1.「日銀決算は滅茶苦茶」
一昨日、日銀の令和7年度上半期の決算が発表になった。「日銀の財務内容はめちゃめちゃだ」と述べ、講演会や様々なところで話し、書いてきているから驚きはない。ますます信用失墜(=円の紙くず化)に向かってばく進している。
まず評価損益だが、債券の評価“損”がとんでもなくデカい32.8兆円、それでも債務超過を逃れているのは、株の評価益(株ETF評価益)が46兆円あるからだ。そして法定準備金が5.5兆円、債券取引損失引当金7.3兆円あるからだ。
しかし、株などは通貨の信用を保つために中央銀行は持ってはいけないと正統派金融論は教えている。それゆえ、他の世界の中央銀行で株を保有しているところはない(但しスイスの中央銀行は他の目的で少額保有)。持ってはいけないとされる株で膨大な債務超過を回避している中央銀行など危険そのものだ。
2.「植田総裁の詭弁」
植田総裁は私の国会質疑に対し「日銀は償却原価法という簿価会計を採用しているから、債券評価損は問題ない」と答弁される。私が「健全性を評価するのは評価する機関が採用している会計原則で、審査される方(=日銀)の会計基準ではない、植田総裁は個人的に住宅ローンを借りる時に「私の会計基準では私は健全だから銀行は金を貸せ」と主張するのか?」と質問しても植田総裁は「簿価会計だから大丈夫です」と繰り返すだけだ。間違いを認識しているからに違いない。又は答えようがないからだろう。
世界の金融機関はたとえ中央銀行相手でも、その審査には時価会計を採用している。時価会計とはその機関が倒産した時に、債務を返済できるかを計算する基準である。欧米金融機関は「政府や中央銀行といえども倒産する可能性がある」との前提で、与信審査をするし、取引額を決めている。
また植田総裁は「日銀は買って債券を途中売却したことがないから簿価会計でよい」との答弁を私に何階かしている。売却しないのに、なぜ日銀の財務諸表に「債券取引損失引当金」を7.3兆円も積んでいるのか?
国が国債償還不能になった時の損失引当金か?
3.「簿価会計で見ても日銀はやばい」
令和和7年度上半期の損益清算書を見ると、本来の通貨発行益(「受取利息―支払利息」がマイナスになった。当然予想されたことだ。
令和6年度はかろうじてプラスだったが、それは日銀当座預金への付利金利を0 .25%から 0.5%% に引き上げたたのが令和7年1月であり、9か月間の支払い金利は0.25%に市議なかったからだ。
令和和7年度上半期は全期間、支払金利0.5%なのだから支払い金額は拡大した。
一方、受取利息は保有国債の大部分が長期債で固定金利なのだから日銀が政策金利を上げてもほとんど増えない(変わるのは満期が来て借り換えた分だけ)
今回、経済財政諮問会議委員となった若田部前日銀副総裁は国会での私の質問に対し「政策金利を上げて支払い金利を上げても、受取利息が増えるので、問題ありません」とシャーシャーとそして堂々と、答弁されていた。
「学者としての矜持があるのか?それとも全くわかっていないか?」のどちらだ?と思ったものだ。
全期間、支払金利0.5%になった令和7年度上半期の損益清算書は受取利息1.18兆円、支払利息1.2兆円のトントン、わずかなマイナスになった。
これは何回もそうなるだろうと書いてきた。予想ではなく算数が出来れば当然導き出せる。
政策金利を1%に上げれば支払い金利は5兆円に上る一方、受取利息は1.2兆円+にとどまろう。
これ以上、金利を上げるのは、「損の垂れ流しになり、かなり難しい」と前から何度も言っているのはそれが理由だ。
そして、それが最後の利上げだとマーケットが判断すれば逆に円暴落の材料になってしまうとは昨日書いた通り。
4,「株価が暴落すると、中央銀行危機に陥るなど聞いたこともない、日銀が初めてのケース」
通貨発行益がマイナスになっても、黒字決算を保てていたのは株ETF の分配金等の1.5兆円があったからだ。中央銀行本来の利益とされる受取利息よりも巨額だ。
株は何時でも順調とは限らない。政策金利を上げたり長期金利が更なる上昇をすると、株依存の日銀はとんでもないことになる。
株が大崩れすると、その国の経済がおかしくなるのはよくあることだが、株価が暴落すると、中央銀行が危機に陥るなど聞いたこともない。
5,「日銀が債務超過になるとどうなるか?の植田総裁の考え方」
植田日銀総裁自身が、2023年9月30日の日本金融学会の講演で「日本銀行の収益や資本が減少すると、通貨の信認が失われるか」について触れられた。
植田総裁は、学界には「中央銀行の収益や資本の減少は、金融政策運営に『悪影響を及ぼす』という見方も、『悪影響を及ぼさない」という見方もあり』と紹介されたうえで、自身は大丈夫だと認識していると発言されている。当たり前だ。
「財務内容が最悪の中央銀行の総裁が『悪影響を及ぼし得る』などと発言したら、その場でその国の中央銀行自身と通貨は終わる。大丈夫と言わざるを得ない。
もっとも重要な点は、中央銀行が債務超超になっても大丈夫だ」との学説は、中央銀行が正統派金融論の教えにそってオペレーションをしている場合に限り、日銀のように「正統派金融論の教え」から、これでもか、というほどに逸脱し出口がなくなっている日銀には通用しない。「大丈夫派」学者先生たちも、こんなトンデモ中央銀行を想定した理論は組み立てていないはずだ。
6.「フランスの直輸入しか食べたことないから」
先週の土曜日日銀OBのHさんを乗せてテニスコートに行く途中、犬の散歩途中の千晶さんを見つけて「あ、あの人泉屋のクッキー猫缶のイラストを書いている人だ」と言ったら、Hさんいわく「泉屋ってなに?」ときた。泉屋は確か日本で初めてクッキーを作り販売した会社だ。
「わ~、子供の頃、高級菓子買ってもらえなかったんだね」と言ったら「いやいや、我が家はクッキーはフランス直輸入しか食べなかったから」と来た。
あ~言えば、こう言う、の屁理屈は「上がれば自身の信用が失墜して存続不能になるからなのなのに、屁理屈を付けて、いつまでも政策金利を上げようとしない」植田総裁をはじめとする日銀の伝統文化らしい(笑)
7.「落語会&打ち上げ」
今週月曜日は18時半から、「林家正蔵師匠と林家木久蔵師匠2人会」@池袋。
そしてその後は恒例の打ち上げ@養老の滝。帰宅は23時半
木久蔵師匠、オフコースの鈴木さん夫婦(オフコースは聖光学園同級生の小田和正さんと鈴木さんの2日で結成したグループ)、我が夫婦、苔の大家のタケダ先生、先日JAL noチーフCA に昇格した円さん、イラストレート―の面々。



