「他人事ではない、日本における『長期運用/短期調達』問題」「米国の『長期運用/短期調達』問題など日本に比べたらかわいいもの」「世界最大の『長期運用/短期調達』は日銀」他

2023年05月06日

1「米国の地銀問題とは」

今、地銀3行の問題が話題だが、これは仕手的な株の売り浴びせ筋が売りで利益が出ないと認識すれば終わりだろう。この問題は、金利上昇期に過度に「長期運用/短期調達」をしていた貧弱な金利リスクをしていた(数行の)個別行の問題だ。(財務上はともかく)リスク管理上、時価会計が徹底している米国でpoorな金利マネジメントをしている銀行が政府の手に負えなくなるほどボロボロ出てくるはずがない。

 

2.「他人事ではない、日本における『長期運用/短期調達』問題」

問題は、この「長期運用/短期調達」の大問題を「他人事」と理解しているに日本の世論/日本人の鈍感ぶりだ。米国では個別銀行の問題にすぎなくても日本では、ほんの少しの金利上昇で、(メガは大丈夫だとは思うが)すべての金融機関で大問題になる。特に時価会計が徹底していない日本では、取りつけ騒ぎが起きれば、途端に払い出し資金不足に陥る銀行が多数出るだろう。先の衆議院財政金融委員会で、息子、健太の質問に金融庁が「厳格に対処」と答弁していたことがある。一度でも満期保有債券を途中売却したら、すべての満期保有国債(簿価評価)を売買目的債券に切り替え時価評価をしなくてはならなくなるという答弁だ。そうなれば地銀の決算で評価損が実現損として大きく浮かび上がってくる。

 

3.「米国の『長期運用/短期調達』問題など日本に比べたらかわいいもの」

米国は短期金利が0.0 %から5.0%に上昇し、長期金利が0.6%が3,5%に上昇して、初めて数行に「長期運用/短期調達」の問題が起きてきた。一方、日本では短期金利は0%のまま。長期金利が0.25%から0.5%に上昇しただけで、

地銀が保有する国債の含み損が1.4兆円へと倍増した。主要15社の生保が保有する国内の公社債は約5兆5600億円の含み益から一転して約3600億円の含み損になってしまった。5兆9200億円も評価額が下落した。

日本では、ほんの少しの金利上昇が大問題を引き起こす。米国とは次元が違う。まだ金利を引き上げてないから大問題が発生していないに過ぎない。財政赤字放置、バラマキ、財政ファイナンスという政策ミスのツケは巨大である。

 

4,「世界最大の『長期運用/短期調達』は日銀」

統合政府論の実践である財政ファイナンスをしている日銀は世界最大のそしてすさまじい「長期運用/短期調達」だ。その結果、日銀の抱える評価損は昨年9月末の8749億円から12月末には8兆8000億円になった。長期金利が0.25%上昇しただけで、評価損が8兆円も拡大した。金利上昇期に「長期運用/短期調達」が大問題なのは民間でも公でも変わらない。

  

5・「元日銀理事の山本謙三さんとの対談」

来週の火曜日に山本謙三さんと対談する【文藝春秋電子版 5月9日(火)19時~藤巻健史×山本謙三「どうする? 植田日銀 伝説のディーラーと日銀元理事の金融放談」】

https://bunshun.jp/bungeishunju/

 

6「信用の失墜は遠い将来かもしれないし、突然訪れるかもしれない」

以下、来週火曜日に対談する山本謙三さんの論考:金融経済イニシアティブ(3月1日号)より。財政ファイナンスは、ハイパーインフレ(物価高騰)を招くので禁止されているとの解説が多い。その解説は適切である。中央銀行が財政の資金繰りの面倒を見続ければ、いずれその国の通貨は信用されなくなり、為替相場の下落とともに物価の高騰が起きる。過去の歴史が教えるところだ。 しかし、信用を巡る問題は多分に人々の心理的な要素に左右されるため、信用の失墜がいつ起きるかを予測するのは難しい。遠い将来かもしれないし、突然訪れるかもしれない。少なくとも、財政規律を失ったままの国が、永遠に信用されることはない。いつかはハイパーインフレにつながると考えて、財政規律の確保を目指すのが道理にかなう。

(中略) 非効率な財政支出の拡大は、大きな政府を生み、民間企業の活力を阻害する。異次元緩和が長く続く間に、日本経済が市場経済からどんどんと遠ざかっている――そう見えるのは、筆者だけだろうか」

https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2023/03/01/post2278/

 

7.岩田一政氏がリフレ派と言うのは「事実誤認か?」

私が岩田一政氏がリフレ派だったと書いたら、池田信夫氏から以下の反論があった・「これは事実誤認。もう一人の岩田さんと混同してるのかもしれないが、一政さんはリフレ派ではない。国債の大量購入なんて言ってない」

以下のように回答した。

「後にうじゃうじゃ出てきた財政出動派、MMT論者、『統合政府で考えれば財政健全』派に比べれば。主張はかわいいかもしれませんが、当時のマーケットではリフレ派との認識だったと記憶してますが。

野村ホールディングスと日本経済新聞社が共同運営していた2004年3月18日のMABA@BOUには『昨年3月に日銀の新しい副総裁として岩田一政氏が就任しました。岩田副総裁は就任前からリフレ政策に積極的な考え方を持つ経済学者として知られていました。岩田副総裁は2003年12月9日に行った講演の中で、『望ましい物価上昇率を実現するため』に次の方法をあげています。

(1) 中央銀行(つまり日銀)が外国の債券を大量に購入すること

(2) 中央銀行が日本の国債を大量に購入すること

(3) 適切にマネタリーベースを拡大すること」

とありますがね~。

https://manabow.com/qa/rifure.html