1.「円安進行は並足から近じかギャロップから全力疾走へ」
停滞していた$/円が並足程度のスピードで円安にふれ始めた。ちかじか円安進行のスピードはギャロップから全力疾走となるだろう。最大要因はバラマキ過ぎによるお金の「価値の棄損」である。金利差とか米国の意向とか日銀の政策金利の行方(日銀の存亡が懸念される今や政策金利の動向でさえみみっちい話となってしまった)の、みみっちい話にとらわれていてはいけない。30メートル級の津波警報が出ているときに「今日は大潮か、小潮か」を「避難すべきか否か」の基準にしてはいけないのと同様だ。30メートル級の津波なら、何をほっぽり出しても逃げなければならない
2.「日銀は世界ダントツでお金をばらまいている」
モノやサービスと同じでお金も供給過多になれば価値が棄損(安く)なる。日銀は経済規模(GDP)に比べて世界ダントツにお金をばらまいている。各国中央銀行の総資産規模(対GDP比)は日銀120%弱。FRB22%程度、ECB40%、BOE25%前後だ。
各中央銀行の負債の大部分は「発行銀行券+中央銀行当座預金(日銀で言えば日銀当座預金)」だから、この比は「市中にばらまいたお金の量の指針(対GDP比)」とほぼ同じと考えてよい。
これを基に、(MMT論者が大好きな(皮肉))信用創造によってターボが効いたように市中の丘年尾量は拡大する。ベースマネがでかい国ほど市中にお金が溢れかえるわけだ。
お金が溢れかえり価値が棄損すれば1単位のお金で買えるモノの量は減る。日本ではお金とは円である。1万円札で少しのモノしか買えなくなる(=インフレ)。
為替の世界では、ドルが弱くなっても円は無茶苦茶に弱くなるからドル高/円安が進行する。ドル高/円安が進行するとインフレ(=円価値)はさらにすさまじくなる円安進行。物価高の悪循環が始まる。
3.「中央銀行の職責(インフレ抑制、円暴落防止)を果たせなくなった日銀」
円安の進行や物価の上昇防止をするのは「物価の番人」と言われる日銀である。円の価値が棄損して起きているのが「円安進行やインフレ」だからまずはお金の回収を図らなければならないが、日本は回収速度が世界ダントツに遅い。今までは気持ち程度にハ回収したが、これ以上の回収はまず無理。ばらまいた金を引き上げると長期金利や超長期金利がさらに上昇して日銀自身が異次元ともいえる額の債務超過に陥るからだ。
1980年、米国でボルカーFRB議長(当時)が「インフレの原因はお金のバラマキ過ぎ」と看破して「政策目標を金利からお金の回収」にシフト(サタデイナイトスペシャルと称された)し、インフレ鎮圧に成功したが(ただし金利上昇は放置したため、、長期金利は20%、短期金利は24%にまで上昇した)。日銀は、そんなことをしたら自身が天文学的な債務超過に陥って、それも出来ない。
さらには短期政策金利をこれ以上上げると、通貨発行”損“我長期に渡り発生してしまうからそれも出来ない。
すなわち「さらなる物価上昇、円安が進行」しても日銀は指をくわえてみていることしか出来ない。日銀は中央銀行としての体を失った。
4.「減税、バラマキ、ガソリンの暫定税率は物価高を加速する」
日銀が物価や円安進行防止の手段を失った一方、政府は物価対応策として物価上昇加速政策を実行しようとしている。
財源が無ければ更なる赤字国債の発行、(これほどの低金利では)買い手がいないため、長期金路を上げないようにするためには日銀が購入(=更なるお金のバラマキ)せざるを得ない。お金の価値はますます棄損する(物価上昇、円安進行)。
日銀が円安進行、物価上昇を抑える手段を失ったのに、与野党が物価上昇策に躍起なのだから物価上昇m、円安はとどまるところを知らないだろう。悲惨な状況が予見できる。
5,「超長期金利を日銀はもう買えない」
日銀は37,1兆円もの株ETF を抱えているが売れば株価が暴落ということで売れなくなっている(=出口が無い)。これは購入するために増やした日銀当座預金37.1兆円分が減らない(=お金を市中から回収できない)ことを意味する。
超長期国債に同じ問題が出ている。日銀は20年債126.6兆円、30年債49.6兆円、40年債10.4兆円(6月末現在)を抱えているが、これは満期まで保有しなければならない(理由は過去に書いてきた通り)。株ETF ど同様、この分、日銀当座預金が超長期に渡って根雪のように残る。いくら物価上昇が加速しようと市中からお金を回収できないということ。
6.「円安要因は山ほどあるが、円高要因はない、物価高と円安が留めもなく進行する」
以上かいてきたことからお分かりかと思うが、デイトレードなどしている場合ではない。ドルを買って、あとは「酒食らって、寝ている」べし。それがご自身とご家族が近未来に地獄生活をしないですむ最低限の条件だと思う。
7.「日本国民の将来にとって国債は株式以上に重要」
少しご紹介が遅れたが、以下、7月26日の朝日新聞原真人編集委員の「多事奏論」
まさにその通り。一読をお勧めする。
「ふだん株価や株式市場の動きに敏感な人はいても、国債や国債市場に関心をもつ人は、まれだ。だが、いまや日本国民の将来にとって国債は株式以上に重要な意味をもつ。
(中略)。
そんな事態は経済大国・日本でありえないと大多数の国民は高をくくっているだろう。だが将来それに近い事態が起こってもおかしくないと考える専門家が政府や金融市場でこのところ増えている。
今月上旬、テレビ朝日の番組「羽鳥慎一モーニングショー」が参院選でバラマキ合戦となった各党公約と国債をテーマに取り上げた。解説役として出演した私は
(中略)
「ニュース感度の高いコメンテーター、石原良純氏でさえ日本国債が今そこにある危機だと考えたこともなかった。驚いた」と言っていたのが印象的だった
(後略)
https://www.asahi.com/articles/DA3S16267574.html?iref=pc_ss_date_article
8.「これからは、人生の実りを享受するとき」
7月28日をもって参議院議員としての任期が満了いたしました。政界に入った目的(財政・金融政策の軌道修正)をほとんど何も達成できずに終わってしまいましたが、長い間のご支援、どうもありがとうございました。
これからの時間は「人生の実りを享受するとき」と自分なりに定義しています。
健康年齢の期限が近づいてきていますので、うかうかしていると、享受する時間を含めて、終活が間にあわなくなりそうなので(苦笑)
9.「暑さに耐えかねて出かけた白馬」
先週は暑さに耐えかねて白馬に1泊2日で出かけた。1日目は八方池までトレッキング(往復1時間半)とガイドブックには書いてあったが我々老人の足では3時間。帰りに日帰り温泉に入ってホテルへ。途中、ウォーキングシューズの底がはがれて、難儀した(50年前のものだから接着剤が劣化したのだろう)。はがれたままだと足の裏が痛くて岩の道など歩けやしない。ひもでくぐりつけて何とか下山。25年ほど前にも、スイスのシェルとホーンから下山した時、小学生の次男の登山靴の底がはがれて難儀した。蔵王でスキーをしていた時もスキー靴の底がはがれて板からほっぽり出された。さすがに3度も経験して懲りた。命にかかわるものには金をかけることを決意。
2日目は青木湖でカナディアンカヌー。