国債保有額  地銀16.5兆円VS日銀527兆円 他

2020年09月08日

1.国債保有額  地銀16.5兆円VS日銀527兆円

今、地銀の国債保有高16.5兆円(3月末)、日銀は527兆円(7月末)。日銀は地銀の32倍も国債を保有している。もうびっくりだ。私の金融マン時代は日銀の方が地銀よりはるかに少ない保有額だった。

地銀は、異次元緩和前に比べると国債保有額を、大幅に減らしている。2013年3月末(異次元緩和直前)の全地銀合計の保有額は45.8兆円。2020年3月末は16.5兆円。29.3兆円も保有を減らした。

一方、日銀は同時期に125兆円から527兆円へ。402兆円も増やしたのだ。異次元前に地銀が保有していた国債の8.8倍をもこの7年間で増やしたのだ。日銀が超メタボになったのも、長期金利が意図的に低く抑えられているのも当たり前。

2.為替介入に対して「不胎化だ」、「いや非不胎化が必要だ」と口角泡を飛ばした議論は何だったのだろうか?

財務省のドル買い介入が盛んにおこなわれていた頃、「不胎化だ」、「いや非不胎化が必要だ」との議論が盛んにおこなわれた。日銀がFBを買うと負債である通貨発行量も増える。「その増加分を相殺する金融調節を実施するべきだ、いや、そのまま放置すべきだ」との議論だった。 為替介入後も 日銀の発行する通貨量が変化しないようにするか、しないかを日銀を先頭に、経済、金融界、マスコミの皆が、口角泡を飛ばして議論したものだ。

今、日銀が異次元の量的緩和で長期国債を爆買いしているのを見ると、あの時の議論は何だったのだろう?と思う。為替介入による貨幣流通量の増加で悪性インフレになってしまうのではないかと真剣に心配して議論したのだ。当時の日銀、経済界、金融界には見識があったとつくづく思う。

3.「危機下の財政拡張、禍根も」 櫻川昌哉慶大教授

本日の日経新聞の経済教室。放漫財政論者(=積極財政論者)はこの櫻川昌哉 慶大教授 の論考にどう論理的に反論するのだろうか?「まだ起きてないから間違いだ?」という反論のみか?経済人の常識を論理的に説明されている。「財政赤字拡大の景気刺激効果を否定するものではないが、税収増を通じ財政バランスを改善するほど大きな効果はない。結局、国債残高は一本調子で増えることとなり、財政の健全性への懸念を高める。」「今後も予想される国債膨張は成長資金シェアをさらに押し下げ、長期的な資本ストック形成を阻害し、ただでさえ低い経済成長率を一層下落させる。」「ポストコロナの時代、日本政府は国債利回りが低いことに油断せずに、撤退の時期を見定めて財政緊縮に戻るという意思決定をできるだろうか。撤退の時期を誤ると、国家は衰亡する」。あえてこの論考の難点を一つだけ申し上げれば、日本国債の利回りが現在低いのは、日銀が世界でも異次元級の財政ファイナンスを行っているからであり、このような介入はいつまでも続かないこと。櫻川先生がそれを考慮されると、先生の結論は、はるかに悲惨なものとなるだろう。https://www.nikkei.com/article/DGXKZO63526370X00C20A9KE8000/