「インフレとハイパーインフレでは発生原因が違う」「意図的なハイパーインフレにするのは罪にならないのか?」他

2020年11月30日

1.「インフレとハイパーインフレでは発生原因が違う」

今朝、私のツイッターに以下のリツイートがあった。「日本はまだ個人消費、設備投資ともに低調、つまり日銀がどれだけお金を刷ってもお札は銀行に眠ったままで市場に流通することはありません。その間はハイパーインフレは大丈夫と思います。 問題は景気回復、需要拡大に入ったときですがしばらく先になるような気がします」

私の返信は以下の通り。「お金が市中に出回ろうと出回らないと、関係ありません。それはインフレかデフレかの議論の話です。、ハイパーインフレは中央銀行の信用の失墜により、その発行する通貨を誰も信用しなくなった(特に外国人)時に起こります。発生理由が異なります。中央銀行の信用失墜の最たるものが、中央銀行の債務超過です。長期金利がたった約0.2%上昇すると、莫大に所有する国債の評価損が発生し始めます。景気が良くなり政策金利の引き上げが必要になれば、、簿価会計上も、損の大幅な垂れ流しが始まります。いずれにしても、日銀の債務超過、(それも莫大な)超過は避けられないでしょう。私が、今となっては、日銀に出口はない、新しい中央銀行を作る(=新券発行。現在の円は紙屑)しかないといっている理由です。

2.「意図的なハイパーインフレにするのは罪にならないのか?」

今朝、私のツイッターに以下のリツイートがあった。「意図的にハイパーインフレを起こすのは罪にはならないのかな?アメリカなら投資家に訴えられそう」

私の返信は以下の通り。「『ハイパーインフレを起こす』と昔から禁しされている財政ファイナンスを異次元緩和という形で国は既に始めています。借金が増えると大昔から政府は借金踏み倒しをします。ハイパーインフレがその一手法です。家計と国の違いは「国には徴税権があること」と、「罪を問われずに踏み倒しが出来ること」です。

3.「学者のマーケット予想を信じるか?」

昨日、私のTwitterに「大幅に円高が進行する」と言う米国人経済の者の話が日経新聞に載っていましたが、どう思われますか?」との質問が来た。

私の回答は以下の通り。「無視。私のボスなどは新聞からは過去の事実のみ知ればいいと言っていましたし、新聞やエコノミストの論調で勝負するヘッジファンドのオーナーなど皆無でした。もちろん、私も、です。当時の世界最大のヘッジファンド―だったタイガーファンドのオーナーであるジュリアン・ロバートソン氏が支店長だった私を訪ねてきた時、彼の部下の超著名エコノミストが、私に彼の為替予想を話し始めていた時、ロバートソン氏はこのエコノミストを怒鳴りつけました。「エコノミストの仕事は過去を分析することで、将来の予想は我々の仕事だ。君たちにその能力も専門性もない」と。

4.「長期金利暴騰は大げさ?」

昨日、私のツイッターに以下のリツイートがあった。「『ドル建て日本国債に海外資金が流入。ドル建てなら3%を超え、米債を上回る。高金利目当ての海外資金の流入が続けば、日本のマイナス金利が常態化の可能性あり』こんな記事もあり、先生の仰る『日銀が買うのをやめたら長期金利は暴騰です』は言い過ぎと思ってしまいます。ご教示頂ければ幸いです」

私の返信は以下の通り。「こんなド素人記事誰が書いたのですか?まず、日本は現在ドル建て日本など発行していません。発行したら、の話かもしれませんが、『ドル建て債が米国債より2%以上高い』とは信用リスクがそれだけ高いということ。財務省は円転して歳出に使うでしょうが、先物ヘッジを噛ませれば調達コストは、円建て国債より2%以上高くなります。金利支払いで予算組めません、記事書くならそのくらいの知識が必要だと思います。読むに足る記事だとは思いません。」

