「国債、にじむ格下げリスク」「格下げはXデイ、日銀の崩壊をトリガーする」「なぜメガバンク首脳は格下げを怖がっているのか」他

2025年01月26日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません
私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

1.「国債、にじむ格下げリスク 格付け大手が財政を不安視」
本日の日経新聞記事。きわめて憂慮する事態をやっと明確に書いてきた。昨日、私が「最大の国難を国会では誰も取り上げない」と書いたが、この記事も国難が迫りくることを明示する一文。
国会議員は脳天気だ。しかしマーケットという最強・最大の野党が世の中には存在する。その最大野党が財政規律の無視どころか「ばらまけ、ばらまけ、減税しろ、減税しろ」の大合唱の脳天気な日本に近い将来、天誅を食らわすだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB277TZ0X21C24A2000000/

2.「石光弘先生のお言葉を思い出す」
これまた何度も書いてきたが、石元一橋大学学長の日本有数の財政学者・石光弘先生の生前のお言葉を思い出す。ちなみに「日本の財政は危機的だ」と文藝春秋で2年半ほど前に警告を発された矢野元財務官は石先生の信奉者だ。
石先生は「日本の政治家はばらまかないと当選しないけど、ドイツでは違うんだよな。歳出削減で戦える。愚かな歳出がインフレを招くことを国民が皆、知っているからね。そこが日本とドイツでは違うんだ」
財政規律を長年に大胆に破ってきた日本には近い将来、インフレと格下げの恐怖が押し寄せてくる。そして、日銀崩壊によるハイパーインフレも。

3.「格下げはXデイ、日銀の崩壊をトリガーする」
格下げは日本のXデイ、日銀の崩壊(=円の紙くず化=1ドル=1兆円)をトリガーするきっかけの一つだ。
1週間前の土曜日(18日)にラジオ・ニッポン放送「渡邉美樹の5年後の夢を語ろう」に出演させていただいた。その中で渡邉さんが国債格下げの影響をえらく気にされていたことをSNS にも書かせていただいた。つい先日、お会いになったメガバンクの首脳が『格下げがX デイ(株、債券、円のトリプル安:日本経済の混乱)の引き金になる可能性がある』と大変怖がっていらしたからだそうだ。

4.「なぜメガバンク首脳は格下げを怖がっているのか」
「企業の格付けはその国の存在する国の格付けが上限」との大原則があるので国の格下げは民間企業にも影響するからだ。高格付けからの下げなら大した影響はないが、今後の格下げはジャンク債(投資不適格)への転落の可能性が出てくるからだ。崖の上から転落してしまうか否かの縁にいるから危機感があるのだ。
もし日本国債がジャンク債に落ち込めば、企業の格付けもジャンク債レベルに下がってしまう。そうなれば銀行を含め、社債による資金調達が非常に難しくなる。特にドル調達は大変。
格下げは個別企業の問題に限らず、日本経済全体をかなり押し下げることになる。

5.「なにが格付けを押し下げるのか?」
政府が大型補正、史上最大規模の本予算を閣議決定しいている一方、日銀は、「国債買いオペ減額」を公言している。
要は国債の供給が増え、需要が減ることであり、当然のこととして値段下落が予想される。2013年以降、国債発行額の95%相当額を買っていた日銀が買い手の一つからフェードアウトしていって、国債市場は大丈夫なのか?という大問題だ。
長期金利が暴騰するまで買い手は現れないということ。

6.「今まで、日本よりはるかに財政状況が悪かったイタリア(ジャンク債)より日本の格付け上だったのか?」
以下は2022年12月25日の日本経済新聞3ページに掲載された「国債に格下げリスク再燃も 邦銀に波及、ドル調達難しく」という記事の中の一文。
「格下げを免れることができたのは、日銀が金利をゼロ水準に抑え込んできたためだ。フィッチで国債格付けを担当するクリスヤニス・クルスティン氏は日本経済新聞の取材に「日銀の国債購入は格付けを支える要因の一つ」と明言」
(以上日経新聞記事)
格付けは資金繰り倒産の可能性で決まる。日銀が通貨を刷って国債を購入する限り政府は資金繰り倒産(=財政破綻)をするはずがない。したがって今までは格付が大幅下落することはなかった。2013年の異次元緩和開始以来発行額の95%相当の国債を買っていたのだ【注;私が金融マンの時には日銀の長期国債購入額はほぼゼロ】。
しかしその日銀が国債購入を辞めれば買い手がいなくなり政府の資金繰り倒産の可能性が出てくる。したがって格下げの可能性が出てくるわけだ。
ものすごく金利を上げれば日銀に替わる買い手が現れるかもしれないが、そうなると政府の支払金利急増で政府の資金繰り倒産の可能性も出てくる。