1,「財政は、ますますの自転車操業」
ブルムバーグニュースによると、「財務省は28日、2025年度国債発行計画の再度の修正を発表した。市中発行額(カレンダーベース発行額)は178兆7000億円」だそうだ。
カレンダーベースなので、年度ベースとは多少の誤差があるとも思うが、今年度の補正後の新発債は約40.3兆円と思われる。したがってこの40.3兆円と178.7兆円の差の138.4兆円は借換債である。毎年政府予算は赤字だから満期が来る国債の償還原資がない。それを含めて入札で国債を売らねばならないのだ。
ド素人「トンデモ教教祖様」達は借金は借り続ければいいと言うが、178.7兆円を入札で売りきらなければ、借りられないのだ。完売できないと未達。国債の償還や利払いが出来ず財政破綻となる。なお新発債と借換債は会計上の区分で、「今日の入札は新発債です」、「今日の入札は借換債です」などと分けては行わない、ごっちゃまぜである。
ところで2017年度の国債市中発行額は141.3兆円だった。それが7年後には178.7兆円位もなっている。
ますます自転車操業になっている。現在自転車が倒れないのは、大部分を日銀が買っているからだ。
2017年度は141.3兆円だが、日銀はこの時、96.2兆円を買っている。68%だ。
(私が国会質疑で日銀から聞いた数字)。私が銀行員だった頃、日銀は長期債などほとんど買っていなかった。池の中のメダカだったのが今や池の中の鯨。
日銀が元のメガカに戻ったら自転車はすぐ横転する(財政破綻)。長期金利暴騰で、日銀は天文学的な債務超過に墜ち存続不能。元のメダカに戻らないのならば、ばらまいたお金を回収できないのだからお金の価値はますます棄損。とんでもないインフレが起きる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-28/T6F99AKJH6V800?srnd=cojp-v2
2.「土木が専門の京大某教授の戯言」
参議院の調査会で土木が専門の京大某教授をお呼びしたことがある。確か30分くらいを講演して、議員がその講演内容に一人10議運くらい質問することになっていた。
某教授は私の方を向いて「現場経験のない方ほど国債が暴落するとおっしゃるが、国債は暴落しません。私が科学的に調査しました。国債が暴落するとトレーダーたちは自分たちで自分の首を閉まることになるから売らないのです。私の調査にトレーダーたちは「売らない」と回答しました」とおっしゃったのだ。私は唖然としてしまった。
私が「現場経験がない」と誤解したことは許しましょう。しかし「アンケートをもとに科学的に調査した」とはそれでも学者かと唖然としたのだ。
私は、「たとえ借換債分は売らなく手も新発債分を誰かが買い増さなければ国債は崩壊しませんか?」と聞いたらオタオタしていた。
今までの国債暴落は「国際村の住人が我先に逃げ出した」のに、今回だけは違うという理由がどこにあるのか?
専門外の分野にしゃしゃり出て、したり顔で奇説を述べない方が良い。国を誤らせるもとだ。
3.「長期金利が上昇しても、株価が下落しても、日本中で最も危なくなるのが日銀」
長期金利が上昇しても、株価が下落しても、他国の中央銀行は微動だに、しない。長期債や株式など持っていないからだ。正統派金融論も「株や長期国債など価格がその中央銀行が金融政策を通じて経済再建のかなめとなる。
しかし、日銀は長期金利が上昇しても、株価が下落しても、日本中で最も危なくな依存となる。歴史的にも損あ中央銀行など聞いたこともない。
4.「格下げにも注意すべき」
もと日経記者の磯野さんが以下のツイートをされた。
「「『高市財政』拒絶リスク」とか、記事や見出しの表現がだんだん激しくなってきた。積極財政派が絶対大丈夫と言い切れるはずがないのと同様、放漫財政を警戒する立場の人も絶対に破局が来ると言い切れない。
ただ、歴史的に見ても債券相場の暴落、通貨価値の暴落は様々な国で起きている。
大波乱が必ず起きると言い切らない範囲で、多くの専門家が警鐘を乱打し始めていることを国民に知ってもらいたいという思いがこのような表現につながっているのだろう」
