9.「米国もドルを刷りすぎでは?」

昨日、Twitterに以下の質問をいただいた。「先生、ドルも刷りまくってませんか?」

私の回答は以下の通り。

「日本と米国では刷り方の度合いが違います。日本はひどすぎ。さらにドルは基軸通貨ですから、そのコストも全世界民で負担がしますが、円刷りすぎのコストは、ほぼ日本人だけで負担せざるを得ません」

 

10.「補助金の必要性」

昨日、「『原油高だ、焼き鳥の肉が値上げしている』とデフレを毛嫌いするリフレ派がなぜ手のひらを返したようにオタオタ騒ぐ?」と皮肉批判記事をSNSに書いたら、twitterに以下のリツイートが来た。「あのー全然インフレになってませんけど。日本は」私の回答は以下の通り。「だったら補助金出せなどと騒ぐなという話。魚が高くなっても、ガソリンが高くなっても、他のモノが安くなっているのなら政府が補助金、補助金とガタガタ騒ぐ必要はない。生活が立ち行けない人だけを助ければよい。収入が減ったところにすべてに補助金出していたら、いくら金があっても足りない」

11.「批判の対象者は?」

昨日、twitterに以下のリツイートをいただいた。「藤巻先生。ご著書を読んで危機感を持っている者です。前々から不思議なのですが、どうして内閣参与の浜田宏一を批判しないのですか?A級戦犯でありMMTを進めるなど無茶苦茶だと思うのですが?国が滅びていくとはこういうものか?」

私の回答は以下の通り。

「より強く非難したい人は、もっとたくさんいますので」

小幡績慶応大学準教授の「財政出動、減税を礼賛、推奨している、有識者、エコノミストたちは国を滅ぼす戦犯」に同意していますので。