「米国の借金は大丈夫か?」.「米大統領選、どちらが勝っても利回り曲線スティープ化」他

2020年10月17日

避難通貨円

1.「米国の借金は大丈夫か?」

昨日は、理事をしている東洋学園大学に顔を出した以外、1日中、The International Economyから依頼された原稿書き。私が金融マンだった頃、世界中のあらゆる金融機関のマーケット部門はスミック・メドレーのレポートを購読していたと言っても過言ではない。スミック・メドレーの記事がマーケットを動かしたものだ。The International Economyはその片割れのDavid M. Smick氏がFounder and Editorの世界的権威のある雑誌だ。世界中の著名学者、財務長官、中央銀行総裁経験者が寄稿している。今回、依頼された論考のトピックは「米国は、こんなに借金をためこんで返済できるのか?借金過多でドルは暴落しないのか?」というものだった。財政状況が日本よりはるかにましな(対GDP比の赤字額は日本の約2分の1でしかない)米国が将来を心配し、知識層が議論するのに、日本ではだーれも考えていない。どうして日本人は、国家的大問題になると、思考停止に陥るのか?世界中で一番心配しなければいけないのは日本人のはずなのに。能天気もいいところ。ちなみに、私の回答は明確。「日銀は債務超過の瀬戸際だがFRBは債務超過には程遠い。したがって円は大暴落で紙屑化。為替は相対的なものだから、$/円は暴騰」

2.「米大統領選、どちらが勝っても利回り曲線スティープ化-シュローダー」

一昨日のブルムバーグ記事。「いずれの候補が勝利しても大規模な景気対策は不可避であり、過去最低の政策金利の長期化と相まって、長期債の利回りは短期債よりも大きく上昇する」との見方に私は同意。米長期金利が上昇すると日銀と円はアウト。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-15/QI7EZ0T0G1L701?srnd=cojp-v2 

3、「米国も放漫財政ではないのか?」

先日、私のFB に以下の質問をいただいた。「先生に質問します。米国についてはどうなのでしょうか。日本と単純比較すれば放漫財政ではないとは思いますが、歴史的に見て米国の現状も放漫財政にあると言えるのではないでしょうか」私の回答は以下の通り。「歴史的には、かなりひどい状況です。ただ平時にそれほど財政赤字を積み上げてこなかった(対GDP比)分、日本よりよほどに、マシです。米国には小さな政府を党是とする共和党、さらに小さな政府を目指すティーパーティーがあるので、バラマキに多少なりとも歯止めがかかるのでしょう。これに関して為替を考えると、どの国も財政出動をしているので、土の法定通貨も安くなるでしょうが、物々交換の世界に戻らない限り、世界で最低一つの通貨は残ります。それは世界の基軸通貨のドルだと思います」

4.「財政出動をまだするべきか?」

数日前、私のtwitter に以下のリツイートが来た。「まーたハイパーインフレ言ってるよ(^_^) このまま緊縮財政を続けて日本が途上国に没落したら、めでたく貴方の望むとおり日本はハイパーインフレになりますね…」最後の文は暴言です。他の方よりは、よほどに準備を私はしていると思いますが、ハイパーインフレが来れば、その私でさえ、大打撃をこうむります。ハイパーインフレなど。誰が期待しているのでしょうか?究極の財政再建となる政府だけです(政府の構成員である官僚も決して望んではいないと思いますが)。私は来ざるを得ないという事実を述べているだけです。それはともかく、私の回答は以下の通り。「日本は40年間世界最大の財政出動を続けながら(=放漫財政を続けながら)、世界断トツのビリ成長。それなのに、『まだ足りない、さらに世界で特出した財政出動をしろ』とおっしゃるのですか?その結果が、これから起こるであろうハイパーインフレという地獄なのに、です」

5.「私はCDSを買うか?」

私が「ハイパーインフレは不可避」と書いたら、2~3日前に私のtwitterに「CDS はどうですか? 自信があるなら、全財産投入。大儲けできますね」というリツイートが来た。以下の通りの回答をすぐ出しておいた。「そんな馬鹿なことはしません。CDSはあくまでも財政破綻確率ですから日本のCDS が低いのは当たり前です。私は日本は禁じ手中の禁じ手の財政ファイナンス(政府の歳出を中央銀行が紙幣を刷ってファイナンスする)をやっているから財政破綻はしないが、ハイパーインフレになる」と言っているのです