以下のようにリツイートをした。
「磯野さんが感じていることに同意。もう1歩踏み込んで言うと、マスコミも事態がここまで煮つまっているのに、楽観論を述べていると実際にことが起こったときに信用失墜して、政府.日銀と共にドボンとなってしまう。それを回避しようとしているのではないか?とも思える。そうだとすると格付け会社も同じ行動を取る可能性がある。何もアクションを取らないうちにことが起きると、彼らの信用は失墜してしまう。補正予算や来年度予算審議のときに格付け下げがあるか否かにも注意すべき」。
5.「3年前にフジマキが予想したとおりの悪い方向に進んでいる」
昨晩、S.Hさんが以下をイツイートしてくださった、
「報道1930(2022年7月5日) いまから3年前の藤巻先生出演回。元日銀理事の早川英男さんのお話を聞くと日銀が詰んでること、藤巻先生のいう悪い方向へ行ってしまっていることを認識できると思う」
https://youtu.be/anWITpMHiGIijE8x7yF9vm2K3f9?t=39m00s
6.「中央銀行が債務超過になっても大丈夫か?」
昨日の日本金融学会の植田総裁の講演に関して書いたX に以下の反論が来た。
「植田総裁の(中央銀行が債務超過になっても)大丈夫は根拠のある発言。中銀は通貨発行主体であり評価損は政策の制約にならない。企業会計の論理ではなく中央銀行の仕組みに基づけば、満期で額面回収できる債券を危機扱いする理由はどこにもないのです」
以下の回答をした。
「植田総裁が金融学会で述べられたように中央銀行が債務超過になったときには大丈夫と言う学説と大丈夫ではないと言う学説があるのです。貴兄が書かれた事は大丈夫派の意見。しかもそれは金融論の基本のキを守っている中央銀行の話。基本のキを大破りしている日銀には当てはまらない。植田総裁は十分それを認識している。しかし立場上大丈夫と言わざるを得ない。ダメだと発言すれば円はその瞬間に紙屑化してしまうから」
7.「日本が経済破綻したら危機は全世界に伝播するか ?」
昨晩、以下のリツイートが私のX に来た。
「藤巻先生、日本が経済破綻したら世界金融危機あるいは世界恐慌になるのではないかと怖れていますが、投資家の方はそれでも利益を得る方法があるのですか?」
以下の回答をした。
「現在の日本経済の買いかぶり過ぎ。ジャパン アズNO1 の頃ならそうだったと思いますが、今の日本は世界では老国の一つ。世界への影響はないでしょう。世界的権威の経済史The International Economyが数年前、1900年代後半に英国経済を「英国病」と揶揄したのに習って日本のことを「日本病」と呼び特集を組んだくらいですから。
以前は欧米人にとって日本勤務はエリートコースだったのに、最近はエリ―トなど来やしない。だから優秀なアナリストなども来なくて日本の惨状が世界に伝わらずにX デイが先送りになっているという幸運(?)もありますが」。
8.「世界有数の経済大国が破綻しても世界危機にならないのか?」
上記の回答に対して、以下のリツイートが来た。
「新興国の通貨暴落や投資銀行の破綻一つで世界的な金融危機が発生するのに、相対的に衰退したとは言え、世界有数の経済大国が破綻して影響が無いわけないだろ…。若い人間ならともかく半世紀以上も何を見て生きてきたのやら」
以下のように回答した。
「日銀が破綻して影響が全くないとは言っていない。世界的な経済下押しは多少あるかもしれない。日銀がばらまいたお金が世界にしみ出している点からめ影響は多少あるかもしれない。ただ世界的な金融危機にはならないと言っているだけ。
ギリシャが財政破綻したときの方が影響が大きいとも思う。ギリシャ国債を持っている他国が巨大な損失を被るからだ。他国が救いの手を差し伸べる。
一方、日本国債は多くを日本人が保有している。特に日銀が半分以上を保有。ダメージはそこに集中するから外国へのダメージは少ない。
逆に言うと、ギリシャの財政危機のときには、他国が債権放棄などをしてギリシャを守ろうとしたが、日本にはそのような外国からの援助は期待できない。
