(臨時版)日銀が債務超過になったら、何が起こるのか?他

2020年03月12日

1.本日1日前場までで日銀は1.2兆円の含み損を抱えた。

前場までの今日1日で保有株で日銀は1.2兆円の含み損を抱えた。債券の含み益も購入時の利回り平均が低いから、そう大きいものではないはずだ。このまま株の下落が進めば債券の含み益をも食いきってしまうのもそう遠い話ではない。

2、日銀が債務超過になったら、何が起こるか?

日銀が債務超過になったらどういう事態が起きるかを検討し、コンティンゲンシープラン作成すべき時期だ。単純に考えれば日本売り(株。国債、円の投げ売り)の発生だ。債務超過が発生するまで事態が発生しないわけではなく、予見できる状態になった段階でそれは起こる。外資系金融機関は相手方のリスク管理には極めて厳しい。一緒に倒産したくないからだ。国も中央銀行も倒産するとの前提で融資枠を定めている。国への融資枠が削られれば外資の保有日本国債の投げ売りが始まる。日銀が債務超過になったなら外資は日銀への枠を無くす可能性がある。外資が為替取引で買った円は日銀当座預金に入る。日銀向け枠が無くなるとそれが出来ない。ドルを誰も売ってくれなくなる。円の暴落だ。また邦銀のドル調達も不可能になるだろう。中央銀行への枠が縮小すればその国の金融機関向け枠も減少する。邦銀へのドル融資枠も消滅かそれに近い形になる。円大暴落、ドルは貴重となる。邦銀もコンティンゲンシープランを作成した方がいい。JPモルガン時代、その注意深さに非常に驚いたことがある。昭和天皇の崩御後数週間、流動性が保てるか(資金繰り倒産をしないか)のシミュレーションを作らされた(天皇が崩御されて円市場が大混乱に陥るなどとは私は想像だにできなかったが)。東京に大地震が起きた時用のディリングルームやバックオフィス、データ保管場所を茨城に作った(邦銀など、どこもそんなこと考えていなかったときだ)し、シンガポールに飛ぶシムレーションも作らされた。たとえ無駄になっても邦銀も「日銀債務超過シムレーション時作るべき時期だ。誰も見たくないシナリオだが見なくてはならなくなる可能性もある

3.株の評価損を債券悪評価益で埋められるか?

「日銀の債務超過の話をした時、株の評価損ばかりいうが景気悪化の際は債券価格が上昇し、債券の含み益が増えるから、日銀の傷は浅くこの投稿は不安を煽りすぎだと思う」とのお叱りを受けた。しかしながら景気悪化の時は株の価値は急落し、債券の価値はそれほど上がらない。すでにマイナス金利だからだ。マイナス金利の債券は満期まで保有すると損をする。満期前に利が乗ったところで転売しないとならない。ババ抜きみたいなものでマイナス金利は日銀の様に市場原理が働かない組織が存在しないと成り立たない。実際、1か月前の2月12日から日経平均は本日前場までに5449円下落した。日銀は保有株式で約6.6兆円の価値を吹っ飛ばしたことになる。一方、債券利回りは0.1%から下落していないから増えてもせいぜい2500億円だ。一方景気が良くなると日銀の保有額が違いすぎて債券の評価損を株の含み益では到底埋められない。私が国会で聞いた時(確か2年くらい前だったので、現在ではもっとすさまじいことになっているだろう)5%の金利上昇で88兆円の損失だということ。この損を埋めるためには日経平均は73,000円上昇しなければならない。91,000円レベルだ。あの狂乱物価のバブルで日経が38,915円をつけた時、長期金利は6.8%だった。

(注 1年ほど前の国会では雨宮日銀副総裁が2018年9月を基準にすると18000円で含み益がなくなると答弁された。24000円(2018年9月末日経平均)から18000円と6000円下落すると2018年9月末にあった7.2兆円の含み益が吹っ飛ぶというのだから1000円当たり1.2兆円と計算した)