5.「日銀当座預金を外資は閉鎖できるのか?」

先日、SNSに(日銀が債務超過になると外資が、一斉に日銀との取引を中止するだろう。それは日本から株、国債、為替取引からの外国人の完全撤退を意味し(決済手段がなくなるので)、日本売りが発生し、アウトだ」と書いたところ、以下のリツイートが来た。「外銀もIRSやCCSなどで長期契約の残存取引があるので、自発的に日銀当座預金の閉鎖してしまうと、円支払が履行出来ず、クロスデフォルト条項に抵触する可能性もあるので現実的には難しいかと思います」(藤巻注:IRSは金利スワップ、CCSじゃクロスカレンシースワップのこと)

私の返信は以下の通り「私が金融マンだった頃は、IRSやCCSもネットアウトが少なかったのですが、今は、相手方へのリスクエクスポージャーを減らす意味で、ネットアウトし、賞味現在価値で支払いを済ましているのではないでしょうか?相手が中央銀行としても、倒産してしそうなところと取引を継続して損をしたら、株主訴訟になると思いますので、さらなるネットアウト交渉をするのではないでしょうか?」

この返信に対し、同じ方から、さらなるリツイートをいただいた、「度々申し訳ございません。やはり、バイラテであれば期限前解約を個別に申し出ればいいですが、インターバンクでは今は通常IRSはクリアリングハウスを通じて決済しますが、クリアリングハウスの直接参加者であれば円決済手段を放棄することは早々簡単には出来ないかと思います」

これに対する私の回答は以下の通り。「外資は相殺できないIRS が残るなら、その金額だけは日銀当座預金に残高を置いてもOKとし日銀との取引限度枠を極端に縮小すると思います。自行の倒産回避が最重要ですから。そんな少額の日銀当座預金の枠では円関係のビジネスは出来ません。日本売りの発生だと思います。円暴落でハイパ―インフレです。

6.「ラジオ局ニッポン放送「5年後の夢を語ろう」

一昨日はラジオ局ニッポン放送(AM1242「5年後の夢を語ろう」(16:20~16:50)に出演させていただいた。この番組はワタミ株式会社代表取締役会長兼グループCEOの渡邊美樹さんとテリー伊藤さんとの掛け合いで進行する。渡邊さんは、自民党では、唯一と言っていいが、「財政への危機感」を口に出された方で、その面では私と同士だ。ビジネスの世界にいらっしゃるからこそ、財政のずぼらぶりが、わかるのだろう。この番組、今日から1週間はラジコでも聞ける。

7.「V6の岡田准一さん(NHK大河ドラマで主役の黒田官兵衛を演じた歌手・役者さん)のラジオに出演した時の思い出」

一昨日の「5年後の夢を語ろう」は電話で話した録音が流れたのだが、昨日は自分で聞いていて、「よくま~、ぺらぺらとしゃべるな~」と感心してしまった。結婚式のスピーチや選挙演説になると「アーウーアーウ」なのに、マーケットのことになるとしゃべりたいことがいくらでも湧き出てくる。そういえば10年ほど前だったろうか、、弟の故・幸夫を慕っていてくれたV6の岡田准一さん(NHK大河ドラマで主役の黒田官兵衛を演じた歌手・役者さん)と弟と3人でイタリアンで食事したことがある(岡田さんは、ずっと帽子をかぶり他のお客さんに背を向けていたので誰も気がつかなかった。弟に声をかけてきた見知らぬ人はいたが)。その後、しばらくしてから、岡田さんがパーソナリティーを務めるラジオの30分番組に呼ばれた。たしかディーラーの生活ぶりとかマーケット分析がトピックだった。終わった後、岡田さんがおっしゃった。「『お兄さんをゲストに呼んだ』とディレクターから聞いた時、正直、『大丈夫かな?』と思たんですよ。この前の食事の時は無口で、何にもしゃべらない人との印象を強く持ったものですから。ラジオで一瞬でもシーンとなると最悪ですかね~。いや~、全くの杞憂でした。時間があっという間に過ぎてしまいました」

そりゃそうだろう。イタリアンでは、あのおしゃべりな弟の会話に割り込む余地は無い。一方マーケットのことなら最低3時間は、ずっとしゃべっていられるし、しゃべり倒す自信はある。英語でも、だ(ただし相手の外国人が理解できるかは疑問)