Xデイが来ればハイパーインフレが予想されるが、それは日本国民(債権者)の財産が日本政府(日本最大の債務者)に自動的にシフトすることを意味し、日本政府の損失は日本人のみで補填することで収まってしまうからだ」
9.「日本が40年間、断トツのビリ成長だった理由」
昨晩、以下のリツイートをいただいた。
「ジャパンアズNo.1の頃の日本のGDPは世界の2割。今は4%に過ぎません。
高齢者ほどこうした昔の価値観を維持した人が多いと感じます。
日本がスゴイ!時代はとっくに終わり、
日本企業の一部だけがスゴイという時代でほとんどの人は世界でも中の下か、下の上な時代です」
以下の回答をした。
「ずぶ濡れ猫さんが提示され、数字が正しいのかどうかチェックはしていませんがGDPのシェアが非常に大きく下がった事は間違いありません。それを認識してこなかったからこそ枝葉の改革しかしてこなかったのです。この優秀な民族で成る日本が世界レベルの経済成長しかできなかったのなら話は別ですか世界ダン突のビリ成長というのを緊縮財政だったとか(実は世界最大の放漫経済).消費税上げのせいだ(欧米諸国の消費税率は、大方20%以上)との「とんでも理論」で、本質的な改革を遅らせてきてしまったのです。このビリ成長は(30年間以上言い続けていますが)日本が社会主義国家のせい。格差是正が金科玉条のこの国では、働いても働かなくても結果は同じ。働いて稼いでも所得税や相続税で国に持って行かれ再分配に使われてしまうのであるならば皆、必死に働こうなどとは思いません。社会主国家が競争の激しい 資本主義国家に負けるのは当たり前です」
10.「通貨価値の根本的回復には中央銀行と通貨を変える必要がある」
昨晩以下のリツイートが来た。
「当時のドイツ通貨回復の主因は、中央銀行の変更そのものでなく、ドーズ案による賠償軽減、財政規律の回復、生産再建、国際信用の復活など“国家の総合的な制度・財政基盤の立て直し”だと理解しており、通貨価値は最終的には中央銀行の決算ではなく、国家の信用全体に依拠する点は変わらないと思います。
以下のように回答した。
「だから~、何故、ブンデスマルク(ドイツマルク)が法定通貨となったその日から、通貨の信用が回復したのか?と聞いているのですが。昨日と今日では、ドイツの財政規律、インフラ、賠償金額などに何か変わりがありましたか?昨日と今日で変わったのは中央銀行だけでしょうが」
11.「法定通貨を特化得るのは中央銀行の信用が失墜した時」
上記回答に関して、更に反論が来た。
「補足 ドイツの通貨改革は“制度が一晩で作られた”のではなく、事前に準備された改革を導入日に一斉発効させただけ。前日と当日の違いは“施行日かどうか”。中央銀行だけの話ではありません」
以下の回答をした。
「いつも言うようにお金の価値は国力を反映する。しかし紙くずになるかならないかは中央銀行の信用からだけの話。だからハイパーインフレになった国は通貨を変えて対処する。ピリオッド」
なお小吹真一さんから以下の応援リツイートがあった。鋭い指摘。
「ならば当時のドイツは、中央銀行と発行通貨を新設する必要もなかったでしょうに。生産力や秩序の再建が行われており、国家回復の条件が揃っていたとしてもなお、通貨の信用回復はできず、中央銀行を取り替えるほかなかったか」
12.「融資が増えても日銀当座預金は減らない」
「だから発行した通貨が機能せずに貯蓄や内部留保に貯まっているんじゃ無いか。日本は倹約を美徳だからですよ。設備投資や消費に回らない金は死んだ金。貴方の規制緩和を加速する程余計にそうなります。動かない所から徴税して動き易い所に再分配しても良いんですがそれは共産主義と言うでしょ」
以下の回答をした。
「全く金融を利理解されていないのはド素人の何とか教教祖様と同じレベル。基本的事実を理解せずに珍説を披露しないこと。
日銀当座預金残高はお金が死んでいようが生きて動いていようが、理論上全く変わりません。日銀が国債を購入すれば増え、売却すれば減るだけ。融資が増えると日銀当座預金が増えると誤解している人が多いが融資が増えようと増えまいと日銀当座預金残高はビタ一文変わりません」。


