「日本には既に中央銀行は存在しない」.「日銀当座預金の金利を上げなければいいのではないか?」「伝統的金融政策とは」

2023年05月08日

1.「日本には既に中央銀行は存在しない」

中央銀行の主たる業務は物価の安定と通貨の安定。しかし「統合政府理論の実践」である財政ファイナンス実施の結果、日銀はその遂行手段を失った。日本には既に中央銀行は存在しない。存在するのは単なる政府の紙幣印刷所。私が「中央銀行の創設が急務」と主張している理由。残念ながらかかって中央銀行の役をなしていた日銀の負債である円は紙くず化。自己防衛を真剣に考える時期

 

今朝、私のtwitterに以下のリツイートをいただいた。「いつも勉強させていただいています。日本の金利上昇で、日銀の当座預金も付利しなければならず日銀が債務超過になるとのこと。ならば、日銀が当座預金の金利を上げなければ良いのではないか、と素人は考えてしまいます。日銀にそんな権限はないのですか?日銀当座預金の持ち主は誰ですか?」

以下のように回答した。

「各国とも量的緩和(日銀は段違いに)を行った以上、伝統的金融政策での金融引き締策は効力をうしないました。各国中央銀行は中銀当座預金付利金利引き上げでインフレと戦っています。米国で今、金利が0%だとしたらどうなっていますでしょうか?」

 

3.「伝統的金融政策とは」

今朝、国会議員時代の同僚の桜内文城さん(財務省出身)から私のtwitterに以下のリツイートをいただいた。

「横からすみません。 インフレ時には、日銀の負債側の付利を引上げなくとも、従来の政策金利(資産側の貸付金利)の引上げで対応できるのでは? 付利を引上げないと引締めの効果がないと主張する方もいますが、日銀当座預金が500兆円以上積み上がっている現状では、付利の引上げ自体、無意味では?」

以下のように回答した。

「桜内さん、お久しぶりです。貸出サイドでの調節とは、公定歩合のことが念頭にあるのかと想像しますが、公定歩合での貸出しもあるにはありましたが、あくまでも補完的手段であり、最後はアナウンスメント効果の役割しかありませんでした。公定歩合での貸し出しは、日銀の融資先選定に恣意性があるとの外資からクレームで実質消滅しました。ロンバートローン型貸し出しに変わりましたが、それを要望する民間銀行は危機的状態にあるとのうわさを自らまきちらすのではないか?との懸念からほとんど利用されませんでした。

伝統的金融政策とは、あくまでも負債サイドの日銀当座預金残高のコントロールによって金利を誘導する手段でした。日銀当座預金残高(私が現役の頃は4兆円、郵貯が加わって6兆円、現在の500兆円とは偉い違いです)が法定準備金残高とほとんど変わらなかったゆえに、日銀が資金を少しだけ、引き上げたり供給したりしてコントロール出来たのです。個別行は、必要な法定準備金額より、多額に日銀当座預金を残しておくと、「(他行が法定準備金不足に陥ってしまうではないか!!」と日銀から怒りの電話が15時過ぎにかかってくるのでびくびくでした。異次元緩和とは「日銀当座預金を積みすぎても日銀から怒りの電話がかかってこなくなった」と言う事象です。

よく私が本に書く例は、幕府が民間のお米の価格を引き上げようと思えば旗本に渡すお米の量を少し絞ればよい。需給がほぼ一致しているから出来る。しかし大豊作が何年も續き、農家の米蔵にも、幕府の米蔵にも、旗本の米蔵にも米屋の米蔵にもコメが溢れかえったら、いくら幕府が米価を上げようと思って旗本へのコメの供給を絞っても市中の米かはビタ一文、上がらないという話です。米であろうとお金であろうと同じです」