撤退時期を見誤ると国家は衰亡する。債券から株への資金シフト

2020年09月26日

1.撤退時期を見誤ると国家は衰亡する

本日の日経新聞「経済論壇」で土居丈朗慶大教授が、櫻川昌哉慶大教授の論考に対して「低金利に油断して財政拡張からの撤退時期を見誤ると、国家は衰亡する」との見方は正鵠(せいこく)を射ている」と断言されている。その通り。莫大な借金額からして、日本はすでに撤退時期を見逃し、撤退できないところまで来てしまった。「大増税」か「借金踏み倒し(=ハイパーインフレ」しか選択しはないが、どの政権も前者は出来ないだろうから、後者になるのは必然。最強のハイパーインフレ創造策として歴史的に証明されている財政ファイナンスを「異次元緩和」という名でカモフラージュしながら、世界最大規模で実行中なのだから。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64243860V20C20A9MY6000/

2.債券から株への資金シフト

今までは、世界的に株高、債券高が進んでいたが、これは経済理論に反しているし、歴史的にもそうだった時期は短い。この記事のように「既に歴史的な低金利にある債券では、これ以上の価格上昇(債券利回り低下)は見込みづらい」「低利回りを嫌気して債券から株への資金シフトが起き始めているためだ」であるならば、今後、債券価格は下落(=長期金利上昇)していくだろう。1992年、英中央銀行がソロスファンドに敗北した様に、こうなれば日銀は長期金利を抑えきれない。敗戦でも英中央銀行は通貨が大幅下落しただけだったが、日銀の場合は、債務超過に陥るがゆえに円暴落、日銀解散(=新中央銀行設立。現在の円紙幣の紙屑化)の危機。債務超過になるような資産を購入しないのが昔の中央銀行の鉄則、。だから昔は短期国債しか買わなかった。今の日銀は、すべての面で異常。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64277480V20C20A9EN1000/

 3.日本人労働者の給料が上がらないのは、為替のせい

私のtwitterで、日本企業が海外進出した理由の議論があるが、私はひとえに為替のせいだと思っている。1980年の1人民元は160円。今は、16円弱。中国人の平均給料がいくらかは知らないが、700人民元/月だとすると、1980年以前には。中国人一人を雇うのに、日本人経営者は11万円/月必要だった。今は1万円/月。日本企業の中国進出は当たり前。日本企業の海外進出が加速し、日本人に仕事の供給が減ったのだから、日本人の賃金が上がらないのも当たり前。労賃も労働力の需給で決まる。最低賃金とかの問題ではない。政治家が為替に目覚めよ、と私が30年来、主張していた理由。 

4.池田信夫先生曰く「法人税(法人所得税)を廃止したほうがいい

SNS で「日本企業や外国企業の日本回帰の必要性」を主張したところ、池田信夫先生から「私は法人税(法人所得税)を廃止したほうがいいと思います」とのリツイートをいただいた。私の返信は以下の通り。「池田先生 確かに法人税減税は海外から企業を呼び込み税収を上げるのは一法だと思います。それ以上に問題なのは日本企業は株主資本主義ではないので、競争力が無く米系企業の10分の1から100分の1しか儲かっていないことです。10倍儲かって10倍税金払ってくれたら予算は黒字化です」