「生保7社が行くづまった1990年代後半」「生保の倒産と銀行の連鎖倒産とは意味が違う」「米国産日本車の逆輸入の問題点」他

2025年12月15日

1.「生保7社が行くづまった1990年代後半」

昨日の日経新聞、渡邉光一郎・第一生命保険特別顧問の「私の履歴書」は日産生命保険、東邦生命、第百生命の渋谷3社がつぶれた時の話だ。ここでは出てこないが千代田生命をはじめ他の4社が行き詰った。

渡邉氏いわく「『シブヤ』には、1990年代後半に勃発した生保波乱に対峙した身として今も苦い思い出が残る」

「渋谷3社――。周辺に本社や中核拠点を置く中堅3社が解約などまず混乱の標的となり、連続破綻に追い込まれていった。いずれも戦前に起源をもつ由緒ある会社だった」

「東邦はバブル期以来の無謀な放漫経営の危うさを、私も心配していた」

「生保危機が目の前で起きているのに国会での関係法制の立案・施行は難航した」

――>今後、長期金利がさらに上がっていけば同じようなことが起こる可能性大だ。ぬるま湯時の発想ではすべての財産を失ってしまう。

生保は大量の国債を保有しているわけだが、人は「国債は満期が来たら全額返ってくるから生保は大丈夫だ」」などとは考えない。今、つぶれたら、かけた保険金が自分に戻ってくるかを考え、駄目だと思ったら「人より先に」と解約に走る。

すなわち時価評価(今潰れたらいくらの現金が自分の手許に返ってくるか?で行動する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2123H0R20C25A6000000/

 

2.「G7の国、中央銀行といえども倒産する可能性があるとの前提」

私が邦銀から米銀に移った最初のカルチャーショックは「G7の国や中央銀行といえども『倒産する可能性がある』との前提で取引枠を決めていた」ことだった。

当然、信用が落ちれば枠を縮小し、さらに悪化すれば廃止する。

もし米銀が邦銀との取引枠を廃止すれば日本はドルにアクセスする手段を失う。

円はドルに交換不能なローカル通貨になりさがる。そうなれば世界の国々は円を受け取らなくなるし、受けととってもすぐに他の通貨に変える。

日銀の債務超過は(債務超過になった直後とは言わないが)とんでもない悲劇を起こす。

 

3.「生保の倒産と銀行の連鎖倒産とは意味が違う」

この私の履歴書で渡邉氏は以下のように書いている。「

ここではっきり申し上げたいことがある。銀行は破綻処理の過程で、公的資金、つまり巨額の税金の助けを借りた。だが生保破綻に投入された公的資金は今もゼロである。

この期間に合計7社の生保が行き詰まる。「安心を顧客に提供する生命保険会社は絶対に潰れてはならない」。思いを強くする混乱劇だった」

――>渡邉氏は銀行に入板公的資金が生保に入らなかったのに、だいご不満なようだが、仕方がないと思う。この銀行への公費投入顧客の安心のためではない。日本経済を崩壊させないためである。

銀行の連鎖倒産は、その日のうちに日本経済が一貫の終わりになるからだ。銀行は決済を扱っている。鹿児島のサツマイモを東京人が買った場合、現金輸送車で現金を運んでの決済では経済が回らない。銀行が果たす決済機能は日本経済のインフラだ。

(もっともビットコインがさらに広まれば銀行の決済システムも重要性が減るかもしれないが今はまだ無理)

なお、銀行預金者の安心のための仕組みは預金保険機構の1000万円のペイオフがあるが、先につぶれた地銀2~3行の預金者は保護されるかもしれないがその後の預金者の保全がどうなるのかは私にはわからない。

 

4.「米国産日本車の逆輸入の問題点」

本日、以下のリツイートがわ他紙のX に来た。

「日本国内で日本の逆輸入車欲しい人たくさんいます。トヨタグループ内で、仕入も売上で相殺されます。ホンダも同様。過度な心配。円安の扇動?」

以下のように回答した。

「この件の最大の問題は、自動車産業と下請け産業の労働需要が米国に移ってしまうことです。その分、日本は直接投資を呼び込み日本人の雇用の場を創出していかねばならなくなります。人手不足など過去の話、となるかもしれませんし、日本人は今まで日本人がやりたがらなかった職種を選ばざるをえなくなるかもしれません。。 そして所得税、法人税の税収も米国に行ってしまいます。米子会社の日本本社への送金には「受取配当金の益金不算入制度」で本社の収入計上は5%。本社が日本政府に払う税金はその分だけです。 なお、「受取配当金の益金不算入制度」は法人間の二重課税を防ぐ目的で世界的なものです。 元来、会社とは株主のものであり、株主は様々な国債の人がいます。どこの国の会社などという国籍を気にするのは日本くらいです。 軽い問題と見過ごすことができない問題です」

 

5.「田園忘年会」

土曜日夜は田園テニス倶楽部の忘年会@お寿司屋さん

帰宅したら会計報告がすぐ来た。多少の黒字とのこと。赤字にもならず補正による追加請求もなく、国家の財政運営よりはるかに素晴らしい。

しかも幹事は盛り上がっているところで「宴たけなわではございますが、そろそろお開きにしたいと思います」ときちんと幕引きを図りお店に迷惑をかけなかった。

お開きにすべき時に、逆に酒を注ぎまくっている日銀よりはるかにすばらしかった。

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